駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜

あーもんど

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本編

それも今日まで③

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「まあ、それも今日までだが」

 『恩と義理はもう充分、果たしただろう』と主張し、夫はチラリと後ろを振り返った。
すると、ロルフが心得たように頷き、資料の束を持ってくる。

「シャノン皇太子殿下、こちら────フェリクス様が起こした騒動の報告書になります。証拠と証人も既に揃えていますので、後ほどお見せしますね」

 『徹夜して、準備したんですよ……』と述べ、ロルフは資料の束を差し出した。
どことなく疲れた素振りを見せる彼の前で、私は衝撃を受ける。

 昨日の今日で、もうこんな……正直、もっと掛かると思っていたわ。

 『手際がいい』と素直に感心する中、シャノン皇太子殿下が資料の束を受け取った。
と同時に、内容を確認。

「……昨日の時点で軽く話は聞いていたけど、思ったより酷いね。しかも、ウチの弟まで一枚噛んでいるとは」

 悩ましげに眉を顰め、シャノン皇太子殿下は『参ったね』と肩を竦める。
皇室の権威を考えると、皇族を罰するのは気が進まないようだ。
デニス皇子殿下はもちろんのこと、義弟も一応皇家の血を引いているため。
『どうやって、この問題を収束させようか』と思案する彼の前で、夫が口を開く。

「その件で裁くのは、フェリクスだけで構いません」

「「えっ?」」

 思わずシャノン皇太子殿下と同じ反応を示してしまう私は、少しばかり戸惑う。
旦那様なら確実にデニス皇子殿下も潰す、と思っていたので。
『フェリクス様に一点集中したいってこと?』と困惑していると、シャノン皇太子殿下が自身の顎を撫でた。

「それはデニスを見逃してくれる、ということかい?」

「いえ、デニス皇子殿下には別の形で……個人的に・・・・罰を与えるつもりです」

 『無罪放免なんて、有り得ない』と主張し、夫は人差し指を軽く動かす。
すると、ロルフがまた別の書類を取り出した。

「なので、皇室にはフェリクスの厳正なる処分とデニス皇子殿下に対する報復行為の黙認をお願いしたい」
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