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第一章
核心をつく③
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「ああ。貸してみなさい」
ヴィンセントから剣を受け取ったロジャー皇帝陛下は、チラリとルパート殿下に目を向ける。
「封印の解除を見るのは、初めてだったか」
「はい」
「では、よく見ておきなさい。これは皇家の血を引く者にしか、出来ないことだからな」
『これを機に、覚えるといい』と告げ、ロジャー皇帝陛下はまだ使っていないナイフを手に取った。
かと思えば、自身の手首を切りつける。
ハッと息を呑むルパート殿下の前で、彼はナイフを置いた。
慣れた様子で自分の血を“混沌を律する剣”に擦り付け、ただ一言
「一時解除を認める」
と、述べる。
その途端、“混沌を律する剣”は僅かに光を放ち、ロジャー皇帝陛下の血を吸収していく。
『これでよし』と頷く陛下は、ヴィンセントに剣を返した。
と同時に、ルパート殿下がナプキンで患部を押さえる。
「……心臓が止まるかと思いました」
「すまない、すまない。事前に言っておくべきだったな」
カラリと笑って止血する様子を見守るロジャー皇帝陛下に、ルパート殿下は一つ息を吐いた。
「封印解除には、絶対に血が必要なのですか?」
「ああ。もっと正確に言うと、皇家の血を引く者の血がな。あとは血の持ち主の意志と言霊だ。ただ、血を掛けるだけじゃ封印は解けん」
「そうですか。では、先程のようにすれば私でも封印を解除出来ますか?」
「もちろん。ただ、言霊は何でもいい。自分の意志さえ、伝えれられればな。ちなみにその気になれば、完全解除も可能だ」
『さっきの封印解除はあくまで一時的なもの』と述べるロジャー皇帝陛下に、ルパート殿下は眉を顰める。
「しませんよ、そんなリスクの高いこと」
「はははっ。それでこそ、私の息子だ。よく分かっておる」
首輪の外れた犬がどれほど恐ろしいか知っているため、ロジャー皇帝陛下は満足そうに頷いた。
たとえ殺されそうになっても封印を解くなよ、と念を押して。
真剣味を帯びた瞳でルパート殿下を見つめる彼を他所に、ヴィンセントは鞘から剣を抜く。
父達の反応を窺うかのように、ゆっくりと。
「ゔぃ、ヴィンセント小公爵……今なら、まだ冗談で済ませられますよ」
ヴィンセントから剣を受け取ったロジャー皇帝陛下は、チラリとルパート殿下に目を向ける。
「封印の解除を見るのは、初めてだったか」
「はい」
「では、よく見ておきなさい。これは皇家の血を引く者にしか、出来ないことだからな」
『これを機に、覚えるといい』と告げ、ロジャー皇帝陛下はまだ使っていないナイフを手に取った。
かと思えば、自身の手首を切りつける。
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と、述べる。
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『これでよし』と頷く陛下は、ヴィンセントに剣を返した。
と同時に、ルパート殿下がナプキンで患部を押さえる。
「……心臓が止まるかと思いました」
「すまない、すまない。事前に言っておくべきだったな」
カラリと笑って止血する様子を見守るロジャー皇帝陛下に、ルパート殿下は一つ息を吐いた。
「封印解除には、絶対に血が必要なのですか?」
「ああ。もっと正確に言うと、皇家の血を引く者の血がな。あとは血の持ち主の意志と言霊だ。ただ、血を掛けるだけじゃ封印は解けん」
「そうですか。では、先程のようにすれば私でも封印を解除出来ますか?」
「もちろん。ただ、言霊は何でもいい。自分の意志さえ、伝えれられればな。ちなみにその気になれば、完全解除も可能だ」
『さっきの封印解除はあくまで一時的なもの』と述べるロジャー皇帝陛下に、ルパート殿下は眉を顰める。
「しませんよ、そんなリスクの高いこと」
「はははっ。それでこそ、私の息子だ。よく分かっておる」
首輪の外れた犬がどれほど恐ろしいか知っているため、ロジャー皇帝陛下は満足そうに頷いた。
たとえ殺されそうになっても封印を解くなよ、と念を押して。
真剣味を帯びた瞳でルパート殿下を見つめる彼を他所に、ヴィンセントは鞘から剣を抜く。
父達の反応を窺うかのように、ゆっくりと。
「ゔぃ、ヴィンセント小公爵……今なら、まだ冗談で済ませられますよ」
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