私に成り代わって嫁ごうとした妹ですが、即行で婚約者にバレました

あーもんど

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第二章

神殿からの接触②

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「ただし、直接対応するのは私一人にします。アイリスはお継母様の死で精神的に参っていることを理由に、欠席させましょう」

 アイリスはまだ経験に乏しく、駆け引きというものを知らない。
相手の挑発などに引っ掛かって、ボロを出す可能性がある。
何より────今の彼女が、神殿の関係者を前にして冷静に対処出来るとは思えない。

 継母の人生をめちゃくちゃにした元凶という点を思い返し、私はそっと目を伏せた。
────と、ここで外から扉を開けられる。

「いいえ、私も行くわ、お姉様」

 そう言って、真っ直ぐこちらを見つめるのは他の誰でもないアイリスだった。
どことなく凛とした面持ちで佇む彼女を前に、私と祖父は目を剥く。

「あ、アイリス……いつの間に……」

「ずっと、そこで聞いておったのか?」

「ごめんなさい、立ち聞きするつもりはなかったんですけど……お姉様の本を返しに来たら、たまたま会話が聞こえてしまって」

 手に持った本を見下ろし、アイリスは少しばかり眉尻を下げる。
と同時に、祖父がちょっと身を屈めた。

「いや、責めている訳ではない。出入り口付近で話していた儂らにも、問題はあるからな。だが、神殿の訪問についてはセシリアに一任した方が良かろう」

 『アイリス自身のためにも』と説得する祖父に対し、彼女は顔色一つ変えなかった。
なんと言われようと私の気持ちは同じだ、とでも言うように。

「そこを何とかお願いします。エーデル公爵家の未来を担っていく者として……お母様の娘として、この事態から逃げたくないんです」

 自身の胸元に手を添え、アイリスは少しばかり身を乗り出した。
アメジストの瞳に強い意志を宿す彼女の前で、私と祖父は顔を見合わせる。

「……本人たっての希望なら、仕方ありませんね」

「そうだな。それに危険なものから遠ざけることだけが、最善とは限らん」

 『時には、困難に立ち向かうのも大事だ』と説く祖父に、私は賛同した。
まあ、姉としてはこんな時くらい甘えてほしい気持ちもあるが。
でも、何より大事なのは本人の意志なのでそれは仕舞っておく。

「アイリス、同席を許可するわ。ただし、感情が表に出ないよう気をつけてね。もし、どうしても我慢出来ないときはハンカチで顔を覆って。そしたら、お継母様の死からまだ立ち直れていないとか何とか言って退席させるから」

「分かった」

 素直にこちらの指示を受け入れるアイリスに、私は少しホッとする。
やっぱり、無理はしてほしくなかったので。

「では、行きましょうか」
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