私に成り代わって嫁ごうとした妹ですが、即行で婚約者にバレました

あーもんど

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第二章

緊急事態①

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「それより、早く移動しましょう」

 ────という言葉を合図に、私達は再び歩き出し、屋敷を後にする。
そして、アルマンの手配した馬車へ乗り込むと、クライン公爵家に向かった。
あそこなら、警備も万全のため。

 またヴィンセントを頼る形になって申し訳ないけど、力になってもらおう。
さすがに襲撃の一件を私達だけで抱え込むのは、無理があるから。

 小窓から流れ行く景色を眺めつつ、私はギュッと胸元を握り締めた。
───と、ここで馬車は目的地へ辿り着く。
要塞のようにしっかりした造りの建物を前に、私達は地上へ降り立った。
すると、建物の方から見知った顔が現れる。

「いらっしゃい、セシリア、アイリス嬢」

 ヴィンセントはこちらを見て柔らかく微笑み、快く出迎えてくれた。
普通、こんな夜中に訪問を受ければ不快に思うだろうに。
たとえ、どんなに親しい間柄でも。
『ヴィンセントは本当、懐が深いわね』としみじみ感じる中、彼は私達を応接室に案内する。

「好きなところに座って、リラックスしてね。あと、アルマンは先に手当てを受けてきてくれる?さすがに、その状態で放置は出来ないから」

「分かりました」

 血で真っ赤に染まった衣類や靴を一瞥し、アルマンは扉の方へ足を向けた。
と同時に、私とアイリスが『助けてくれて、本当にありがとう』と感謝を述べる。
アルマンが居なければ、敵の思い通りになったり酷い怪我を負ったりしていたかもしれないため。
『無傷で生還出来たのは、奇跡だ』と感じる私達を前に、彼はサッと一礼した。
かと思えば、今度こそ部屋を出ていく。

「じゃあ、アルマンがああなった詳しい経緯を聞かせてもらえる?二人とも」

 ヴィンセントは並んで着席した私達姉妹を見据え、スッと目を細めた。
只事じゃないのは何となく分かっているのか少し表情を硬くする彼の前で、私とアイリスは背筋を伸ばす。

「えっと、実は────」

 屋敷での出来事を細かく説明し、私はそっと目を伏せた。
今更ながら、少し怖くなってしまって。
『先程まで、何ともなかったのに……』と思案する中、ヴィンセントは僅かに表情を険しくする。

「エーデル公爵家に侵入者、ね」
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