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第二章
逃げ果せるためには《マーティン side》②
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「侍女に命令して、こっそり持ち出してきたの。今日の警備は私の息が掛かった者達ばかりだったし」
『運が良かったわ』と言い、母は手に持った“均衡を司りし杖”をこちらへ差し出した。
「とりあえず、この封印を解いてもらえる?」
「それは構いませんが……“均衡を司りし杖”を使って、どうするんですか?まさか、セシリア・リゼ・エーデルやアイリス・レーナ・エーデルに『家宝を渡す代わりに逃亡を手助けしろ』などと持ち掛ける気じゃないですよね?」
“均衡を司りし杖”を受け取りつつ、私は疑問を並べる。
今しがた襲ってきた相手に、そんな取り引きを持ち掛けるのは無謀すぎて。
第一、交渉に成功したとしても今のエーデル公爵家では何の役にも立たなかった。
弱体化した家門の力を思い浮かべる私の前で、母は小さく肩を竦める。
「取り引きなんかに使わないわよ。ただ────エーデル公爵家の前当主に渡すだけ」
「はっ?あのボンクラに、ですか?」
地下牢に囚われた銀髪の男を思い返し、私は眉を顰める。
あんな奴に“均衡を司りし杖”を渡して、何になるのか?と思って。
「ねぇ、マーティン。貴方はお先真っ暗の状況で、全てを破壊出来る道具をもらったらどうする?」
突然おかしなことを尋ねてきた母に、私は怪訝な表情を浮かべた。
『一体、何の話だ?』と戸惑いながら。
でも、一応質問には答えておく。
「そりゃあ、迷わず使いますけど……」
「そうよね。多分、エーデル公爵家の前当主も同じように全てを破壊出来る道具を……“均衡を司りし杖”を使うと思うわ。そして、現状を打破しようとする筈」
「!」
そこまで言われてようやく母の考えを理解し、私は大きく瞳を揺らした。
と同時に、“均衡を司りし杖”をギュッと握り締める。
「なるほど……エーデル公爵家の前当主に大暴れしてもらい、周囲の注意を逸らす作戦ですか」
「ええ。騒ぎに乗じて逃げ出せば、しばらく誰も私達の逃亡に気づないだろうし。たとえ察知しても、エーデル公爵家の前当主のことで手一杯になってあまり人員を避けない筈よ」
『これで確実に逃亡の成功率は上がる』と語り、母はトランクの蓋を閉めた。
かと思えば、そっと持ち上げる。
「だから、準備が出来次第エーデル公爵家の前当主の元へ行くわよ」
『運が良かったわ』と言い、母は手に持った“均衡を司りし杖”をこちらへ差し出した。
「とりあえず、この封印を解いてもらえる?」
「それは構いませんが……“均衡を司りし杖”を使って、どうするんですか?まさか、セシリア・リゼ・エーデルやアイリス・レーナ・エーデルに『家宝を渡す代わりに逃亡を手助けしろ』などと持ち掛ける気じゃないですよね?」
“均衡を司りし杖”を受け取りつつ、私は疑問を並べる。
今しがた襲ってきた相手に、そんな取り引きを持ち掛けるのは無謀すぎて。
第一、交渉に成功したとしても今のエーデル公爵家では何の役にも立たなかった。
弱体化した家門の力を思い浮かべる私の前で、母は小さく肩を竦める。
「取り引きなんかに使わないわよ。ただ────エーデル公爵家の前当主に渡すだけ」
「はっ?あのボンクラに、ですか?」
地下牢に囚われた銀髪の男を思い返し、私は眉を顰める。
あんな奴に“均衡を司りし杖”を渡して、何になるのか?と思って。
「ねぇ、マーティン。貴方はお先真っ暗の状況で、全てを破壊出来る道具をもらったらどうする?」
突然おかしなことを尋ねてきた母に、私は怪訝な表情を浮かべた。
『一体、何の話だ?』と戸惑いながら。
でも、一応質問には答えておく。
「そりゃあ、迷わず使いますけど……」
「そうよね。多分、エーデル公爵家の前当主も同じように全てを破壊出来る道具を……“均衡を司りし杖”を使うと思うわ。そして、現状を打破しようとする筈」
「!」
そこまで言われてようやく母の考えを理解し、私は大きく瞳を揺らした。
と同時に、“均衡を司りし杖”をギュッと握り締める。
「なるほど……エーデル公爵家の前当主に大暴れしてもらい、周囲の注意を逸らす作戦ですか」
「ええ。騒ぎに乗じて逃げ出せば、しばらく誰も私達の逃亡に気づないだろうし。たとえ察知しても、エーデル公爵家の前当主のことで手一杯になってあまり人員を避けない筈よ」
『これで確実に逃亡の成功率は上がる』と語り、母はトランクの蓋を閉めた。
かと思えば、そっと持ち上げる。
「だから、準備が出来次第エーデル公爵家の前当主の元へ行くわよ」
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