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第二章
父との戦い①
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◇◆◇◆
────同時刻、皇城の地下牢にて。
私達は両者無傷のまま、睨み合いという名の膠着状態を続けていた。
お互い、家宝の力を警戒するあまり踏み込めていない状況と言えば分かるだろうか。
時折、通常魔法による攻撃……いや、牽制は行っているのだけど、それだけという感じ。
正直、このままだと削り合いの戦いになるわね。
まあ、こちらとしては全然構わないけど。
『長丁場になって困るのは、確実にお父様の方』と思案しつつ、私は炎の槍を放つ。
すると、父が風の矢を生成して相殺した。
「チッ……!これでは、埒が明かん!」
一向に変わらない戦況に痺れを切らし、父は“均衡を司りし杖”を構える。
が、やっぱり“混沌を律する剣”が気掛かりなのか、詠唱を始めることはなかった。
『無作為に血統魔法を使う訳には、いかないものね』と思案する中、父は片手をこちらへ突き出す。
「ウィンドラフ!」
魔法で荒々しい風を巻き起こし、父は地下牢の砂や埃を巻き上げた。
かと思えば────こちらへ放つ。
「「「!?」」」
反射的に目を瞑る私達は、ものの見事に視界を奪われた。
が、直ぐに砂埃は収まる。
「クソッ……!適当に“混沌を律する剣”を振るって、魔法を打ち消したか……!なんて、忌々しい力だ!」
父はヴィンセントの手にあるクライン公爵家の家宝を睨みつけ、歯軋りした。
と同時に、再度手を突き出す。
「だが、先程の方法なら確実に隙は作れる……!────ウィンドラフ!」
もう一度強風を巻き起こし、父は砂埃を発生させた。
それを、ヴィンセントがまた鎮める。
────というやり取りを執拗なまでに繰り返し、徐々に距離を詰めてきた。
多分、このまま強行突破するつもりだろう。
どうしよう……反撃しようにも、この視界の悪さじゃ……。
誤って味方に攻撃してしまう可能性も考え、私は尻込みする。
でも、だからと言って父の好きにさせる訳にもいかなかった。
いっそのこと、広範囲攻撃の『ファイアブレス』を使う?
前方に押し出すようにして使えば、味方に当たらないだろうし……いや、お父様の風魔法で炎の進行方向を変えられたら厄介ね。
最悪、こちらが一網打尽にされるわ。
────同時刻、皇城の地下牢にて。
私達は両者無傷のまま、睨み合いという名の膠着状態を続けていた。
お互い、家宝の力を警戒するあまり踏み込めていない状況と言えば分かるだろうか。
時折、通常魔法による攻撃……いや、牽制は行っているのだけど、それだけという感じ。
正直、このままだと削り合いの戦いになるわね。
まあ、こちらとしては全然構わないけど。
『長丁場になって困るのは、確実にお父様の方』と思案しつつ、私は炎の槍を放つ。
すると、父が風の矢を生成して相殺した。
「チッ……!これでは、埒が明かん!」
一向に変わらない戦況に痺れを切らし、父は“均衡を司りし杖”を構える。
が、やっぱり“混沌を律する剣”が気掛かりなのか、詠唱を始めることはなかった。
『無作為に血統魔法を使う訳には、いかないものね』と思案する中、父は片手をこちらへ突き出す。
「ウィンドラフ!」
魔法で荒々しい風を巻き起こし、父は地下牢の砂や埃を巻き上げた。
かと思えば────こちらへ放つ。
「「「!?」」」
反射的に目を瞑る私達は、ものの見事に視界を奪われた。
が、直ぐに砂埃は収まる。
「クソッ……!適当に“混沌を律する剣”を振るって、魔法を打ち消したか……!なんて、忌々しい力だ!」
父はヴィンセントの手にあるクライン公爵家の家宝を睨みつけ、歯軋りした。
と同時に、再度手を突き出す。
「だが、先程の方法なら確実に隙は作れる……!────ウィンドラフ!」
もう一度強風を巻き起こし、父は砂埃を発生させた。
それを、ヴィンセントがまた鎮める。
────というやり取りを執拗なまでに繰り返し、徐々に距離を詰めてきた。
多分、このまま強行突破するつもりだろう。
どうしよう……反撃しようにも、この視界の悪さじゃ……。
誤って味方に攻撃してしまう可能性も考え、私は尻込みする。
でも、だからと言って父の好きにさせる訳にもいかなかった。
いっそのこと、広範囲攻撃の『ファイアブレス』を使う?
前方に押し出すようにして使えば、味方に当たらないだろうし……いや、お父様の風魔法で炎の進行方向を変えられたら厄介ね。
最悪、こちらが一網打尽にされるわ。
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