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第二章
皇城から脱出③
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「っ……!」
眼前に差し掛かった父の手を前に、私は『避けられない……!』と危機感を抱く。
その瞬間、ヴィンセントが軽く仰け反って父の手を躱した。
「チッ……!」
苛立たしげにこちらを睨みつけ、父は手を引っ込める。
時間的に、再挑戦する暇がないからだろう。
『仕方ない、あっちは諦めるか』と言わんばかりに顔を背け、祖父の服を適当に掴んだ。
かと思えば、自身も下へ落ちる。祖父を道連れにする形で。
「なっ……!?」
自分とヴィンセント以外地下へ逆戻りした現実に、ひたすら衝撃を受ける。
と同時に、ヴィンセントが上階へ着地した。
「アイリス、お祖父様……!早くこちらへ!」
穴から地下を見下ろし、私はもう一度ジャンプするよう促す。
が、一階の壁が倒れてきて脱出口を塞がれた。
これじゃあ、アイリス達は地下から出られない……!
早く瓦礫を撤去しないと……!でも、一つ一つ運搬している暇なんてない……!こうなったら────
「────もう一度、魔法で穴を開けるしか!」
真下に手のひらを向け、私は『あと一撃くらいなら、強力なものを放てる!』と思案する。
その刹那、ヴィンセントに手首を掴まれた。
「ダメだよ、セシリア。勢い余って、フランシス卿達まで燃やしたら大変だ」
『君の炎は凄まじいから、最悪死ぬよ』と語り、ヴィンセントは思い留まるよう説得する。
二階の天井に入った亀裂を眺めながら。
「今は僕達だけでも、脱出しよう」
『現時点で出来ることはない』と告げ、ヴィンセントは落ちてきた瓦礫を切り裂いた。
かと思えば、私を抱いたままこの場から離れる。
……ヴィンセントの言う通りだわ。何も出来ないのは歯痒いけど、アイリス達のことを信じて避難しましょう。
『私達まで動けなくなったら、不味い』と判断し、不満を呑み込んだ。
────と、ここでヴィンセントが一階の窓から外へ出る。
「う~ん……思ったより、被害が大きいね」
少し傾いた皇城を見つめ、ヴィンセントは苦笑を漏らした。
『このままだと、全壊も有り得る……』と思案し、おもむろに足を止める。
「多少のリスクは承知で、やっぱり今から助けに行くべきかな?本当はある程度、崩壊が収まったタイミングで行きたかったんだけど」
悩ましげに眉を顰め、ヴィンセントは通常の剣を握り直した。
すると────
「よく分からないが、人手が要るなら俺も連れて行け」
「私も良ければ、力になるよ」
────突然背後から、声を掛けられる。
『あれ?この声って……』と目を剥く私達は、パッと後ろを振り返った。
と同時に、少しばかり表情を和らげる。
「ルパート殿下、エレン殿下、よくぞご無事で」
「思ったより、お早い帰還でしたね」
マーティン殿下達の確保に赴いていた彼らとの合流に、私達は安堵と歓喜を覚えた。
眼前に差し掛かった父の手を前に、私は『避けられない……!』と危機感を抱く。
その瞬間、ヴィンセントが軽く仰け反って父の手を躱した。
「チッ……!」
苛立たしげにこちらを睨みつけ、父は手を引っ込める。
時間的に、再挑戦する暇がないからだろう。
『仕方ない、あっちは諦めるか』と言わんばかりに顔を背け、祖父の服を適当に掴んだ。
かと思えば、自身も下へ落ちる。祖父を道連れにする形で。
「なっ……!?」
自分とヴィンセント以外地下へ逆戻りした現実に、ひたすら衝撃を受ける。
と同時に、ヴィンセントが上階へ着地した。
「アイリス、お祖父様……!早くこちらへ!」
穴から地下を見下ろし、私はもう一度ジャンプするよう促す。
が、一階の壁が倒れてきて脱出口を塞がれた。
これじゃあ、アイリス達は地下から出られない……!
早く瓦礫を撤去しないと……!でも、一つ一つ運搬している暇なんてない……!こうなったら────
「────もう一度、魔法で穴を開けるしか!」
真下に手のひらを向け、私は『あと一撃くらいなら、強力なものを放てる!』と思案する。
その刹那、ヴィンセントに手首を掴まれた。
「ダメだよ、セシリア。勢い余って、フランシス卿達まで燃やしたら大変だ」
『君の炎は凄まじいから、最悪死ぬよ』と語り、ヴィンセントは思い留まるよう説得する。
二階の天井に入った亀裂を眺めながら。
「今は僕達だけでも、脱出しよう」
『現時点で出来ることはない』と告げ、ヴィンセントは落ちてきた瓦礫を切り裂いた。
かと思えば、私を抱いたままこの場から離れる。
……ヴィンセントの言う通りだわ。何も出来ないのは歯痒いけど、アイリス達のことを信じて避難しましょう。
『私達まで動けなくなったら、不味い』と判断し、不満を呑み込んだ。
────と、ここでヴィンセントが一階の窓から外へ出る。
「う~ん……思ったより、被害が大きいね」
少し傾いた皇城を見つめ、ヴィンセントは苦笑を漏らした。
『このままだと、全壊も有り得る……』と思案し、おもむろに足を止める。
「多少のリスクは承知で、やっぱり今から助けに行くべきかな?本当はある程度、崩壊が収まったタイミングで行きたかったんだけど」
悩ましげに眉を顰め、ヴィンセントは通常の剣を握り直した。
すると────
「よく分からないが、人手が要るなら俺も連れて行け」
「私も良ければ、力になるよ」
────突然背後から、声を掛けられる。
『あれ?この声って……』と目を剥く私達は、パッと後ろを振り返った。
と同時に、少しばかり表情を和らげる。
「ルパート殿下、エレン殿下、よくぞご無事で」
「思ったより、お早い帰還でしたね」
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