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第二章

ディアナ様は疲れている 4

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 ブラウン王子はズボンを尿で濡らしながらも後退る。
 未だに流れ出る尿。
 一体、どれだけおしっこ我慢してたんですか...。
 ブラウン王子の周りはやや黄色がかった透明な液体の水溜まりが出来ていた。

「お前に一つ良いことを教えてやる。ディアナの周りには必ず四大精霊の誰かが居て、ディアナを守っている。俺は四大精霊の中ではまだ温厚な方だから、殺さないでやっているが俺以外の四大精霊の奴等もそうとは限らないぞ。ディアナの制止を振り切ってお前を抹消する奴だって居るだろうな」

「ひっ...ぐぅ....ふっ」

 ブラウン王子は痛みと恐怖のあまり、上手く呂律が回らず言いたいことをちゃんと口に出来ていない状態。
 サラマンダーの言っていることは単なる脅し文句ではなく、事実だ。
 四大精霊の中で最も温厚なのはサラマンダーである。『え?これで温厚なの?』と思うかもしれないが、四大精霊の中では最も温厚だ。要するに他の四大精霊が物凄く短気で血の気が多いということ。
 正直、今ここに居るのがサラマンダーではなく他の四大精霊だったらブラウン王子は今頃あの世に居たことでしょうね。

「これが最後の警告だ。もう二度とディアナに関わるな。次、何かあれば.....俺もディアナの制止を振り切ってでもお前を殺す」

「ひょっ!?ふぇ....ぐぼぼぼっ」

 軽く殺気を乗せた声でサラマンダーがそう告げれば、ブラウン王子は恐怖に耐えきれず泡を吹いて気絶した。
 ブラウン王子の体が床に打ち付けれる際、バシャッとブラウン王子の尿が辺りに飛び散る。

「きゃぁあ!?きったなーい!」

「うぇ、ブラウン王子のおしっこだ」

「俺、早退して風呂入るわ」

 ブラウン王子の近くに居た生徒にブラウン王子の尿がかかったらしく、皆顔をしかめている。
 さすがは嫌われ者ですね。
 誰一人としてブラウン王子のことを心配しないとは。
 ある意味凄いですよ、この状況。

「ディアナ、どうする?今日は帰るか?こんな状況だし....」

 そうだね。帰ろっか。
 どうせ、教室がこんな状態じゃ授業出来ないだろうし。
 私はサラマンダーの提案に頷き、席から立った。
 登校初日で遅刻に早退なんて前代未聞ですが、流石に今日は疲れたのでここら辺でお暇させて頂きましょう。
 泡を吹いて気絶したブラウン王子に注目が集まっている内に私とサラマンダーはそそくさと教室を後にした。
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