72 / 315
第三章
第71話『クソ雑魚バーサーカー姫』
しおりを挟む
『嫌だ』『反対だ』と文句を並べる三人を軽く睨んで黙らせ、私はレオンさんをチームへと引き入れた。
そして、直ぐに出発の準備を整えると、音速に近いスピードで移動する。
まあ、私は相変わらず徳正さんの腕に抱かれているだけだが。
そういえば、レオンさんは大丈夫だろうか?ちゃんと付いてきてるかな?
最後尾を走ることになったレオンさんの状況が気になり、私は徳正さんの肩からひょこっと顔を出した。
すると、まず最初に私達の真後ろを走るシムナさんが目に入る。
余裕そうな表情でついてくる彼を一瞥し、私は奥の方へ視線を向けた。
────が、ラルカさんはおろかレオンさんの姿も見当たらない。
『あれ?どこに行った?』と疑問に思っていると、シムナさんが顔を上げた。
「あれー?ラミエル、どうしたのー?後ろを振り返るなんて、珍しいじゃーん」
「えっと、レオンさんがちゃんと付いてきているか気になりまして……それで今、彼はどこに?あと、ラルカさんの姿もないようですが」
「んー?あの勘違い男とラルカなら、多分もうすぐ追い付くと思うよー」
「勘違い男……」
まさかのネーミングセンスに、私は思わず復唱してしまう。
が、シムナさんは特に気にするでもなく言葉を続ける。
「実はさっき、勘違い男が盛大に転けちゃってさー。このスピードだからか、足に怪我を負っちゃったんだよねー。それで、ラルカが救助に向かったんだよー。まあ、あの程度の怪我ならポーションで治るんじゃなーい?」
「な、なるほど……」
私は盛大に転けたと言うレオンさんのことを心配しながら、後方をじっと見つめる。
すると、遠くの方から物凄いスピードでこちらに近づいてくる何かが見えた。
多分、あれはラルカさん達かな?このスピードに追い付ける人なんて、早々居ないし……って、ん!?
瞬きの間にどんどん距離が縮まり、近づいてくるラルカさん達を前に、私は目を見開いた。
だって、ラルカさんがレオンさんを────お姫様抱っこしていたから。
しかも、ご丁寧に膝掛けまで掛けてある。クマ柄の……。
「し、シムナさん後ろ……」
「んー?なになにー……ぶっは!なにあれ!?あははははっ!」
あっという間に追いついた二人を見て、シムナさんは例の如く大爆笑した。
『ひぃひぃ』言いながら腹を抱える彼の前で、レオンさんはどこか複雑そうな表情を浮かべる。
自分のミスが招いた結果とはいえ、このような扱いを受けるのは不服なのだろう。
『今すぐ、降りたい……』と言わんばかりの表情だが、助走なしでこのスピードに順応出来るほどの脚力はない。
だから、大人しくラルカさんの腕に収まっているのだ。
「ぶははははっ!もう一生そのままで、良いんじゃなーい?クソ雑魚狂戦士姫~」
「……俺は姫じゃない……」
「いやいや、お姫様抱っこされてる時点で姫でしょー!ていうか、『クソ雑魚狂戦士』は否定しないんだー?ぶははっ!」
『こんなゴツい姫は嫌だ。ラミエルくらい、華奢で可愛げのある姫を所望する』
「ラミエルは僕のだから、ダメー」
「いや、ラーちゃんは俺っちのだから~」
「ねぇー、いきなり話に入って来ないでよー!翁ー!」
「俺っちには、『徳正』って言う格好いい名前があるんだけどな~」
「へぇー!そーなんだー!」
「まさかの聞く気0~!?」
『何で~!?』と絶叫し、徳正さんは肩を落とす。
『まだまだ若いのに……』と嘆く彼を他所に、私は前へ視線を戻した。
と同時に、息を呑む。
「こ、れは……」
街中で巨大ゴーレムと戦うプレイヤー達を発見し、私は血の気が引く。
だって、街から少し離れたところに居る私達のところまで衝撃波が届くほどの激しい戦闘を繰り広げているから。
おまけに全員満身創痍で、大量の血を流していた。
プレイヤー側の劣勢を悟りながら、私は声を張り上げる。
「急いでください!このままだと、あのパーティーは────全滅してしまいます!」
そして、直ぐに出発の準備を整えると、音速に近いスピードで移動する。
まあ、私は相変わらず徳正さんの腕に抱かれているだけだが。
そういえば、レオンさんは大丈夫だろうか?ちゃんと付いてきてるかな?
最後尾を走ることになったレオンさんの状況が気になり、私は徳正さんの肩からひょこっと顔を出した。
すると、まず最初に私達の真後ろを走るシムナさんが目に入る。
余裕そうな表情でついてくる彼を一瞥し、私は奥の方へ視線を向けた。
────が、ラルカさんはおろかレオンさんの姿も見当たらない。
『あれ?どこに行った?』と疑問に思っていると、シムナさんが顔を上げた。
「あれー?ラミエル、どうしたのー?後ろを振り返るなんて、珍しいじゃーん」
「えっと、レオンさんがちゃんと付いてきているか気になりまして……それで今、彼はどこに?あと、ラルカさんの姿もないようですが」
「んー?あの勘違い男とラルカなら、多分もうすぐ追い付くと思うよー」
「勘違い男……」
まさかのネーミングセンスに、私は思わず復唱してしまう。
が、シムナさんは特に気にするでもなく言葉を続ける。
「実はさっき、勘違い男が盛大に転けちゃってさー。このスピードだからか、足に怪我を負っちゃったんだよねー。それで、ラルカが救助に向かったんだよー。まあ、あの程度の怪我ならポーションで治るんじゃなーい?」
「な、なるほど……」
私は盛大に転けたと言うレオンさんのことを心配しながら、後方をじっと見つめる。
すると、遠くの方から物凄いスピードでこちらに近づいてくる何かが見えた。
多分、あれはラルカさん達かな?このスピードに追い付ける人なんて、早々居ないし……って、ん!?
瞬きの間にどんどん距離が縮まり、近づいてくるラルカさん達を前に、私は目を見開いた。
だって、ラルカさんがレオンさんを────お姫様抱っこしていたから。
しかも、ご丁寧に膝掛けまで掛けてある。クマ柄の……。
「し、シムナさん後ろ……」
「んー?なになにー……ぶっは!なにあれ!?あははははっ!」
あっという間に追いついた二人を見て、シムナさんは例の如く大爆笑した。
『ひぃひぃ』言いながら腹を抱える彼の前で、レオンさんはどこか複雑そうな表情を浮かべる。
自分のミスが招いた結果とはいえ、このような扱いを受けるのは不服なのだろう。
『今すぐ、降りたい……』と言わんばかりの表情だが、助走なしでこのスピードに順応出来るほどの脚力はない。
だから、大人しくラルカさんの腕に収まっているのだ。
「ぶははははっ!もう一生そのままで、良いんじゃなーい?クソ雑魚狂戦士姫~」
「……俺は姫じゃない……」
「いやいや、お姫様抱っこされてる時点で姫でしょー!ていうか、『クソ雑魚狂戦士』は否定しないんだー?ぶははっ!」
『こんなゴツい姫は嫌だ。ラミエルくらい、華奢で可愛げのある姫を所望する』
「ラミエルは僕のだから、ダメー」
「いや、ラーちゃんは俺っちのだから~」
「ねぇー、いきなり話に入って来ないでよー!翁ー!」
「俺っちには、『徳正』って言う格好いい名前があるんだけどな~」
「へぇー!そーなんだー!」
「まさかの聞く気0~!?」
『何で~!?』と絶叫し、徳正さんは肩を落とす。
『まだまだ若いのに……』と嘆く彼を他所に、私は前へ視線を戻した。
と同時に、息を呑む。
「こ、れは……」
街中で巨大ゴーレムと戦うプレイヤー達を発見し、私は血の気が引く。
だって、街から少し離れたところに居る私達のところまで衝撃波が届くほどの激しい戦闘を繰り広げているから。
おまけに全員満身創痍で、大量の血を流していた。
プレイヤー側の劣勢を悟りながら、私は声を張り上げる。
「急いでください!このままだと、あのパーティーは────全滅してしまいます!」
5
あなたにおすすめの小説
追放されたら無能スキルで無双する
ゆる弥
ファンタジー
無能スキルを持っていた僕は、荷物持ちとしてあるパーティーについて行っていたんだ。
見つけた宝箱にみんなで駆け寄ったら、そこはモンスタールームで。
僕はモンスターの中に蹴り飛ばされて置き去りにされた。
咄嗟に使ったスキルでスキルレベルが上がって覚醒したんだ。
僕は憧れのトップ探索者《シーカー》になる!
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります
しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。
納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。
ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。
そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。
竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした
桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。
荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。
しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。
しかし――
彼が切り捨てた仲間こそが、
実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。
事実に気づいた時にはもう遅い。
道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。
“荷物持ちがいなくなった瞬間”から、
アレクスの日常は静かに崩壊していく。
短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。
そんな彼と再び肩を並べることになったのは――
美しいのに中二が暴走する魔法使い
ノー天気で鈍感な僧侶
そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー
かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。
自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。
これは、
“間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる”
再生の物語である。
《小説家になろうにも投稿しています》
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる