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第三章
第83話『捜索開始』
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「では、これよりリアムさんの捜索を開始します!散開してください!」
そう号令を掛けると、徳正さんが一足早くこの場を離れる。
瞬きの間に居なくなった黒衣の忍びを前に、私達も街中へ足を踏み入れた。
そして、ラルカさん・レオンさんチームと別れると、虱潰しにあちこち探し回る。
他の街と比べダメージが少なく済んでいるおかげか、歩きやすいが……両脇に立ち並ぶ高い建物のせいで、遠くまで見渡せない。
街の建物が残っているのは喜ばしいことなのに、今だけとても恨めしい……。
『捜索に邪魔!』と思いつつ、私はゲーム内ディスプレイを起動した。
時刻は22時59分……ナイトタイムまで、もうそんなに時間がない……!!
ナイトタイムに入ってしまったら、リアムさんの捜索はより困難になる。
街中を照らす太陽がなくなるから。
『何としてでも、明るいうちに見つけないと!』と奮起し、私は体と一緒に思考も動かした。
あの好奇心旺盛なリアムさんが巨大ロボットを見て、私達の傍から離れたとして……どこに行く?
巨大ロボットがよく見える建物の上?
それとも、間近で巨大ロボットを見るためロボットの近くへ……?
常識的に考えるなら、街の全貌を見渡せる建物の上だけど……奇想天外な行動を繰り出す彼が、そんな平凡な行動を取るだろうか?
完全にリアムさんを変人認定している私は、『常識的に考えていいものか』と悩む。
出来れば、リアムさんをよく知る人物に意見を仰ぎたいところだけど……一番付き合いの長いレオンさんは混乱中で、使い物にならない。
やっぱり、このまま虱潰しに探すしかないのかな?でも、それだと時間が……だからと言って、あのリアムさんの行きそうな場所なんて分からないし……。
「────あっ!」
ある……一つだけある!彼の行きそうな場所!もしも、私の読み通りならリアムさんは……。
「ラミエルー!突然、大声を出してどうしたのー?なんか面白いものでも、見つけたー?」
先頭を走るシムナさんは、後ろ歩き……ではなく、後ろ走りでこちらを振り返った。
器用に建物の角を曲がる彼の前で、私はゆるりと口角を上げる。
「面白いかどうかは分かりませんが、リアムさんの行きそうな場所……その有力候補を見つけました」
「え?ほんとー?この短時間でよく見つけられたねー。それもノーヒントでー。僕、会ったばっかの奴の行きそうな場所なんて分かんないよー」
驚いたように目を見開くシムナさんは、『すごいすごーい』と手放しで褒めてくれた。
ニコニコと機嫌良く笑う彼を前に、私はふと巨大ロボットへ目を向ける。
あの好奇心旺盛なリアムさんが、ただ巨大ロボットを眺めるだけで満足するとは思えない。
その仕組みや構造に興味を持つ筈だ。
だとすれば、考えられる行動は二つ。
分解して自ら研究していく派と、それを知っている人物に聞きに行く派。
そして、リアムさんは恐らく────後者だ。
だって、彼は確かに巨大ロボットを見て『ユーモア溢れる作品だね!僕はいいと思うよ!』と言った。
まるで、芸術作品でも見るかのように。
そんな大作をわざわざ壊したいとは、思わないだろう。
だから────
「────多分、リアムさんが向かったのは巨大ロボットを開発した研究者達のところです」
「ふーん。じゃあ、建物の中に居るかもしれないってことー?」
「ええ。招き入れられているなら、そうなりますね」
リアムさんの性格はさておき、肩書きは立派だから面会出来ていてもおかしくない。
なので、どこかひとチームくらいは建物内を探すべきだろう。
たとえ、私の予想が外れていたとしても。
『上手く行けば、リアムさんの目撃情報も得られるから』と思い立ち、私は前を見据える。
「とりあえず、片っ端からギルド本部を訪ねて行きましょう」
「りょーかーい」
両腕を使って大きな〇を作ると、シムナさんは正面を向いた。
と同時に、軽くステップを踏んで方向転換した。
向かうは────生産系ギルドで名を馳せる、『プタハのアトリエ』
そう号令を掛けると、徳正さんが一足早くこの場を離れる。
瞬きの間に居なくなった黒衣の忍びを前に、私達も街中へ足を踏み入れた。
そして、ラルカさん・レオンさんチームと別れると、虱潰しにあちこち探し回る。
他の街と比べダメージが少なく済んでいるおかげか、歩きやすいが……両脇に立ち並ぶ高い建物のせいで、遠くまで見渡せない。
街の建物が残っているのは喜ばしいことなのに、今だけとても恨めしい……。
『捜索に邪魔!』と思いつつ、私はゲーム内ディスプレイを起動した。
時刻は22時59分……ナイトタイムまで、もうそんなに時間がない……!!
ナイトタイムに入ってしまったら、リアムさんの捜索はより困難になる。
街中を照らす太陽がなくなるから。
『何としてでも、明るいうちに見つけないと!』と奮起し、私は体と一緒に思考も動かした。
あの好奇心旺盛なリアムさんが巨大ロボットを見て、私達の傍から離れたとして……どこに行く?
巨大ロボットがよく見える建物の上?
それとも、間近で巨大ロボットを見るためロボットの近くへ……?
常識的に考えるなら、街の全貌を見渡せる建物の上だけど……奇想天外な行動を繰り出す彼が、そんな平凡な行動を取るだろうか?
完全にリアムさんを変人認定している私は、『常識的に考えていいものか』と悩む。
出来れば、リアムさんをよく知る人物に意見を仰ぎたいところだけど……一番付き合いの長いレオンさんは混乱中で、使い物にならない。
やっぱり、このまま虱潰しに探すしかないのかな?でも、それだと時間が……だからと言って、あのリアムさんの行きそうな場所なんて分からないし……。
「────あっ!」
ある……一つだけある!彼の行きそうな場所!もしも、私の読み通りならリアムさんは……。
「ラミエルー!突然、大声を出してどうしたのー?なんか面白いものでも、見つけたー?」
先頭を走るシムナさんは、後ろ歩き……ではなく、後ろ走りでこちらを振り返った。
器用に建物の角を曲がる彼の前で、私はゆるりと口角を上げる。
「面白いかどうかは分かりませんが、リアムさんの行きそうな場所……その有力候補を見つけました」
「え?ほんとー?この短時間でよく見つけられたねー。それもノーヒントでー。僕、会ったばっかの奴の行きそうな場所なんて分かんないよー」
驚いたように目を見開くシムナさんは、『すごいすごーい』と手放しで褒めてくれた。
ニコニコと機嫌良く笑う彼を前に、私はふと巨大ロボットへ目を向ける。
あの好奇心旺盛なリアムさんが、ただ巨大ロボットを眺めるだけで満足するとは思えない。
その仕組みや構造に興味を持つ筈だ。
だとすれば、考えられる行動は二つ。
分解して自ら研究していく派と、それを知っている人物に聞きに行く派。
そして、リアムさんは恐らく────後者だ。
だって、彼は確かに巨大ロボットを見て『ユーモア溢れる作品だね!僕はいいと思うよ!』と言った。
まるで、芸術作品でも見るかのように。
そんな大作をわざわざ壊したいとは、思わないだろう。
だから────
「────多分、リアムさんが向かったのは巨大ロボットを開発した研究者達のところです」
「ふーん。じゃあ、建物の中に居るかもしれないってことー?」
「ええ。招き入れられているなら、そうなりますね」
リアムさんの性格はさておき、肩書きは立派だから面会出来ていてもおかしくない。
なので、どこかひとチームくらいは建物内を探すべきだろう。
たとえ、私の予想が外れていたとしても。
『上手く行けば、リアムさんの目撃情報も得られるから』と思い立ち、私は前を見据える。
「とりあえず、片っ端からギルド本部を訪ねて行きましょう」
「りょーかーい」
両腕を使って大きな〇を作ると、シムナさんは正面を向いた。
と同時に、軽くステップを踏んで方向転換した。
向かうは────生産系ギルドで名を馳せる、『プタハのアトリエ』
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