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第三章
第111話『東大陸の討伐状況《 side》』
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街道沿いの森の中で、ノーマルゴーレムと対峙する俺は周囲に誰も居ないことを確認し、抜剣する。
陽の光を帯びて輝くを増す、この剣の呼称は“フラガラッハ”。
太陽神ルーが所持している架空の武器をゲーム内で再現したもので、レア度は非常に高い。
ラルカの持っているデスサイズや徳正の愛用している妖刀マサムネと並ぶほどに。
当然、その分硬度や威力も高く、主人を必ず勝利へ導くとされている。
まあ、使い手が無能ならただの棒切れと変わらないがな。
俺は巨大ゴーレムを冷めた目で見つめつつ、軽く地面を蹴り上げた。
すると、俺の体は宙に浮き、弾丸のような速さで飛んでいく。
ノーマルゴーレムではなく、マジックゴーレムならもう少し楽しめたんだがな……。
まあ、それでも俺の圧勝だと思うが……やはり、コンピューター相手では詰まらん。
作業ゲーでしかないゴーレム討伐に飽き飽きしながら、俺は流れるような動作でゴーレムの首を斬り落とした。
と同時に、ノーマルゴーレムの体は光の粒子へ変わる。
それを一瞥し、俺はゲーム内ディスプレイを呼び起こした。
通話中と表記されたアイコンをタップし、同盟メンバーとの通話画面へ飛ぶ。
そして、マイクをオンにした。
「俺だ。ノーマルゴーレムの討伐がたった今、終了した。次の指示を頼む」
「え?もうか?相変わらず、仕事が早いな。まだ討伐司令を出してから、三十分も経っていないのに。さすがだな」
「無駄口はいい。さっさと次の指示を寄越せ」
グループ通話だから仕方ないとはいえ、ラミエルを馬鹿にした連中とあまり繋がっていたくなくて、俺は返答を急かした。
すると、『紅蓮の夜叉』のギルドマスターであるヘスティアは少し困ったような素振りを見せる。
「んー……そう言われてもなぁ、もう特に仕事はないんだ。東大陸のゴーレムたちは昨日のうちにほとんど、私達が……というか、お前が片付けたからな。今のところ新しい目撃情報もなさそうだし……お前が他のプレイヤーと組んでもいいと言うなら、まだ討伐の完了していない地域へ送り出すんだが……」
「却下だ。俺はパーティーメンバー以外と共闘するつもりはない」
明確な拒絶を示した俺に対し、ヘスティアは『やっぱり、そうなるよな……』と零す。
ヘスティアとしては苦しい戦闘状況のところへ俺を送り出し、さっさとケリを付けたかったんだろうが……今回だけはダメだ。
容認出来ない。
「やることがないなら、俺は東大陸を出て北大陸に渡る。あっちはまだ全然ゴーレムの討伐が、進んでいないみたいだからな」
昨日ラミエルから届いたメッセージを思い返し、俺は別行動を提案した。
すると、ヘスティアは呆れたように溜め息を零す。
「はぁ……全く、お前は……どうせ、『行くな』と言っても行くのだろう?」
「ああ、当たり前だ」
「分かった。なら、お前の好きにしろ。私にお前の自由を制限する力はないからな。ただし……」
そこで言葉を区切ると、ヘスティアは少しばかり声を低くした。
「くれぐれも、気をつけて行け。ゴーレムだけが敵とは限らないからな……」
全く……心配症なところはいつになっても変わらないな。
俺の強さも用心深さも、ヘスティアは誰よりもよく分かっている筈なのに。
『まあ、あいつらしいけど』と肩を竦め、俺は剣を鞘に収める。
そして北大陸のある方向を見据えると、
「ああ、肝に銘じておく」
と言って通話を切り、駆け出した。
陽の光を帯びて輝くを増す、この剣の呼称は“フラガラッハ”。
太陽神ルーが所持している架空の武器をゲーム内で再現したもので、レア度は非常に高い。
ラルカの持っているデスサイズや徳正の愛用している妖刀マサムネと並ぶほどに。
当然、その分硬度や威力も高く、主人を必ず勝利へ導くとされている。
まあ、使い手が無能ならただの棒切れと変わらないがな。
俺は巨大ゴーレムを冷めた目で見つめつつ、軽く地面を蹴り上げた。
すると、俺の体は宙に浮き、弾丸のような速さで飛んでいく。
ノーマルゴーレムではなく、マジックゴーレムならもう少し楽しめたんだがな……。
まあ、それでも俺の圧勝だと思うが……やはり、コンピューター相手では詰まらん。
作業ゲーでしかないゴーレム討伐に飽き飽きしながら、俺は流れるような動作でゴーレムの首を斬り落とした。
と同時に、ノーマルゴーレムの体は光の粒子へ変わる。
それを一瞥し、俺はゲーム内ディスプレイを呼び起こした。
通話中と表記されたアイコンをタップし、同盟メンバーとの通話画面へ飛ぶ。
そして、マイクをオンにした。
「俺だ。ノーマルゴーレムの討伐がたった今、終了した。次の指示を頼む」
「え?もうか?相変わらず、仕事が早いな。まだ討伐司令を出してから、三十分も経っていないのに。さすがだな」
「無駄口はいい。さっさと次の指示を寄越せ」
グループ通話だから仕方ないとはいえ、ラミエルを馬鹿にした連中とあまり繋がっていたくなくて、俺は返答を急かした。
すると、『紅蓮の夜叉』のギルドマスターであるヘスティアは少し困ったような素振りを見せる。
「んー……そう言われてもなぁ、もう特に仕事はないんだ。東大陸のゴーレムたちは昨日のうちにほとんど、私達が……というか、お前が片付けたからな。今のところ新しい目撃情報もなさそうだし……お前が他のプレイヤーと組んでもいいと言うなら、まだ討伐の完了していない地域へ送り出すんだが……」
「却下だ。俺はパーティーメンバー以外と共闘するつもりはない」
明確な拒絶を示した俺に対し、ヘスティアは『やっぱり、そうなるよな……』と零す。
ヘスティアとしては苦しい戦闘状況のところへ俺を送り出し、さっさとケリを付けたかったんだろうが……今回だけはダメだ。
容認出来ない。
「やることがないなら、俺は東大陸を出て北大陸に渡る。あっちはまだ全然ゴーレムの討伐が、進んでいないみたいだからな」
昨日ラミエルから届いたメッセージを思い返し、俺は別行動を提案した。
すると、ヘスティアは呆れたように溜め息を零す。
「はぁ……全く、お前は……どうせ、『行くな』と言っても行くのだろう?」
「ああ、当たり前だ」
「分かった。なら、お前の好きにしろ。私にお前の自由を制限する力はないからな。ただし……」
そこで言葉を区切ると、ヘスティアは少しばかり声を低くした。
「くれぐれも、気をつけて行け。ゴーレムだけが敵とは限らないからな……」
全く……心配症なところはいつになっても変わらないな。
俺の強さも用心深さも、ヘスティアは誰よりもよく分かっている筈なのに。
『まあ、あいつらしいけど』と肩を竦め、俺は剣を鞘に収める。
そして北大陸のある方向を見据えると、
「ああ、肝に銘じておく」
と言って通話を切り、駆け出した。
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