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第四章
第141話『旅館に集合』
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その後、アヤさんを始めとする『紅蓮の夜叉』のメンバーと別れ────私達はリーダーの指示の元、リユニオンタウンの旅館まで来ていた。
貸し切り状態の旅館には、私達『虐殺の紅月』のメンバーが勢揃いしている。
何故か部外者の田中さんも居るけど、まあ別にいいか。
リーダーは何も言ってない訳だし。
居間で徳正さんに膝枕してもらっている私は、部屋の中をぐるっと見回した。
仲良く並んで座るアラクネさんと田中さんに、ヴィエラさんの世話を甲斐甲斐しく焼くラルカさん、徳正さんの隣で私の様子を静かに見守るシムナさんと長テーブルのお誕生日席で沈黙するリーダー。
皆それぞれ、好きなように過ごしている。
「ラーちゃん、大丈夫~?部屋まで送ろうか~?」
「なんかボスから話があるみたいだけど、辛いなら休んでて良いよー!話の内容は後で伝えるしー!」
「いえ、大丈夫です。お気遣いありがとうございます」
心配そうに顔を覗き込んでくる徳正さんとシムナさんに、私はニッコリと微笑む。
が、彼らは納得していない様子でこちらをじっと見つめていた。
どうやら、まだ本調子じゃないことはバレているらしい。
正直、まだめちゃくちゃ頭痛いし、吐き気も凄いし、胸も苦しいからね……。
でも、耐えられないほどじゃない。
「あ、ああああああ、あの!!よ、良ければ頭痛薬とか漢方とか作りますよ!!」
「あー……ラーちゃんの体調不良は、マジックポーションの過剰摂取によるものなんだよね~」
「だから、薬を飲んでも意味ないんだよー!」
「すみません、アラクネさん……お気持ちだけ受け取っておきます」
「い、いいいいいいい、いえ!!こ、ここここここ、こちらこそ出過ぎた真似を……!!」
大袈裟なくらい深々と頭を下げるおさげの少女に、私は『いえ、嬉しかったですよ』と声を掛ける。
相変わらず低姿勢すぎて、見ているこっちが申し訳なくなった。
「つーか、ラミエルお前マジックポーション何本飲んだんだ?」
つい先程までアラクネさんの可愛さに悶えていた田中さんは、ふと質問を投げかけて来た。
その手には何故か、プリントアウトされたアラクネさんの写真が……。
うん、気にしないことにしよう。
この人のシスコンっぷりは、今に始まった話じゃないから。
「四本ですね。どうやら、私の限界量は三本だったようで……」
「高レベル回復師でも、四本目でダウンすんのか。やっぱ、マジックポーションの限界量って強さやレベルはあんま関係ないのか……」
「みたいだねー。僕はレベル1の時から、四本飲めたしー。そういえば、ヴィエラは何本飲んだのー?ぶっ倒れるくらいだし、結構飲んだんでしょー?」
「そ、そそそそそそそ、それが……!結構別行動を取っていたので、正確な数は把握し切れていないんです!すみません!!」
再びガバッと勢いよく頭を下げるアラクネさんに、田中さんは『謝らなくて良いんだぞ』と優しく言い聞かせる。
ついでに『ウチの妹を虐めるな』と、シムナさんに野次を飛ばすのも忘れない。
────と、ここでヴィエラさんが
「ん……」
と言って、目を覚ました。
まだ意識が朦朧としているのか、マゼンダの瞳はぼんやりしている。
「ヴィエラ、起きたか?」
「キ、ング……?」
「ああ、俺だ。少し辛いかもしれないが、一旦起きてくれ。大切な話がある」
「ん……分かったわ」
リーダーの呼び掛けに応じ、ゆっくりと身を起こしたヴィエラさんは瞬きして意識を覚醒させる。
ようやく光の灯ったマゼンダの瞳を前に、私もいそいそと起き上がった。
さすがに自分だけ寝転がっているのは、気が引けて。
『うっ……でも、やっぱ辛いな』と口元を押さえると、徳正さんにそっと肩を抱き寄せられる。
「ラーちゃん、寄り掛かってていいよ~。まだ辛いでしょ~?」
「あっ!徳正、ずるーい!僕も僕もー!」
「まあまあ、シムナ落ち着きなよ~。ここは体の小さいシムナより、俺っちに寄り掛かった方が楽でしょ~?」
「むぅー!そんな事ないもーん!」
ムスッとした表情を浮かべるシムナさんは、ハイハイ歩きで私の隣に移動する。
と同時に、『寄り掛かって来ても良いよー!』と胸を張って言った。
う~ん……気持ちは嬉しいんだけど、小柄なシムナさんに寄り掛かったら潰しちゃいそうで怖いんだよね。
「えっと……ありがとうございます。お気持ちだけ、有り難く受け取っておきますね」
「えー!何でー!?」
「はい、残念~。ラーちゃんは俺っちの方がいいみたい~」
「むぅー!キャラデザ、ミスったー!もっと身長高くしておけば良かったー!」
悔しそうに歯を食いしばるシムナさんは、バシバシとテーブルを叩く。
────と、ここでリーダーが顔を上げた。
「元気なのは結構だが、今は静かにしてくれ。話を始められない」
「「はーい……」」
シムナさんと徳正さんは大人しく口を閉ざし、背筋を伸ばす。
『僕達ちゃんといい子にしているよ!』とアピールする彼らの前で、リーダーは視線を前に戻した。
「じゃあ、そろそろ報告会を始める。まず、皆よくやってくれた。美味しいところは全てヘスティア達に取られたが、お前達のおかげでイベントを無事クリアすることが出来た。死亡率低下に貢献してくれたのは、確実にお前達だからな。これで少しは、『虐殺の紅月』のイメージも変わるだろう」
嬉しいことに、『田中研究所』や『プタハのアトリエ』との繋がりも出来たしね。
イベントそのものは凄く大変だったけど、実りあるものだったと思う。
「と、イベントの話はここら辺にして……ゲームクリアの話をしよう。まず同盟メンバーの動きについてだが、とりあえず明後日集まって話し合うことになった。議題は言うまでもなく、今回のイベントで得られた情報の真偽と今後の活動について。そして────」
リーダーはそこで言葉を区切ると、何故か私の方に視線を向けてきた。
「────今回の同盟会議にはラミエルも参加するよう、指示された」
貸し切り状態の旅館には、私達『虐殺の紅月』のメンバーが勢揃いしている。
何故か部外者の田中さんも居るけど、まあ別にいいか。
リーダーは何も言ってない訳だし。
居間で徳正さんに膝枕してもらっている私は、部屋の中をぐるっと見回した。
仲良く並んで座るアラクネさんと田中さんに、ヴィエラさんの世話を甲斐甲斐しく焼くラルカさん、徳正さんの隣で私の様子を静かに見守るシムナさんと長テーブルのお誕生日席で沈黙するリーダー。
皆それぞれ、好きなように過ごしている。
「ラーちゃん、大丈夫~?部屋まで送ろうか~?」
「なんかボスから話があるみたいだけど、辛いなら休んでて良いよー!話の内容は後で伝えるしー!」
「いえ、大丈夫です。お気遣いありがとうございます」
心配そうに顔を覗き込んでくる徳正さんとシムナさんに、私はニッコリと微笑む。
が、彼らは納得していない様子でこちらをじっと見つめていた。
どうやら、まだ本調子じゃないことはバレているらしい。
正直、まだめちゃくちゃ頭痛いし、吐き気も凄いし、胸も苦しいからね……。
でも、耐えられないほどじゃない。
「あ、ああああああ、あの!!よ、良ければ頭痛薬とか漢方とか作りますよ!!」
「あー……ラーちゃんの体調不良は、マジックポーションの過剰摂取によるものなんだよね~」
「だから、薬を飲んでも意味ないんだよー!」
「すみません、アラクネさん……お気持ちだけ受け取っておきます」
「い、いいいいいいい、いえ!!こ、ここここここ、こちらこそ出過ぎた真似を……!!」
大袈裟なくらい深々と頭を下げるおさげの少女に、私は『いえ、嬉しかったですよ』と声を掛ける。
相変わらず低姿勢すぎて、見ているこっちが申し訳なくなった。
「つーか、ラミエルお前マジックポーション何本飲んだんだ?」
つい先程までアラクネさんの可愛さに悶えていた田中さんは、ふと質問を投げかけて来た。
その手には何故か、プリントアウトされたアラクネさんの写真が……。
うん、気にしないことにしよう。
この人のシスコンっぷりは、今に始まった話じゃないから。
「四本ですね。どうやら、私の限界量は三本だったようで……」
「高レベル回復師でも、四本目でダウンすんのか。やっぱ、マジックポーションの限界量って強さやレベルはあんま関係ないのか……」
「みたいだねー。僕はレベル1の時から、四本飲めたしー。そういえば、ヴィエラは何本飲んだのー?ぶっ倒れるくらいだし、結構飲んだんでしょー?」
「そ、そそそそそそそ、それが……!結構別行動を取っていたので、正確な数は把握し切れていないんです!すみません!!」
再びガバッと勢いよく頭を下げるアラクネさんに、田中さんは『謝らなくて良いんだぞ』と優しく言い聞かせる。
ついでに『ウチの妹を虐めるな』と、シムナさんに野次を飛ばすのも忘れない。
────と、ここでヴィエラさんが
「ん……」
と言って、目を覚ました。
まだ意識が朦朧としているのか、マゼンダの瞳はぼんやりしている。
「ヴィエラ、起きたか?」
「キ、ング……?」
「ああ、俺だ。少し辛いかもしれないが、一旦起きてくれ。大切な話がある」
「ん……分かったわ」
リーダーの呼び掛けに応じ、ゆっくりと身を起こしたヴィエラさんは瞬きして意識を覚醒させる。
ようやく光の灯ったマゼンダの瞳を前に、私もいそいそと起き上がった。
さすがに自分だけ寝転がっているのは、気が引けて。
『うっ……でも、やっぱ辛いな』と口元を押さえると、徳正さんにそっと肩を抱き寄せられる。
「ラーちゃん、寄り掛かってていいよ~。まだ辛いでしょ~?」
「あっ!徳正、ずるーい!僕も僕もー!」
「まあまあ、シムナ落ち着きなよ~。ここは体の小さいシムナより、俺っちに寄り掛かった方が楽でしょ~?」
「むぅー!そんな事ないもーん!」
ムスッとした表情を浮かべるシムナさんは、ハイハイ歩きで私の隣に移動する。
と同時に、『寄り掛かって来ても良いよー!』と胸を張って言った。
う~ん……気持ちは嬉しいんだけど、小柄なシムナさんに寄り掛かったら潰しちゃいそうで怖いんだよね。
「えっと……ありがとうございます。お気持ちだけ、有り難く受け取っておきますね」
「えー!何でー!?」
「はい、残念~。ラーちゃんは俺っちの方がいいみたい~」
「むぅー!キャラデザ、ミスったー!もっと身長高くしておけば良かったー!」
悔しそうに歯を食いしばるシムナさんは、バシバシとテーブルを叩く。
────と、ここでリーダーが顔を上げた。
「元気なのは結構だが、今は静かにしてくれ。話を始められない」
「「はーい……」」
シムナさんと徳正さんは大人しく口を閉ざし、背筋を伸ばす。
『僕達ちゃんといい子にしているよ!』とアピールする彼らの前で、リーダーは視線を前に戻した。
「じゃあ、そろそろ報告会を始める。まず、皆よくやってくれた。美味しいところは全てヘスティア達に取られたが、お前達のおかげでイベントを無事クリアすることが出来た。死亡率低下に貢献してくれたのは、確実にお前達だからな。これで少しは、『虐殺の紅月』のイメージも変わるだろう」
嬉しいことに、『田中研究所』や『プタハのアトリエ』との繋がりも出来たしね。
イベントそのものは凄く大変だったけど、実りあるものだったと思う。
「と、イベントの話はここら辺にして……ゲームクリアの話をしよう。まず同盟メンバーの動きについてだが、とりあえず明後日集まって話し合うことになった。議題は言うまでもなく、今回のイベントで得られた情報の真偽と今後の活動について。そして────」
リーダーはそこで言葉を区切ると、何故か私の方に視線を向けてきた。
「────今回の同盟会議にはラミエルも参加するよう、指示された」
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