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第四章
第150話『弱った彼女《徳正 side》』
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主君とラーちゃんが旅館を去ってから、半日が過ぎた頃────彼らはやっと帰ってきた。
ぐっすり眠っているラーちゃんを抱っこする主君に、俺は詰め寄る。
「主君、何でラーちゃんの目元が────腫れているの?」
「……」
「わあ!本当だー!腫れているじゃーん!」
『泣いていたのか?』
「あの真面目な子が移動中に寝落ちしただけでも驚きなのに、泣き跡なんて……本当にどうしたの?」
「も、ももももももも、もしかして、同盟会議で何か嫌なことでも……!?」
「『サムヒーロー』絡みのことか?」
ラーちゃんを捨てたクソパーティーの名を聞き、俺は妖刀マサムネに手を掛けた。
「殺す……」
「なら、僕も同行するよー!」
『仲間を泣かされて、黙っている訳にはいかない』
「今回ばかりは私も黙っていられないわ」
「そ、そそそそそそそそ、それより!泣いた原因は結局、何だったんですか!?」
眼鏡越しに主君を見つめ、あーちゃんは返答を求める。
すると、主君は迷うように視線をさまよわせた。
かと思えば、ラーちゃんを抱いたまま一旦座椅子へ腰を下ろす。
「……ラミエルが泣いた原因は、『サムヒーロー』で間違いない。ただ、この涙は悲しいとか苦しいとかそういう類いのものじゃない……どちらかと言うと、憎しみや怒りを抑えきれず、溢れ出た涙だと思う。よく感情が昂ったら、喜怒哀楽関係なく泣いてしまうだろう?」
憎しみや怒り……?あの真面目で、優しいラーちゃんが……?
どうもしっくり来なくて、俺は悶々とする。
「……ラーちゃんが泣き出した経緯、聞いてもいい?」
正直、事情を詳しく聞くのは怖い……。
だって、あんな優しい子でも怒りや憎しみを抑え切れなかった出来事なんだ。
きっと、短気な俺では癇癪を起こしてしまう……。
でも……それでも、ちゃんと知っておきたい。ラーちゃんの気持ちを。
『彼女の全てを理解したいから』と思案する中、リーダーは一つ息を吐いた。
「……ラミエルが泣き出した原因は恐らく、『サムヒーロー』のカインが────『昔のことは全て水に流して、また一からやり直そう』と言ったからだ。多分、それでラミエルの堪忍袋の緒が切れた」
「「『!?』」」
はぁ……!?あの勘違いバカ、ラーちゃんの前でそんなことを言ったの!?
「そりゃあ、ラミエルも怒るよねー」
『むしろ、そんなことを言われて怒らない方がおかしい。僕だったら、その場でキレているな』
「『全て水に流そう』って……それは被害者が言うセリフでしょ。何で加害者の方から、言っているのよ……」
「む、無神経にも程があります!」
「あ~、俺の妹は怒った顔も可愛いな~……じゃなくて、『サムヒーロー』って本当に酷い奴らばっかりだな。その調子だと、ラミエルに一言も謝ってないんじゃねぇーか?」
「ああ。俺の記憶が正しければ、あいつらは誰一人として謝罪を口にしていない」
はぁ~!?一丁前にパーティーの勧誘はするくせに、謝罪はしないとか人間としてどうなの~?
「ここまで来ると、いっそ清々しいわね……」
「な、なんというか怒りよりも呆れが勝りますね!」
「ラミエルには世話になってるし、知り合いの奴らに『サムヒーロー』の悪行を広めてやろうか?大衆から冷たい視線を浴びせられれば、あいつらも少しは反省するだろ」
「いや、その必要はない。あいつらは同盟会議でも、色々とやらかしていたからな。わざわざ、こちらの手を汚さずとも『サムヒーロー』の悪行やアホ行為はFROに広まる」
えぇ……あいつら、同盟会議でも色々とやらかしてたの~?
まあ、何となく予想はつくけど~。
『悪いことをしたら、謝る』っていう初歩的なことも、出来ない奴らだからね~。
などと考える中────話題の中心人物である、茶髪の少女が目を覚ます。
「んん……ん?」
瞼の奥からエメラルドの瞳を覗かせた彼女は、まだボーッとしているのか覇気がない。
が────俺の姿を目に移すなり、クシャッと顔を歪めた。
えっ?ラーちゃん……?
「徳、正さ……」
「どうしたの?ラーちゃん。怖い夢でも見た?」
主君に抱っこされたままの状態でこちらに手を伸ばす彼女に、俺は慌てて近づく。
そして、伸ばされた手を優しく包み込んだ。
どうしたんだろう?凄く泣きそうな顔している……。
「私……冷静でいようと思ったんです……」
「うん」
「でも、カインに『全てを水に流そう』って言われて……」
「うん」
「冷静じゃ、なくなってしまって……」
「うん」
「気づいたら、カインに本音をぶつけてて……」
「うん」
「『ダメだ』って分かっていたのに、私……」
ポロポロと大粒の涙を流すラーちゃんは、夢現といった様子で本音が曝け出す。
自分を責めている彼女の姿に、俺はとても胸を締め付けられた。
「主君、ちょっとラーちゃん預かるね~」
半ば奪い取るようにしてラーちゃんを抱っこし、よしよしと頭を撫でる。
『ごめんなさい』とか細い声で繰り返す彼女に、俺は何度も『謝らなくていいんだよ』と伝えた。
再び眠りに落ちる、その時まで。
やっぱり、『サムヒーロー』が出席している同盟会議なんて、行かせるべきじゃなかったな。
無理やりにでも止めておけば、良かった。
ぐっすり眠っているラーちゃんを抱っこする主君に、俺は詰め寄る。
「主君、何でラーちゃんの目元が────腫れているの?」
「……」
「わあ!本当だー!腫れているじゃーん!」
『泣いていたのか?』
「あの真面目な子が移動中に寝落ちしただけでも驚きなのに、泣き跡なんて……本当にどうしたの?」
「も、ももももももも、もしかして、同盟会議で何か嫌なことでも……!?」
「『サムヒーロー』絡みのことか?」
ラーちゃんを捨てたクソパーティーの名を聞き、俺は妖刀マサムネに手を掛けた。
「殺す……」
「なら、僕も同行するよー!」
『仲間を泣かされて、黙っている訳にはいかない』
「今回ばかりは私も黙っていられないわ」
「そ、そそそそそそそそ、それより!泣いた原因は結局、何だったんですか!?」
眼鏡越しに主君を見つめ、あーちゃんは返答を求める。
すると、主君は迷うように視線をさまよわせた。
かと思えば、ラーちゃんを抱いたまま一旦座椅子へ腰を下ろす。
「……ラミエルが泣いた原因は、『サムヒーロー』で間違いない。ただ、この涙は悲しいとか苦しいとかそういう類いのものじゃない……どちらかと言うと、憎しみや怒りを抑えきれず、溢れ出た涙だと思う。よく感情が昂ったら、喜怒哀楽関係なく泣いてしまうだろう?」
憎しみや怒り……?あの真面目で、優しいラーちゃんが……?
どうもしっくり来なくて、俺は悶々とする。
「……ラーちゃんが泣き出した経緯、聞いてもいい?」
正直、事情を詳しく聞くのは怖い……。
だって、あんな優しい子でも怒りや憎しみを抑え切れなかった出来事なんだ。
きっと、短気な俺では癇癪を起こしてしまう……。
でも……それでも、ちゃんと知っておきたい。ラーちゃんの気持ちを。
『彼女の全てを理解したいから』と思案する中、リーダーは一つ息を吐いた。
「……ラミエルが泣き出した原因は恐らく、『サムヒーロー』のカインが────『昔のことは全て水に流して、また一からやり直そう』と言ったからだ。多分、それでラミエルの堪忍袋の緒が切れた」
「「『!?』」」
はぁ……!?あの勘違いバカ、ラーちゃんの前でそんなことを言ったの!?
「そりゃあ、ラミエルも怒るよねー」
『むしろ、そんなことを言われて怒らない方がおかしい。僕だったら、その場でキレているな』
「『全て水に流そう』って……それは被害者が言うセリフでしょ。何で加害者の方から、言っているのよ……」
「む、無神経にも程があります!」
「あ~、俺の妹は怒った顔も可愛いな~……じゃなくて、『サムヒーロー』って本当に酷い奴らばっかりだな。その調子だと、ラミエルに一言も謝ってないんじゃねぇーか?」
「ああ。俺の記憶が正しければ、あいつらは誰一人として謝罪を口にしていない」
はぁ~!?一丁前にパーティーの勧誘はするくせに、謝罪はしないとか人間としてどうなの~?
「ここまで来ると、いっそ清々しいわね……」
「な、なんというか怒りよりも呆れが勝りますね!」
「ラミエルには世話になってるし、知り合いの奴らに『サムヒーロー』の悪行を広めてやろうか?大衆から冷たい視線を浴びせられれば、あいつらも少しは反省するだろ」
「いや、その必要はない。あいつらは同盟会議でも、色々とやらかしていたからな。わざわざ、こちらの手を汚さずとも『サムヒーロー』の悪行やアホ行為はFROに広まる」
えぇ……あいつら、同盟会議でも色々とやらかしてたの~?
まあ、何となく予想はつくけど~。
『悪いことをしたら、謝る』っていう初歩的なことも、出来ない奴らだからね~。
などと考える中────話題の中心人物である、茶髪の少女が目を覚ます。
「んん……ん?」
瞼の奥からエメラルドの瞳を覗かせた彼女は、まだボーッとしているのか覇気がない。
が────俺の姿を目に移すなり、クシャッと顔を歪めた。
えっ?ラーちゃん……?
「徳、正さ……」
「どうしたの?ラーちゃん。怖い夢でも見た?」
主君に抱っこされたままの状態でこちらに手を伸ばす彼女に、俺は慌てて近づく。
そして、伸ばされた手を優しく包み込んだ。
どうしたんだろう?凄く泣きそうな顔している……。
「私……冷静でいようと思ったんです……」
「うん」
「でも、カインに『全てを水に流そう』って言われて……」
「うん」
「冷静じゃ、なくなってしまって……」
「うん」
「気づいたら、カインに本音をぶつけてて……」
「うん」
「『ダメだ』って分かっていたのに、私……」
ポロポロと大粒の涙を流すラーちゃんは、夢現といった様子で本音が曝け出す。
自分を責めている彼女の姿に、俺はとても胸を締め付けられた。
「主君、ちょっとラーちゃん預かるね~」
半ば奪い取るようにしてラーちゃんを抱っこし、よしよしと頭を撫でる。
『ごめんなさい』とか細い声で繰り返す彼女に、俺は何度も『謝らなくていいんだよ』と伝えた。
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