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第一章
結婚の目的
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「ニーナ・ホールデン、お前はカーティス・キャンベル王子との結婚を────どうしたい?」
カーティス様との結婚をどうしたいか、ね……。
本音を言えば、今すぐ婚約を破棄してしまいところだけど……それは私の一存で決めていいことじゃない。だって、この結婚には特別な意味があるから。
「その質問に答える前に一つだけ聞かせてください」
「何だ?」
「私が『婚約を破棄したい』と答えた場合、この結婚の目的であるカラミタ王国との平和条約はどうなりますか?」
────カラミタ王国との平和条約。
これこそがこの結婚の真の目的だ。
つい先月まで我が国とカラミタ王国は敵対していた。早い話、戦争をしていたのだ。それもかなり過激な……。
と言っても被害を被っていたのはほとんどカラミタ王国の方だが……。
魔法大国として知られる我が国は『久々の戦争だ!』といきり立ち、国内では使用不可能だった魔道具や新しい魔法をとにかく敵国───カラミタ王国に打ちまくった。その結果、カラミタ王国は大打撃を受け、我が国は貴重なデータを得ることに成功した。
攻撃がほとんど魔道具や魔法だったこともあり、我が国の被害は微々たるもの。対するカラミタ王国には甚大な被害が……。
勝敗はもはや明らかで……カラミタ王国の滅亡も近いと思われた。
そこでカラミタ王国は我が国に休戦協定及び平和条約を結ばないかと、持ち掛けてきたのだ。
我が国としては貴重な実践データが取れたこともあり、かなり大満足な結果だったので明確な勝敗は決めずにその申し出を受け入れた。
────が、裏切られる可能性も少なからず残っていたため、カラミタ王国の王族一人をこちらに寄越すよう指示したのだ。
その結果、私はカーティス様と結婚することになった。
表面上は和解したことになっているが、カラミタ王国が裏切れば、カーティス様は見せしめという意味を込めて真っ先に処刑される。まあ、所謂“人質”だ。
そんなカーティス様を不憫に思い、優しく接していたが……少々甘やかし過ぎたようね。まさか、妹とそういう関係になっていただなんて……。
しかも、あの様子だと二人の関係はまだ続いているみたいだし……。
「平和条約の話が直ぐに無くなることはないだろうが……お前とカーティス王子の婚姻がなければ、平和条約の締結は難しいだろう。こちら側に非があるならいざ知らず、今回の件に関しては相手側が完全に悪い……平和条約の締結どころか、今すぐカラミタ王国を滅ぼしてしまえと言う輩も多いだろう」
「やはり、このまま丸く収まることは有り得ませんよね……」
「ああ。王族への侮辱は国そのものの侮辱と同じだからな。今日のリナ王女の態度を見て、『カラミタ王国はエスポワール王国を舐めている』と思われてもおかしくない」
父の見解を聞き、私は頭を抱え込んだ。どの選択が最善なのか分からず、思い悩む。
正直あまり戦争は好きじゃない。でも、このままカーティス様と結婚するのが最善とはどうしても思えなかった。
「……私はカーティス様との婚約を────破棄したいです」
戦争を見越した上で、私は彼との婚約を破棄すると決断した。
カーティス様との結婚をどうしたいか、ね……。
本音を言えば、今すぐ婚約を破棄してしまいところだけど……それは私の一存で決めていいことじゃない。だって、この結婚には特別な意味があるから。
「その質問に答える前に一つだけ聞かせてください」
「何だ?」
「私が『婚約を破棄したい』と答えた場合、この結婚の目的であるカラミタ王国との平和条約はどうなりますか?」
────カラミタ王国との平和条約。
これこそがこの結婚の真の目的だ。
つい先月まで我が国とカラミタ王国は敵対していた。早い話、戦争をしていたのだ。それもかなり過激な……。
と言っても被害を被っていたのはほとんどカラミタ王国の方だが……。
魔法大国として知られる我が国は『久々の戦争だ!』といきり立ち、国内では使用不可能だった魔道具や新しい魔法をとにかく敵国───カラミタ王国に打ちまくった。その結果、カラミタ王国は大打撃を受け、我が国は貴重なデータを得ることに成功した。
攻撃がほとんど魔道具や魔法だったこともあり、我が国の被害は微々たるもの。対するカラミタ王国には甚大な被害が……。
勝敗はもはや明らかで……カラミタ王国の滅亡も近いと思われた。
そこでカラミタ王国は我が国に休戦協定及び平和条約を結ばないかと、持ち掛けてきたのだ。
我が国としては貴重な実践データが取れたこともあり、かなり大満足な結果だったので明確な勝敗は決めずにその申し出を受け入れた。
────が、裏切られる可能性も少なからず残っていたため、カラミタ王国の王族一人をこちらに寄越すよう指示したのだ。
その結果、私はカーティス様と結婚することになった。
表面上は和解したことになっているが、カラミタ王国が裏切れば、カーティス様は見せしめという意味を込めて真っ先に処刑される。まあ、所謂“人質”だ。
そんなカーティス様を不憫に思い、優しく接していたが……少々甘やかし過ぎたようね。まさか、妹とそういう関係になっていただなんて……。
しかも、あの様子だと二人の関係はまだ続いているみたいだし……。
「平和条約の話が直ぐに無くなることはないだろうが……お前とカーティス王子の婚姻がなければ、平和条約の締結は難しいだろう。こちら側に非があるならいざ知らず、今回の件に関しては相手側が完全に悪い……平和条約の締結どころか、今すぐカラミタ王国を滅ぼしてしまえと言う輩も多いだろう」
「やはり、このまま丸く収まることは有り得ませんよね……」
「ああ。王族への侮辱は国そのものの侮辱と同じだからな。今日のリナ王女の態度を見て、『カラミタ王国はエスポワール王国を舐めている』と思われてもおかしくない」
父の見解を聞き、私は頭を抱え込んだ。どの選択が最善なのか分からず、思い悩む。
正直あまり戦争は好きじゃない。でも、このままカーティス様と結婚するのが最善とはどうしても思えなかった。
「……私はカーティス様との婚約を────破棄したいです」
戦争を見越した上で、私は彼との婚約を破棄すると決断した。
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