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第三章
覚悟
「は、弾かれた……?僕の力が……?」
呆然とした様子でこちらを見つめ、ソラリスは大きく瞳を揺らした。
『信じられない』とでも言うように。
「君って、一体どれだけ強いんだい……?というか、何故ここまで神の力に耐性が……?」
「さあな。クソ皇帝に対抗しているうちに自然と身についたんじゃないか?」
そんな耐性があるとは知らなかったので、私は適当にそれらしいことを口にした。
正直、クソ皇帝のことくらいしか心当たりもなかったため。
「それより、早く印を付けろ」
『弾かれたということは、まだ付いていないんだろう』と指摘すると、ソラリスは難色を示す。
「神の力に耐性がある君に、印を付けるのは相当困難なんだけど……」
「クソ皇帝と戦争したいなら、好きにしろ」
「印の付与、必ずやり遂げてみせるね」
そう言うが早いか、ソラリスは先程より多くの力を流し込んだ。
が、またもや弾かれる。
「こうなったら、今持てる力全てを……」
ギュッと私の手を握り締め、ソラリスは一気に力を解放した。
かと思えば、半ば強引に私の体内へ押し込む。
「な、何とか付いたよ」
私の手の甲に浮き上がった太陽のマークを一瞥し、ソラリスは一息つく。
『さすがに疲れたな……』とボヤきながら手を離し、額に滲んだ汗を拭った。
「それで、出立はいつ頃にするんだい?」
「『今から』と言いたいところだが……色々準備もあるし、明日の朝にする」
『今回ばかりは、黙って城を空ける訳にはいかない』と考え、私は一度出直すよう求めた。
すると、ソラリスは一瞬嫌そうな素振りを見せるものの……
「分かったよ。じゃあ、明日また空間を繋げるね」
と、了承の意を示す。
多分、私に逆らうのが怖かったのだろう。
『空間を繋げるのも、簡単じゃないんだけどね……』と愚痴を零しつつ、ソラリスは後ろへ一歩下がった。
その途端、空間が渦を巻くようにして揺れて元に戻る。
「えっと……帰ってこれたんですかね?」
アランはいつもと変わらない執務室を見回し、頭を捻った。
『ソラリス様もいつのまにか、居なくなっているし……』と述べる彼を前に、私は横髪を耳に掛ける。
「ああ。一旦、あちらとの繋がりは切れた」
『また明日になれば、ソラリスに会えるだろう』と告げ、私はソファへ腰を下ろした。
「さてと、それじゃあジークを含めるウチの主力幹部とリズベットを呼んでこい。あと、ソラリス神殿の者達を送り返せ」
『居ても、邪魔なだけだ』と言い、私は呆けたままの彼らを蹴飛ばす。
ソラリスに会えた衝撃をいつまで引き摺っているんだ、と思いながら。
「あぁ、言っておくが、先程の出来事は全て口外禁止だ」
ソラリス神殿の者達に以前仕掛けた主従契約を利用して、私は情報統制を行った。
万が一、暴露でもされたら厄介なので。
『こちらの仕事が増える』と思案する中、アランは直ぐさま行動を開始する。
そして、数十分ほど席を外すと、戻ってきた。
「ご用命の通りジーク・ザラーム・アルバート、アリシア・オースティン、リカルド・ヴィール・ナイトレイ、セザール、リズベットを連れて参りました。また、ソラリス神殿の者達に関してはウチの部下に頼んであります」
私の前で跪くアランは、恭しく頭を垂れる。
その後ろで、ジーク達とリズベットも最敬礼を取っていた。
「ご苦労。貴様らも、よく来たな」
ここに急遽集結したメンバーを見やり、私は腰に手を当てる。
「では早速だが、本題に入る」
そう前置きしてから、私はソラリスとの会話や今後の動きについて説明した。
話が進むにつれ徐々に神妙になっていく面々の前で、私は腕を組む。
「だから、私はしばらく城を空ける」
『貴様らは留守番だ』と告げると、アリシアがすかさず手を挙げた。
「あの……『しばらく』というのは、具体的にどのくらいの期間でしょうか?目安だけでも、教えていただきたいです」
『それによって、打てる策も変わってきますので』と語るアリシアに、私はこう答える。
「悪いが、それは私にも分からん」
「えっ……?」
アリシアは動揺のあまり目が点になり、固まった。
『目安も分からないってこと……?』と戸惑う彼女を前に、リカルドも困惑を示す。
「それほど、相手は強敵ということですか……」
「いや、相手の問題ではない」
『確かにクソ皇帝は強いが』と述べつつ、私は掛け時計に視線を向けた。
「肝となるのは────時間の流れだ」
「「時間の流れ?」」
思わずといった様子で聞き返してくるリカルドとアリシアに、私は小さく頷く。
「いいか?世界によって、時間の流れは異なるんだ。だから、こちらの一年があちらの一分かもしれないし、その逆も然り」
「「!」」
ハッとしたように息を呑むリカルドとアリシアは、震撼した。
他の者達も、動揺を露わにしている。
まあ、極一名……リズベットだけは、ケロッとしているが。
多分、異世界を渡り歩いていたときに何となく時の流れの違いを察知していたのだろう。
「もちろん、出来るだけ早くこちらに戻ってくるつもりだが、かなり時間が掛かるかもしれない。最悪、貴様らの生きている間に帰れない可能性もある」
時の流れの残酷さを語り、私は真っ直ぐに前を見据えた。
「それでも、この国を守り、導き、支える覚悟があるか?」
『留守番を任せられるか』と問い、私はスッと目を細める。
かなり難しい決断になるだろうな、と思いながら。
国のトップなしで、政治を営むのは至難の業だ。アルバート帝国の場合は、特に。
私という絶対的強者が君臨することで、まとまっていたため。
もし周りに私の不在を知られれば、状況は一気に変わるだろう。
ただ、不幸中の幸いなのはリズベットが居ること。
こいつは私ほどじゃないが、かなり強いからな。
軍事方面で打ち負かされる危険性は、ほぼない。
とはいえ、苦労することに変わりはないだろう。
だから、留守番が無理そうならこの場で辞職してもらって構わない。
その分の仕事は、リズベットに回す。
『元はと言えば、こいつがクソ皇帝の取り引きに応じたせいだし』と思い、私は小さく肩を竦める。
────と、ここでリカルドが少し身を乗り出した。
「無論です」
『覚悟なら、もう出来ています』と迷わず答え、リカルドは勇ましい表情を浮かべる。
すると、セザールやアリシアもソレに続いた。
「イザベラ皇帝陛下不在の穴埋めは至難の業ですが、何とかやってのけますよ」
「主君の留守を守るのも、私達の役目です」
リカルドと同じ気持ちであることを示し、セザールとアリシアは胸元を強く握り締める。
確固たる意志を表す彼らの前で、アランは片膝にポンッと手を置いた。
「俺らはイザベラ様の手足ですよ?貴方の望むままに動くのが、道理でしょう」
『留守番でも何でもやりますよ』と快諾して、アランは不敵に笑う。
躊躇う素振りすら見せない彼を前に、ジークは顔を上げた。
「イザベラ様と会えなくなるのは正直辛いですが、いつか戻ってきてくれることを信じて貴方様の帰る場所を維持し続けます。だから、何も心配しないでください」
柔らかな……でも芯の通った声で宣言し、ジークは背筋を伸ばす。
そのせいか、どこか凛とした印象を受けた。
「どうやら、愚問だったようだな」
私はジーク達の覚悟を聞いて、フッと笑みを漏らす。
と同時に、横髪を手で払った。
「では頼んだぞ、お前達」
「「「はっ」」」
一斉に返事して頭を垂れるジーク達に、私はゆるりと口角を上げる。
これで、後顧の憂いはなくなったな。
あとは、迅速かつ確実にクソ皇帝を叩き潰すだけだ。
明日に控えた決戦を思い浮かべ、私はおもむろに骨を鳴らした。
呆然とした様子でこちらを見つめ、ソラリスは大きく瞳を揺らした。
『信じられない』とでも言うように。
「君って、一体どれだけ強いんだい……?というか、何故ここまで神の力に耐性が……?」
「さあな。クソ皇帝に対抗しているうちに自然と身についたんじゃないか?」
そんな耐性があるとは知らなかったので、私は適当にそれらしいことを口にした。
正直、クソ皇帝のことくらいしか心当たりもなかったため。
「それより、早く印を付けろ」
『弾かれたということは、まだ付いていないんだろう』と指摘すると、ソラリスは難色を示す。
「神の力に耐性がある君に、印を付けるのは相当困難なんだけど……」
「クソ皇帝と戦争したいなら、好きにしろ」
「印の付与、必ずやり遂げてみせるね」
そう言うが早いか、ソラリスは先程より多くの力を流し込んだ。
が、またもや弾かれる。
「こうなったら、今持てる力全てを……」
ギュッと私の手を握り締め、ソラリスは一気に力を解放した。
かと思えば、半ば強引に私の体内へ押し込む。
「な、何とか付いたよ」
私の手の甲に浮き上がった太陽のマークを一瞥し、ソラリスは一息つく。
『さすがに疲れたな……』とボヤきながら手を離し、額に滲んだ汗を拭った。
「それで、出立はいつ頃にするんだい?」
「『今から』と言いたいところだが……色々準備もあるし、明日の朝にする」
『今回ばかりは、黙って城を空ける訳にはいかない』と考え、私は一度出直すよう求めた。
すると、ソラリスは一瞬嫌そうな素振りを見せるものの……
「分かったよ。じゃあ、明日また空間を繋げるね」
と、了承の意を示す。
多分、私に逆らうのが怖かったのだろう。
『空間を繋げるのも、簡単じゃないんだけどね……』と愚痴を零しつつ、ソラリスは後ろへ一歩下がった。
その途端、空間が渦を巻くようにして揺れて元に戻る。
「えっと……帰ってこれたんですかね?」
アランはいつもと変わらない執務室を見回し、頭を捻った。
『ソラリス様もいつのまにか、居なくなっているし……』と述べる彼を前に、私は横髪を耳に掛ける。
「ああ。一旦、あちらとの繋がりは切れた」
『また明日になれば、ソラリスに会えるだろう』と告げ、私はソファへ腰を下ろした。
「さてと、それじゃあジークを含めるウチの主力幹部とリズベットを呼んでこい。あと、ソラリス神殿の者達を送り返せ」
『居ても、邪魔なだけだ』と言い、私は呆けたままの彼らを蹴飛ばす。
ソラリスに会えた衝撃をいつまで引き摺っているんだ、と思いながら。
「あぁ、言っておくが、先程の出来事は全て口外禁止だ」
ソラリス神殿の者達に以前仕掛けた主従契約を利用して、私は情報統制を行った。
万が一、暴露でもされたら厄介なので。
『こちらの仕事が増える』と思案する中、アランは直ぐさま行動を開始する。
そして、数十分ほど席を外すと、戻ってきた。
「ご用命の通りジーク・ザラーム・アルバート、アリシア・オースティン、リカルド・ヴィール・ナイトレイ、セザール、リズベットを連れて参りました。また、ソラリス神殿の者達に関してはウチの部下に頼んであります」
私の前で跪くアランは、恭しく頭を垂れる。
その後ろで、ジーク達とリズベットも最敬礼を取っていた。
「ご苦労。貴様らも、よく来たな」
ここに急遽集結したメンバーを見やり、私は腰に手を当てる。
「では早速だが、本題に入る」
そう前置きしてから、私はソラリスとの会話や今後の動きについて説明した。
話が進むにつれ徐々に神妙になっていく面々の前で、私は腕を組む。
「だから、私はしばらく城を空ける」
『貴様らは留守番だ』と告げると、アリシアがすかさず手を挙げた。
「あの……『しばらく』というのは、具体的にどのくらいの期間でしょうか?目安だけでも、教えていただきたいです」
『それによって、打てる策も変わってきますので』と語るアリシアに、私はこう答える。
「悪いが、それは私にも分からん」
「えっ……?」
アリシアは動揺のあまり目が点になり、固まった。
『目安も分からないってこと……?』と戸惑う彼女を前に、リカルドも困惑を示す。
「それほど、相手は強敵ということですか……」
「いや、相手の問題ではない」
『確かにクソ皇帝は強いが』と述べつつ、私は掛け時計に視線を向けた。
「肝となるのは────時間の流れだ」
「「時間の流れ?」」
思わずといった様子で聞き返してくるリカルドとアリシアに、私は小さく頷く。
「いいか?世界によって、時間の流れは異なるんだ。だから、こちらの一年があちらの一分かもしれないし、その逆も然り」
「「!」」
ハッとしたように息を呑むリカルドとアリシアは、震撼した。
他の者達も、動揺を露わにしている。
まあ、極一名……リズベットだけは、ケロッとしているが。
多分、異世界を渡り歩いていたときに何となく時の流れの違いを察知していたのだろう。
「もちろん、出来るだけ早くこちらに戻ってくるつもりだが、かなり時間が掛かるかもしれない。最悪、貴様らの生きている間に帰れない可能性もある」
時の流れの残酷さを語り、私は真っ直ぐに前を見据えた。
「それでも、この国を守り、導き、支える覚悟があるか?」
『留守番を任せられるか』と問い、私はスッと目を細める。
かなり難しい決断になるだろうな、と思いながら。
国のトップなしで、政治を営むのは至難の業だ。アルバート帝国の場合は、特に。
私という絶対的強者が君臨することで、まとまっていたため。
もし周りに私の不在を知られれば、状況は一気に変わるだろう。
ただ、不幸中の幸いなのはリズベットが居ること。
こいつは私ほどじゃないが、かなり強いからな。
軍事方面で打ち負かされる危険性は、ほぼない。
とはいえ、苦労することに変わりはないだろう。
だから、留守番が無理そうならこの場で辞職してもらって構わない。
その分の仕事は、リズベットに回す。
『元はと言えば、こいつがクソ皇帝の取り引きに応じたせいだし』と思い、私は小さく肩を竦める。
────と、ここでリカルドが少し身を乗り出した。
「無論です」
『覚悟なら、もう出来ています』と迷わず答え、リカルドは勇ましい表情を浮かべる。
すると、セザールやアリシアもソレに続いた。
「イザベラ皇帝陛下不在の穴埋めは至難の業ですが、何とかやってのけますよ」
「主君の留守を守るのも、私達の役目です」
リカルドと同じ気持ちであることを示し、セザールとアリシアは胸元を強く握り締める。
確固たる意志を表す彼らの前で、アランは片膝にポンッと手を置いた。
「俺らはイザベラ様の手足ですよ?貴方の望むままに動くのが、道理でしょう」
『留守番でも何でもやりますよ』と快諾して、アランは不敵に笑う。
躊躇う素振りすら見せない彼を前に、ジークは顔を上げた。
「イザベラ様と会えなくなるのは正直辛いですが、いつか戻ってきてくれることを信じて貴方様の帰る場所を維持し続けます。だから、何も心配しないでください」
柔らかな……でも芯の通った声で宣言し、ジークは背筋を伸ばす。
そのせいか、どこか凛とした印象を受けた。
「どうやら、愚問だったようだな」
私はジーク達の覚悟を聞いて、フッと笑みを漏らす。
と同時に、横髪を手で払った。
「では頼んだぞ、お前達」
「「「はっ」」」
一斉に返事して頭を垂れるジーク達に、私はゆるりと口角を上げる。
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