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第三章
決着
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「────空気か」
『それなら、体内にダメージが入っているのも納得』と考える私に、クソ皇帝はスッと目を細める。
「ご名答。さすがは魔導師だね」
『こんなに早く見破るなんて』と感心する素振りを見せるクソ皇帝に対し、私は一つ息を吐いた。
「空気に細工なんて、大胆な真似をしたものだ。最悪、この世界に存在する生物全て死に絶えるぞ」
「その点は大丈夫。ちゃんと考えてあるから」
『ほとんどの生物には、何の影響もないよ』と語り、クソ皇帝は空を眺める。
「まあ、苦しんでいる者は一定数居るだろうけどね。でも、君以上の魔力の持ち主でもない限り死に至ることはないよ」
ほう?魔力か。大体、分かってきたぞ。
恐らく、こいつの追加した新たな理……もとい、ルールは────『空気は魔力と反発する』だ。
程度は人によって……というか、魔力量によって変わる仕組みのようだが、全体として効果はあまり強くない。
『私を殺さないよう調整した結果だな』と分析しながら、口元を拭う。
だが、また直ぐに吐血で汚れて無駄になった。
さすがに少しキツいな。長期戦になれば、確実に不利だ。
だから、一気に決着をつけたいところだが……普通に魔法で攻撃しても、通じないだろう。
先程と違って、もう普通に防御や回避を選択してくる筈なので。
とはいえ、物理だと時間や手間が掛かり過ぎる。
序盤の戦闘を思い返し、私は『魔法を駆使しても、鎧袖一触は難しい』と思案する。
やはり、ここは範囲攻撃が好ましいだろうな。
この距離感なら、避けられる心配はほぼないし。
でも、魔法は使えない。
となると────
「────力そのもので、対抗するしかないな」
おもむろに手のひらを広げ、私はここら一帯に魔力を放った。
そして、強く手を握り締めると、充満した魔力を引き寄せる。
いや、凝縮すると言った方が正しいか。
「……君は本当に滅茶苦茶なことをするね」
クソ皇帝は内側へ移動する魔力の餌食となり、苦笑を漏らした。
幸い、あちらも神の力そのもので魔力を押し返しているため、今のところ大きな被害はないが。
「さあ、ここから先は単純な力勝負……もとい、力の総量勝負だ」
『力尽きるのは、どちらが早いか』という脳筋の決着方法を提示し、私は真っ直ぐ前を見据えた。
通常時であれば、こんな戦い方じゃクソ皇帝には勝てない。
あいつの管理領域……全力を出せる環境ともなれば、尚更。
だが、クソ皇帝は炎や雷の存在削除や空気の特性変更などにより、かなり力を消耗している。
今なら、押し負けることはないだろう。
『勝機はある』と確信し、私は更に魔力を放出した。
と同時に、また凝縮する。
なので、クソ皇帝へ掛かっている圧力は倍増した。
「っ……!随分と乱暴だね。余裕がないのかな?」
「それは貴様の方だろう」
僅かに身を縮こまらせているクソ皇帝を見やり、私は『防御し切れていないな』と考える。
────と、ここでクソ皇帝が神の力を追加して守りを固めた。
「いやいや、僕はまだ全然……」
「そうか。なら、少し本気を出すとしよう」
ふわりと地面に降り立ち、私は────残っている魔力の約半分を解き放つ。
すると、クソ皇帝は慌てて防御態勢を整えた。
余っている神の力を全て犠牲にする形で。
賢明な判断だ。だが、その程度の力ではこちらの攻撃を防ぎ切れないだろう。
『まあ、ないよりはマシだけど』と思いつつ、私は情け容赦なく追い討ちを掛ける。
その瞬間、大きな耳鳴りと衝撃波がここら一帯を包み込んだ。
おかげで地面は抉れ、木々は吹き飛び、空は割れるという大惨事になる。
『これは修復が大変そうだな』と他人事のように考えながら、私は魔力の凝縮をやめた。
「勝負あったな」
おもむろに腕を組み、私は血と肉だけになったクソ皇帝を見下ろす。
思ったより、酷い有り様だな。一応、手加減はしたんだが。
でも、まだ息はあるし、別にいいだろう。
『大きな問題はない』と考え、私はクソ皇帝に手のひらを翳した。
「一先ず、治療してやろう」
『このままでは、最後の仕上げも出来ないからな』と思い、私は治癒魔法を施す。
万が一にも、死なれたら困るしな。
神の死は世界の崩壊に直結するので。
一応、他の神に頼んで世界を吸収・保護してもらえば崩壊は防げるが……元の世界とは、別ものになる。
それは避けたかった。
故郷という意味でも、母と過ごした思い出の場所という意味でもここは特別だから。
割れた空を一瞥し、私はすっかり元通りになったクソ皇帝を見つめた。
今のところ、反抗する素振りはなさそうだな。
まあ、力を使い果たしたんだから当然だが。
『この状況でまだ抵抗を続けるのは、馬鹿だけだ』と肩を竦め、私はパチンッと指を鳴らした。
その途端、地面から蔓が生えてクソ皇帝の四肢を固定する。
「何をするんだい?こんなことしなくても、僕はもう……」
「分かっている。だが、念のためだ」
────貴様はきっと、最後の仕上げを嫌がるだろうからな。
とは言わずに、クソ皇帝へ近づいた。
そして、彼の胸元に人差し指を突きつけると、記号や数字を描く。
「魔導師、君まさか……」
クソ皇帝は早くもこちらの思惑を悟り、明らかに焦ったような表情を浮かべた。
かと思えば、身動ぎする。
でも、その程度の抵抗では魔法で強化された蔓を振り払うことなど出来なかった。
「待っておくれ、魔導師……!一度、話を……!」
「却下だ。敗者は大人しく、勝者に従え」
『話し合いや交渉に応じる気などない』と表明し、私は最後の一文字まで描き切る。
出来上がった魔法陣を前に、私は手を叩いた。
すると、魔法が発動して鎖を生み出す。
クソ皇帝の胸元と私の手を繋ぐソレは、ソラリス神殿の奴らに仕掛けたものと酷似していた。
というか、そのまんまだ。
「これで貴様は一生、私の言いなりだ」
鎖をグッと握り締め、私は少しばかり身を乗り出す。
「最初で最後の命令だ。今後二度と私に関わるな。無論、ソラリスの管理する世界へ干渉するのも禁止だ」
「!」
文字通りの絶縁宣言に、クソ皇帝は拒絶反応を示した。
が、魔法陣の効果により命令を拒否することは出来ない。
恨めしそうに自身の胸元を眺める彼の前で、私は腰に手を当てる。
「あぁ、それともう一つ。魔法陣を破壊することも、禁じる」
血と肉だけになっても生きていたやつなので、苦痛さえ我慢すれば何とか魔法陣を外せる。
だから、先に予防線を張っておく必要があった。
「ねぇ、待ってよ……お願いだから、縁だけは切らないで」
クソ皇帝は縋るような目でこちらを見つめ、唇を噛み締める。
「もう君を自分のものにするなんて高望みしないし、ちょっかいだって出さない。ちゃんと節度を守る。だから……」
「却下だ」
最後まで話を聞くこともなく拒絶すると、クソ皇帝は大きく瞳を揺らした。
取り付く島もないことに、ショックを受けているらしい。
「じゃ、じゃあ縁を切らない対価として君の長年の願いを叶えるのはどうかな?僕なら、そんなに難しくないし……」
「断る」
破格の申し出であることは分かっているものの、私は迷わず一蹴した。
『なっ……!?』と言葉を失うクソ皇帝の前で、私は腕を組む。
「自分の望みは自分で叶える。この役割だけは、他の誰にも譲らない」
闇より黒く夜より暗い瞳に強い意志を宿し、私はクルリと身を翻した。
と同時に、蔓の拘束を解く。
「では、そろそろお暇しよう」
最後の仕上げも無事に終わったため、私は早々に帰還を選択した。
ジーク達の様子が、気になるからな。
それに呼吸する度、ダメージを負うのが地味に鬱陶しい。
魔力を大量消費したからか、先程より症状は軽くなっているが。
『とにかく、長居は無用だ』と判断し、私は手の甲に刻まれた太陽のマークを見下ろす。
「ソラリス、早く迎えに来い」
『貴様の出番だ』と告げると、木漏れ日のように暖かな光が私を包み込んだ。
異世界転移の予兆を前に、私は顔だけ後ろを振り返る。
すると、涙を流しているクソ皇帝が目に入った。
絶望と悲嘆を露わにする彼の前で、私はスッと目を細める。
「────オリエンス・シルヴァ・エリジウム、せいぜい元気でな」
一応付き合いの長い人物で、世話になった場面も何度かあったため、別れの挨拶を口にした。
本当に必要最低限の筋を通す私に対し、クソ皇帝はハッと息を呑む。
動揺のあまり泣き止む彼は、僅かに身を乗り出した。
「魔導師……!」
『行かないで……!』と再度懇願するつもりか、クソ皇帝はこちらに手を伸ばす。
────が、私に届くことはなかった。
何故なら、ソラリスの異世界転移が発動を果たしたから。
一瞬にして変わった目の前の景色を前に、私はまず自身の傷を癒した。
ついでに、汚れた服や口元も魔法で綺麗にしておく。
「さて────一先ず、現状把握から始めるか」
誰に言うでもなくそう呟き、私は皇城のある方向を眺めた。
『それなら、体内にダメージが入っているのも納得』と考える私に、クソ皇帝はスッと目を細める。
「ご名答。さすがは魔導師だね」
『こんなに早く見破るなんて』と感心する素振りを見せるクソ皇帝に対し、私は一つ息を吐いた。
「空気に細工なんて、大胆な真似をしたものだ。最悪、この世界に存在する生物全て死に絶えるぞ」
「その点は大丈夫。ちゃんと考えてあるから」
『ほとんどの生物には、何の影響もないよ』と語り、クソ皇帝は空を眺める。
「まあ、苦しんでいる者は一定数居るだろうけどね。でも、君以上の魔力の持ち主でもない限り死に至ることはないよ」
ほう?魔力か。大体、分かってきたぞ。
恐らく、こいつの追加した新たな理……もとい、ルールは────『空気は魔力と反発する』だ。
程度は人によって……というか、魔力量によって変わる仕組みのようだが、全体として効果はあまり強くない。
『私を殺さないよう調整した結果だな』と分析しながら、口元を拭う。
だが、また直ぐに吐血で汚れて無駄になった。
さすがに少しキツいな。長期戦になれば、確実に不利だ。
だから、一気に決着をつけたいところだが……普通に魔法で攻撃しても、通じないだろう。
先程と違って、もう普通に防御や回避を選択してくる筈なので。
とはいえ、物理だと時間や手間が掛かり過ぎる。
序盤の戦闘を思い返し、私は『魔法を駆使しても、鎧袖一触は難しい』と思案する。
やはり、ここは範囲攻撃が好ましいだろうな。
この距離感なら、避けられる心配はほぼないし。
でも、魔法は使えない。
となると────
「────力そのもので、対抗するしかないな」
おもむろに手のひらを広げ、私はここら一帯に魔力を放った。
そして、強く手を握り締めると、充満した魔力を引き寄せる。
いや、凝縮すると言った方が正しいか。
「……君は本当に滅茶苦茶なことをするね」
クソ皇帝は内側へ移動する魔力の餌食となり、苦笑を漏らした。
幸い、あちらも神の力そのもので魔力を押し返しているため、今のところ大きな被害はないが。
「さあ、ここから先は単純な力勝負……もとい、力の総量勝負だ」
『力尽きるのは、どちらが早いか』という脳筋の決着方法を提示し、私は真っ直ぐ前を見据えた。
通常時であれば、こんな戦い方じゃクソ皇帝には勝てない。
あいつの管理領域……全力を出せる環境ともなれば、尚更。
だが、クソ皇帝は炎や雷の存在削除や空気の特性変更などにより、かなり力を消耗している。
今なら、押し負けることはないだろう。
『勝機はある』と確信し、私は更に魔力を放出した。
と同時に、また凝縮する。
なので、クソ皇帝へ掛かっている圧力は倍増した。
「っ……!随分と乱暴だね。余裕がないのかな?」
「それは貴様の方だろう」
僅かに身を縮こまらせているクソ皇帝を見やり、私は『防御し切れていないな』と考える。
────と、ここでクソ皇帝が神の力を追加して守りを固めた。
「いやいや、僕はまだ全然……」
「そうか。なら、少し本気を出すとしよう」
ふわりと地面に降り立ち、私は────残っている魔力の約半分を解き放つ。
すると、クソ皇帝は慌てて防御態勢を整えた。
余っている神の力を全て犠牲にする形で。
賢明な判断だ。だが、その程度の力ではこちらの攻撃を防ぎ切れないだろう。
『まあ、ないよりはマシだけど』と思いつつ、私は情け容赦なく追い討ちを掛ける。
その瞬間、大きな耳鳴りと衝撃波がここら一帯を包み込んだ。
おかげで地面は抉れ、木々は吹き飛び、空は割れるという大惨事になる。
『これは修復が大変そうだな』と他人事のように考えながら、私は魔力の凝縮をやめた。
「勝負あったな」
おもむろに腕を組み、私は血と肉だけになったクソ皇帝を見下ろす。
思ったより、酷い有り様だな。一応、手加減はしたんだが。
でも、まだ息はあるし、別にいいだろう。
『大きな問題はない』と考え、私はクソ皇帝に手のひらを翳した。
「一先ず、治療してやろう」
『このままでは、最後の仕上げも出来ないからな』と思い、私は治癒魔法を施す。
万が一にも、死なれたら困るしな。
神の死は世界の崩壊に直結するので。
一応、他の神に頼んで世界を吸収・保護してもらえば崩壊は防げるが……元の世界とは、別ものになる。
それは避けたかった。
故郷という意味でも、母と過ごした思い出の場所という意味でもここは特別だから。
割れた空を一瞥し、私はすっかり元通りになったクソ皇帝を見つめた。
今のところ、反抗する素振りはなさそうだな。
まあ、力を使い果たしたんだから当然だが。
『この状況でまだ抵抗を続けるのは、馬鹿だけだ』と肩を竦め、私はパチンッと指を鳴らした。
その途端、地面から蔓が生えてクソ皇帝の四肢を固定する。
「何をするんだい?こんなことしなくても、僕はもう……」
「分かっている。だが、念のためだ」
────貴様はきっと、最後の仕上げを嫌がるだろうからな。
とは言わずに、クソ皇帝へ近づいた。
そして、彼の胸元に人差し指を突きつけると、記号や数字を描く。
「魔導師、君まさか……」
クソ皇帝は早くもこちらの思惑を悟り、明らかに焦ったような表情を浮かべた。
かと思えば、身動ぎする。
でも、その程度の抵抗では魔法で強化された蔓を振り払うことなど出来なかった。
「待っておくれ、魔導師……!一度、話を……!」
「却下だ。敗者は大人しく、勝者に従え」
『話し合いや交渉に応じる気などない』と表明し、私は最後の一文字まで描き切る。
出来上がった魔法陣を前に、私は手を叩いた。
すると、魔法が発動して鎖を生み出す。
クソ皇帝の胸元と私の手を繋ぐソレは、ソラリス神殿の奴らに仕掛けたものと酷似していた。
というか、そのまんまだ。
「これで貴様は一生、私の言いなりだ」
鎖をグッと握り締め、私は少しばかり身を乗り出す。
「最初で最後の命令だ。今後二度と私に関わるな。無論、ソラリスの管理する世界へ干渉するのも禁止だ」
「!」
文字通りの絶縁宣言に、クソ皇帝は拒絶反応を示した。
が、魔法陣の効果により命令を拒否することは出来ない。
恨めしそうに自身の胸元を眺める彼の前で、私は腰に手を当てる。
「あぁ、それともう一つ。魔法陣を破壊することも、禁じる」
血と肉だけになっても生きていたやつなので、苦痛さえ我慢すれば何とか魔法陣を外せる。
だから、先に予防線を張っておく必要があった。
「ねぇ、待ってよ……お願いだから、縁だけは切らないで」
クソ皇帝は縋るような目でこちらを見つめ、唇を噛み締める。
「もう君を自分のものにするなんて高望みしないし、ちょっかいだって出さない。ちゃんと節度を守る。だから……」
「却下だ」
最後まで話を聞くこともなく拒絶すると、クソ皇帝は大きく瞳を揺らした。
取り付く島もないことに、ショックを受けているらしい。
「じゃ、じゃあ縁を切らない対価として君の長年の願いを叶えるのはどうかな?僕なら、そんなに難しくないし……」
「断る」
破格の申し出であることは分かっているものの、私は迷わず一蹴した。
『なっ……!?』と言葉を失うクソ皇帝の前で、私は腕を組む。
「自分の望みは自分で叶える。この役割だけは、他の誰にも譲らない」
闇より黒く夜より暗い瞳に強い意志を宿し、私はクルリと身を翻した。
と同時に、蔓の拘束を解く。
「では、そろそろお暇しよう」
最後の仕上げも無事に終わったため、私は早々に帰還を選択した。
ジーク達の様子が、気になるからな。
それに呼吸する度、ダメージを負うのが地味に鬱陶しい。
魔力を大量消費したからか、先程より症状は軽くなっているが。
『とにかく、長居は無用だ』と判断し、私は手の甲に刻まれた太陽のマークを見下ろす。
「ソラリス、早く迎えに来い」
『貴様の出番だ』と告げると、木漏れ日のように暖かな光が私を包み込んだ。
異世界転移の予兆を前に、私は顔だけ後ろを振り返る。
すると、涙を流しているクソ皇帝が目に入った。
絶望と悲嘆を露わにする彼の前で、私はスッと目を細める。
「────オリエンス・シルヴァ・エリジウム、せいぜい元気でな」
一応付き合いの長い人物で、世話になった場面も何度かあったため、別れの挨拶を口にした。
本当に必要最低限の筋を通す私に対し、クソ皇帝はハッと息を呑む。
動揺のあまり泣き止む彼は、僅かに身を乗り出した。
「魔導師……!」
『行かないで……!』と再度懇願するつもりか、クソ皇帝はこちらに手を伸ばす。
────が、私に届くことはなかった。
何故なら、ソラリスの異世界転移が発動を果たしたから。
一瞬にして変わった目の前の景色を前に、私はまず自身の傷を癒した。
ついでに、汚れた服や口元も魔法で綺麗にしておく。
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