精霊に愛された錬金術師、チートすぎてもはや無敵!?

あーもんど

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間引き

◇◆◇◆

 ────時は少し遡り、プリシラがやってきた翌日。
レクスは会議用のテントにて、隊長クラスの騎士達と顔を突き合わせていた。

「西側はもういいだろう。明日からは、東側を中心に行く」

 今回の遠征は魔の森に生息する野生の魔物を間引きするのが、目的だ。
あと、ついでに素材採取。
ただ、狩り過ぎてはいけない。
“適度に”というのが、重要だ。
あまりやり過ぎると、生態系を壊してしまう恐れがあるので。

「東となると、主にベア系ですね」

「これまでより大型の魔物になるから、新人達は怯むかもしれませんな」

「そこは我々がしっかりサポートするしかないでしょう」

「とはいえ、たまに奇行に走る愚か者も居るから充分気を配る必要がありますぞ」

 隊長クラスの騎士達は東側の情報や注意事項などを話し合う。
非常に真剣な顔付きの彼らを前に、レクスはふと代替品の剣へ目を向けた。

「では、明日は俺も同行しよう。それなら、少しは安心だろう(そろそろ、体がなまってきていたしな。ちょうどいい運動になる)」

 ────と、脳筋思考全開で戦闘参加を決めたレクス。
翌朝になると、彼は喜び勇んで魔の森に入った。
もちろん、他の騎士達も一緒に。

「(何故、団長が先頭に居るんだ?普通、隊列の内側……一番安全なポジションに居るべきだろう?同行するというだけでも、驚きなのに……)」

 新人騎士のリア・ラール・オリエンス子爵令息は、困惑気味に目を瞬かせる。
通常、団長というのは後方に居て指示を出す役割なので前線に出ているのが信じられないようだ。

「(見たところ体は鍛えているようだけど、それだけだ。きっと、魔物を前にしたら恐れ戦くに違いない)」

 この春入団したばかりでレクスのことをよく知らないため、リアは完全に侮っていた。
そんなとき────左斜め前方の茂みから、魔物が飛び出してくる。緑色のクマだ。

「なんだ、一体だけか」

 つまらなさそうに呟き、レクスは抜刀して緑色のクマを切り伏せる。
急所の喉を狙ったため、一撃だ。
おまけに、大した出血もなく綺麗な状態。

「おお!さすが、プリシラの作った剣!素晴らしい切れ味だ!」

 僅かに頬を上気させ、レクスは大興奮。

「まるで、バターを切るようだったぞ!本当に代替品にしておくのが、惜しい!そうだ、これからは氷剣とこれの二刀流でやっていこうか!(プリシラに頼めば、きっとこの剣も譲ってくれるし!)」

 プリシラは基本剣やら槍やらの武器を使わない(というか、武術からっきしで使えない。危ない)ため、このまま返却すればきっと鞄の中で日の目を浴びることなく眠る羽目になるだろう。
それはさすがに勿体ない、というのがレクスの本音だった。

「いやぁ、お見事でした!」

「普通、武器が変われば多少なりともぎこちない動きになるものですが、全然そんなことありませんでしたね!」

「しかも、皮膚の硬いグリーンベアを一撃!団長の力量とプリシラ様の武器だから、なせる技ですな!」

「この出来で魔剣じゃないというのが、衝撃です!ただ、氷剣とセットで使うならこれで正解なんでしょうな!魔剣同士だと、相性の問題などもありますし!」

 心からの賛辞を述べる他の騎士達は、『団長の二刀流、楽しみです!』と笑う。
そして、テキパキと魔物の解体を行った。
調合で使える骨と内臓は袋に仕舞い、それ以外の部分は食用にも素材にも向いていないため地面に埋める。
『後処理完了!次に行きましょう!』と歩き出す彼らを前に、リアは自身の顎を撫でた。

「(なるほど。団長は錬金術師お手製の剣を所持しているから、前線に出てきたのか。話を聞く限り魔剣の類いではないらしいが、きっと凄い性能なんだろう)」

 しげしげとレクスの剣を見つめ、リアは『あくまで凄いのは、武器』と考える。
レクスの力量あってこそ、という見解はないようだ。
他の騎士にの会話を聞いてなかった訳ではないが、『団長だから、持ち上げているんだろう』くらいにしか思っていないらしい。

 ────それから、しばらく順調に進んでいく一行。
途中何度か、魔物に遭遇したものの、数が少なかったこととレクスが居たことで問題なく撃破していた。
だが、そのような状況は長く続く筈もなく……ついに魔物の群れと遭遇する。
それも、火を吹く赤いクマと。

「フレイムベアか!各自、五・六人でグループを組め!それで魔物を一体ずつ取り囲む形で、陣形を整えろ!」

 レクスは素早く指示を出し、フレイムベアの群れを睨みつけた。
と同時に、ベテラン騎士達が動き出す。
新人騎士達もそれに触発されるかの如く、慌てて配置についた。
ただ一人、リアだけは呆然と立ち尽くしたままだ。

「(な、何なんだよ、この圧迫感と威圧感……)」

 見上げるほど大きい魔物を見るのは初めてらしく、リアは完全に気圧されている。
冷や汗をタラリと流す彼の前で、比較的傍に居たセドリックが小さく息を吐いた。

「(魔物の前で棒立ちって、ある意味勇者だな)おい、こっち来い!」

 軽い身のこなしでリアのところまで駆け寄り、セドリックは彼の腕を掴んだ。
そのまま引き摺るようにして自分のグループの包囲網に加え、何とか陣形を完成させる。
────と、ここでレクスが剣を振り上げた。

「行くぞ!各個撃破だ!」
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