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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
Side-レイ: 予期せぬ———
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*◇*◇*◇*◇
同時刻。
オリュンポス内βポイント、ある通路から入った大部屋にて。
『不死身……でヤンスか、コイツは!』
鳴り渡る幾重の銃声。
響き轟くは巨体の脚音。
『残り弾数———』
『んああっもういいでヤンス! こうなったら———!』
……と、場を駆け巡っていたヤンス機のサイドツーが一瞬動きを止め、背から何やら刃を取り出す。
取り出した剣———回転刃剣は、取り出した瞬間、サイドツーとの接着点が無くなった直後に回りだす。
『接近戦でやってやるでヤンスよぉぉぉおっ!!』
その刃をもって、サイドツーはソレに対して斬りかかる。が。
「そんなもので———そんなおもちゃで、この私を倒せるとお思いですか?」
そう、斬りかかってはいた、確実に刃は当たったのだ。のだが。
『刃が……止まっている……でヤンスか……?』
その刃は、茶色のフードに包まれた男の脳天にて、完全に静止していた。
始まったばかりの刃の回転も、確実に止まっていた。
「———では、さようなら。どなたかご存じではありませんが、名前を聞く必要は———」
「やあああああっ!!!!」
あまりの衝撃に耐えられず飛び出してしまった。
『レイさん、隠れておくって言ったでヤンしょう?! 俺の事は見捨てて隠れとくって———』
「今はそんな事———どーだっちゃいいのよ!……とにかくコイツを殺す、ソレが今の目標なんだからあっ!」
「おやおや、乱暴ですねぇ……」
しかし、私が全力で振りかざした刀も———このザマ。
「何よこの『千断村正』、『千に勝る全てを断つ』がコンセプトじゃなかったっての?! それにしちゃああまりにも……斬れなさすぎじゃない?!……っつーか、アンタ誰よ!」
「私———私ですか、そうですね、そろそろ明かしておかねばなりませんか」
そう告げると男は、何事も無かったように一歩下がり、そのフードを投げ捨てた。
「うっっっっっっそ、でしょ……? だってアンタ……私たちが殺した———はずでしょ?!」
『レイさんコイツ知ってるんでヤンスか?!』
「———そう、ですとも。確かに私はあなた方に一度、殺された。消し炭、とまでは行かずも、上半身はボロボロ。脳天から肋まで、ゴッソリと持っていかれましたとも。一度は、ね」
絶対に、見るはずのない顔であった。
「なぁんで生きてんのよ、ヘキっ!」
『ヘキ……?……結局コイツ誰なんでヤンスかっ?!』
「……殺戮や強奪を繰り返した暴力集団、カーネイジ。……その幹部だった魔族よ、私たちの手で焼き払ったはずだけどねっ!」
断崖絶壁の異名———皮膚の硬さなのかは分からないが、圧倒的な硬さ———もとい防御力を誇った敵であり、生物として成り立っているのかすら分からない魔族、それがこのヘキなのだ。
最後までその正体は分からずじまい、そのまま終わるかと思いきや、まさかこんなところで出てくるなんて。
「なんで生きているのか、ですか……救ってもらったのですよ、ある赤髪の女にね」
『じゃあ残念だったでヤンスね、その命、今日ここで俺たちが奪うでヤンスよ、俺たちの前に立つと言うのなら、でヤンスがね!』
「もちろん、この私もあなた方を木っ端微塵に吹き飛ばすつもりで望みますよ、容赦などハナから、する気はありませんので」
……そう、こっちも時間なんてないし、早めにケリをつけたいところだったし———それは好都合よ……!
同時刻。
オリュンポス内βポイント、ある通路から入った大部屋にて。
『不死身……でヤンスか、コイツは!』
鳴り渡る幾重の銃声。
響き轟くは巨体の脚音。
『残り弾数———』
『んああっもういいでヤンス! こうなったら———!』
……と、場を駆け巡っていたヤンス機のサイドツーが一瞬動きを止め、背から何やら刃を取り出す。
取り出した剣———回転刃剣は、取り出した瞬間、サイドツーとの接着点が無くなった直後に回りだす。
『接近戦でやってやるでヤンスよぉぉぉおっ!!』
その刃をもって、サイドツーはソレに対して斬りかかる。が。
「そんなもので———そんなおもちゃで、この私を倒せるとお思いですか?」
そう、斬りかかってはいた、確実に刃は当たったのだ。のだが。
『刃が……止まっている……でヤンスか……?』
その刃は、茶色のフードに包まれた男の脳天にて、完全に静止していた。
始まったばかりの刃の回転も、確実に止まっていた。
「———では、さようなら。どなたかご存じではありませんが、名前を聞く必要は———」
「やあああああっ!!!!」
あまりの衝撃に耐えられず飛び出してしまった。
『レイさん、隠れておくって言ったでヤンしょう?! 俺の事は見捨てて隠れとくって———』
「今はそんな事———どーだっちゃいいのよ!……とにかくコイツを殺す、ソレが今の目標なんだからあっ!」
「おやおや、乱暴ですねぇ……」
しかし、私が全力で振りかざした刀も———このザマ。
「何よこの『千断村正』、『千に勝る全てを断つ』がコンセプトじゃなかったっての?! それにしちゃああまりにも……斬れなさすぎじゃない?!……っつーか、アンタ誰よ!」
「私———私ですか、そうですね、そろそろ明かしておかねばなりませんか」
そう告げると男は、何事も無かったように一歩下がり、そのフードを投げ捨てた。
「うっっっっっっそ、でしょ……? だってアンタ……私たちが殺した———はずでしょ?!」
『レイさんコイツ知ってるんでヤンスか?!』
「———そう、ですとも。確かに私はあなた方に一度、殺された。消し炭、とまでは行かずも、上半身はボロボロ。脳天から肋まで、ゴッソリと持っていかれましたとも。一度は、ね」
絶対に、見るはずのない顔であった。
「なぁんで生きてんのよ、ヘキっ!」
『ヘキ……?……結局コイツ誰なんでヤンスかっ?!』
「……殺戮や強奪を繰り返した暴力集団、カーネイジ。……その幹部だった魔族よ、私たちの手で焼き払ったはずだけどねっ!」
断崖絶壁の異名———皮膚の硬さなのかは分からないが、圧倒的な硬さ———もとい防御力を誇った敵であり、生物として成り立っているのかすら分からない魔族、それがこのヘキなのだ。
最後までその正体は分からずじまい、そのまま終わるかと思いきや、まさかこんなところで出てくるなんて。
「なんで生きているのか、ですか……救ってもらったのですよ、ある赤髪の女にね」
『じゃあ残念だったでヤンスね、その命、今日ここで俺たちが奪うでヤンスよ、俺たちの前に立つと言うのなら、でヤンスがね!』
「もちろん、この私もあなた方を木っ端微塵に吹き飛ばすつもりで望みますよ、容赦などハナから、する気はありませんので」
……そう、こっちも時間なんてないし、早めにケリをつけたいところだったし———それは好都合よ……!
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