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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
Side-レイ: 黒き変貌
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「……ぅ……」
ようやく目覚めた、しかし横たわった地面には、無数の大きな血痕が。
おそらく私だ、これは私が撒き散らしたのであろう。
何せあの時、私はヘキに———ヘキの出した変質型魔力障壁にて、その身体の大部分を貫かれ、蜂の巣にされたのだから。
じゃあ、なぜ生きているのか。
「黒……騎士、か」
自らの、黒く変質してしまった右手を見上げた時に確信したのだ。
この身体は、黒騎士のモノとして置き換わり始めている、と。
右手だけには、掌の面以外が黒く染まっていた事以外にこれと言った変貌点は無かったが、驚いたのはその右腕に目をやった瞬間である。
「———棘……?」
まるで鱗のように、右腕外部の至る所に生えてきていた黒き棘。
まさに、黒き甲冑の如く。
脚に目をやっても同じだった、服をも貫通して、黒き棘が鎧のように連なっている。
顔がどうなっているかなど見たくもなかった、触った感じ、形状的な変化は無さそうだが。
そうだ、私はその概念ごと『レイ』という者から『黒騎士』という最悪の敵に置き換わってきているのだ。
いつ私が、この力に呑まれるか分からない。
いつ私の意識が消え失せ、黒騎士が再臨するかも分からない。
———でも、これ以上、またとないチャンスだ。
まさか憑依概念法術の影響がここまで及ぶとは思ってもいなかったが、そんなことなぞどうでもいい。
「……やれる……この力……なら、確実に……!」
誇りを、胸に。
何者にも屈しない、魔王軍との戦火の中にあっても自由を追い続けたのが、我ら人界軍だ。
ならばその誇りを、ライから受け継いだあの誇りを胸に、私はもう一度立ち上がる。
「……っ!」
例え夢だろうと関係ない、押してもらった背中を、さらに前へと押し進めるだけだ。
目をやった右側には、サイドツーの銃撃に、ただ歩き続けるだけで拮抗しているヘキの姿が。
———が、サイドツーはその左腕だけ破損し消失していた。
……今の私と同じだ。
「ヤンスっ!……聞こえる?!」
『……いや、なんで生きてるんでヤンスかあっ?! どうすりゃいいでヤンスか、俺はもうこれ以上保ちそうにないでヤンスよ?!』
サイドツーのスピーカーの音声が、暗き部屋一帯に響き渡る。
「……じゃあ……その機体、この私に寄越して!」
『…………っ、いいでヤンス……けど、どうやって……?』
「どうやって私が乗るか?…………大丈夫よ、私はアイツにとって、いる事すら気付かれないぐらい存在が薄いようだからねっ!」
……とは言ったものの、今のはただの煽り文句。
乗る方法なんてたった1つ。
———強行突破のみに決まってる……!
たった一瞬、具体的な敵の行動など予測もつかないまま、それに対する何の対策も取らずに隙を晒す事になるが———、
それでも、このまま停滞するよりかは、幾分マシだ———!
ようやく目覚めた、しかし横たわった地面には、無数の大きな血痕が。
おそらく私だ、これは私が撒き散らしたのであろう。
何せあの時、私はヘキに———ヘキの出した変質型魔力障壁にて、その身体の大部分を貫かれ、蜂の巣にされたのだから。
じゃあ、なぜ生きているのか。
「黒……騎士、か」
自らの、黒く変質してしまった右手を見上げた時に確信したのだ。
この身体は、黒騎士のモノとして置き換わり始めている、と。
右手だけには、掌の面以外が黒く染まっていた事以外にこれと言った変貌点は無かったが、驚いたのはその右腕に目をやった瞬間である。
「———棘……?」
まるで鱗のように、右腕外部の至る所に生えてきていた黒き棘。
まさに、黒き甲冑の如く。
脚に目をやっても同じだった、服をも貫通して、黒き棘が鎧のように連なっている。
顔がどうなっているかなど見たくもなかった、触った感じ、形状的な変化は無さそうだが。
そうだ、私はその概念ごと『レイ』という者から『黒騎士』という最悪の敵に置き換わってきているのだ。
いつ私が、この力に呑まれるか分からない。
いつ私の意識が消え失せ、黒騎士が再臨するかも分からない。
———でも、これ以上、またとないチャンスだ。
まさか憑依概念法術の影響がここまで及ぶとは思ってもいなかったが、そんなことなぞどうでもいい。
「……やれる……この力……なら、確実に……!」
誇りを、胸に。
何者にも屈しない、魔王軍との戦火の中にあっても自由を追い続けたのが、我ら人界軍だ。
ならばその誇りを、ライから受け継いだあの誇りを胸に、私はもう一度立ち上がる。
「……っ!」
例え夢だろうと関係ない、押してもらった背中を、さらに前へと押し進めるだけだ。
目をやった右側には、サイドツーの銃撃に、ただ歩き続けるだけで拮抗しているヘキの姿が。
———が、サイドツーはその左腕だけ破損し消失していた。
……今の私と同じだ。
「ヤンスっ!……聞こえる?!」
『……いや、なんで生きてるんでヤンスかあっ?! どうすりゃいいでヤンスか、俺はもうこれ以上保ちそうにないでヤンスよ?!』
サイドツーのスピーカーの音声が、暗き部屋一帯に響き渡る。
「……じゃあ……その機体、この私に寄越して!」
『…………っ、いいでヤンス……けど、どうやって……?』
「どうやって私が乗るか?…………大丈夫よ、私はアイツにとって、いる事すら気付かれないぐらい存在が薄いようだからねっ!」
……とは言ったものの、今のはただの煽り文句。
乗る方法なんてたった1つ。
———強行突破のみに決まってる……!
たった一瞬、具体的な敵の行動など予測もつかないまま、それに対する何の対策も取らずに隙を晒す事になるが———、
それでも、このまま停滞するよりかは、幾分マシだ———!
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