5 / 12
4.無駄話
しおりを挟む
これもダメ。でも、こうしてもダメ。そうしてるうちに日は暮れ、また次の日が顔を見せる。期限すら守れない人間が何を守れると言うのだろう。外をふらつく人間にふと殺気が湧いた私だったが、自分で選んだ道ということを再認識するともう殺気など湧くこともなかった。
生み出すことのない人間は受け身の人生を送る。そういう人生に憧れることは甚だなかった。けれど、誰しもが考え得ることを自慢げに「生み出した」などと供述している以上、私に他人を軽視する資格はなかった。人は人と違うことを初めて行ってこそ、生み出す人生への一歩を踏み出せるのだと思う。そのための努力はしているものの、結果が伴わないものは何の意味もない。
その結論に至る頃までには、随分と無駄な時間を送っていた。何度も日が沈み再度浮かんでくるのを目にした。この程度の精神では何も生み出せない。何にも追いつけない。何にもなれない。
──面白いものを作ろうと意気込んで見せても、書けるものは愚痴だけだった。
常人から逸脱した感性を持ち合わせないと面白いものは作れない。程度の知れた、社会にも出てない人間が逸脱した感性を持とうなどとは少し厚かましい考えかも知れない。
随分と他人を見る機会が増えたが、どうにも他人と割り切れる人間は見ていて良い気がしない。まるで何かに唆され、生産性のない人生を歩んでいっているように見えるのだ。しかしたまには、それらを美しいと感じてしまうことすらある。なので尚更タチが悪かった。あいも変わらず全員が画面にのめり込む世間を、良いと見る人がどこに居ろうか。されどその本人ですらこうして画面にのめり込んでいるこの矛盾点はどう解決すれば良いか。自分を棚に上げて人を足下まで押し倒しているだけにすぎない。
実際、そんなことを考えている人は少ないにしろ、考えたことがある人からすれば私も同じものになる。同じように耳に異様なプラスチックを嵌め込み、周りと変わらず画面にのめり込んでいる。何も変わらない。
幾分か言い訳を上げるとすれば、私はこの文すらも次への屍になると思いたいことだ。頭の良くない私は狂人を理解することでしか、そんな素晴らしい感性を持てなかった。日記、と言えば痛々しいが、芥川の蜜柑を読めばきっと少しくらい気持ちもわかるだろう。
延々とこんなのを書いてばかりではこの世界に取り憑かれてしまう。やはり私は物語を書くべきだ、と言い聞かせることにしようと思う。
こんな偽物の文芸に憧れてしまうあたり、私はまだ常人なのかも知れない。
生み出すことのない人間は受け身の人生を送る。そういう人生に憧れることは甚だなかった。けれど、誰しもが考え得ることを自慢げに「生み出した」などと供述している以上、私に他人を軽視する資格はなかった。人は人と違うことを初めて行ってこそ、生み出す人生への一歩を踏み出せるのだと思う。そのための努力はしているものの、結果が伴わないものは何の意味もない。
その結論に至る頃までには、随分と無駄な時間を送っていた。何度も日が沈み再度浮かんでくるのを目にした。この程度の精神では何も生み出せない。何にも追いつけない。何にもなれない。
──面白いものを作ろうと意気込んで見せても、書けるものは愚痴だけだった。
常人から逸脱した感性を持ち合わせないと面白いものは作れない。程度の知れた、社会にも出てない人間が逸脱した感性を持とうなどとは少し厚かましい考えかも知れない。
随分と他人を見る機会が増えたが、どうにも他人と割り切れる人間は見ていて良い気がしない。まるで何かに唆され、生産性のない人生を歩んでいっているように見えるのだ。しかしたまには、それらを美しいと感じてしまうことすらある。なので尚更タチが悪かった。あいも変わらず全員が画面にのめり込む世間を、良いと見る人がどこに居ろうか。されどその本人ですらこうして画面にのめり込んでいるこの矛盾点はどう解決すれば良いか。自分を棚に上げて人を足下まで押し倒しているだけにすぎない。
実際、そんなことを考えている人は少ないにしろ、考えたことがある人からすれば私も同じものになる。同じように耳に異様なプラスチックを嵌め込み、周りと変わらず画面にのめり込んでいる。何も変わらない。
幾分か言い訳を上げるとすれば、私はこの文すらも次への屍になると思いたいことだ。頭の良くない私は狂人を理解することでしか、そんな素晴らしい感性を持てなかった。日記、と言えば痛々しいが、芥川の蜜柑を読めばきっと少しくらい気持ちもわかるだろう。
延々とこんなのを書いてばかりではこの世界に取り憑かれてしまう。やはり私は物語を書くべきだ、と言い聞かせることにしようと思う。
こんな偽物の文芸に憧れてしまうあたり、私はまだ常人なのかも知れない。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる