37 / 39
最終話 それから
しおりを挟む
発情期が収まった後、オレはすぐに八剱斗環の事務所を乗っ取った。
いきなり事務所に乗り込んだ琴宮が「今日からここのトップはオレだ」なんて言い放っただけでどうにかなったのは、もちろんオレの実力ってのもあるが、相神が一緒についてきてくれたおかげというのも……まぁ、あったりなかったりするかもしない。その件に関してはだな……ちょっとくらいは感謝してやってもいいかなとは思ってる。
それから、オレは八剱組の一員として生きることになった。
顔と身体が変わって発情期が三ヶ月に一回ある以外は、今までと同じような生活だ。
……いや、もう一つ。大きな変化があった。
気が付けばオレはいつの間にか相神と入籍していたんだ。
そういえば、番になってから何度目かの発情期中、何かの書類にサインさせられたような気がする。多分、それが婚姻届だったんだろう。
つーか、そんなもの、意識がはっきりしないときに書かせてんじゃねぇ!!
そんなことしなくても逃げねーよ。だって、オレは相神のチンコがねぇと生きていけないわけだし? そんくらいには相神のチンコを気に入っている。チンコをな! チンコだけだかんな!!
相神のセックスはいつもねちっこい。しかも、チンコが気持ち良すぎるせいでオレの理性はあっさり溶けて、際限なく相神のチンコを求めてしまう。
調子に乗った相神は、ヤってる最中は絶対オレに「好き」って言わせないと気が済まねぇみたいで、毎回、グズグズに溶かされて、泣かされて、ねだらされて、「好き」だの「愛してる」だのを言わさせられる。
おかげで、その言葉を聞くだけでオレの身体が火照るようになっちまった。
そのせいで、正気のときにオレが相神に本心を伝えられなくなってるだなんて……そんなことはどうでもいいんだ、どうでも!! 素直に好きって言えないことに悩んでいるだなんて……そんなことは、絶対にない。絶対にだ。
相神はもともと親父に気に入られていたが、オレと番になった後は、とくに親父と親密さが増していた。
どういうことかと不思議に思っていたら、番になった直後くらいに「八剱斗環が琴宮睦和に生まれ変わってる」ってことを、相神が親父に説明してくれていたらしい。そのときに「息子さんをオレにください」ってのもやったそうだ。ということを、親父に入籍の報告をしに行った時に知らされた。
つまり、オレは相神に周りをガッツリと固められていたわけだ。
何勝手なことやってんだよと思わなくもなかったけれど、八剱斗環が死んだとき、親父はすごく悲しんで荒れて大変だったと後から知った。そんな親父を救ってくれたんだから、まぁ許してやらねえこともない。
そうそう、繁華街でオレを刺した奴は、オレに何か恨みがあったとかそういったことは全くなく、たまたまその場に居合わせただけの通り魔だったらしい。なんだよ、そのだっせぇ死に方!!
親父が退いた後は、オレたち夫夫で八剱組を継ぐことになった。
最初はオレが親父の後を継いで組長になるつもりだった。相神も、それを後押ししてくれていた。
だけど、実際にオレが組長になるってことを聞きつけた組員達から泣きつかれたのだ。『組長が可愛すぎて仕事になんないのでマジで勘弁してください』と。それで、仕方がないから相神が組長になった。全く、腑に落ちない。
相神はオレのやりたいことはなんでも好きにさせてくれたので、隣に居るのはすごく楽しくて居心地が良かった。
なんだかんだ、相神と番になって、夫夫になったことに関してオレに不満は全くなかった。しつこすぎるセックス以外はな!!
そういえば、オメガになって、オレはひとつイイ武器を手に入れたんだ。
琴宮睦和は極上のオメガだったので、各方面に対するお願い事も面倒事も、だいたいのことはにっこり笑顔を見せるだけでどうにかなった。なかなか便利な顔だ。
今までだったら、面倒くさい根回しをしたり、腕自慢の組員を使ったりしなきゃなんなかったのに。
ただ、あんまり調子に乗って使いすぎると、勘違いした馬鹿が発生したり、嫉妬した相神がいつも以上にねちっこいお仕置きをしてくるのには辟易した。そういうときは、発情期でもないのに、昼夜を問わず啼かされてしまうのだ。まぁ、オレもそれをわかってて、たまに煽ったりすることは……時々あったりするんだけど。
もちろん、発情期の時のセックスは言わずもがなだ。毎回あんな絶倫のねちっこい無茶なセックスに付き合って、よく壊れないものだといつも思う。オメガってのは、意外と頑丈なんだな。
相神の宣言通り、あれからオレが抑制剤を使うことは二度となかった。
そのかわり、相神にたっぷりと愛される一生を過ごすことになるのだった。
おわり
*****
最後までお付き合いいただきましてありがとうございました!!
もしお話を気に入っていただけましたら、「第11回BL小説大賞」の投票をしていただけると嬉しいです。
また別のお話でもお会いできますように。
いきなり事務所に乗り込んだ琴宮が「今日からここのトップはオレだ」なんて言い放っただけでどうにかなったのは、もちろんオレの実力ってのもあるが、相神が一緒についてきてくれたおかげというのも……まぁ、あったりなかったりするかもしない。その件に関してはだな……ちょっとくらいは感謝してやってもいいかなとは思ってる。
それから、オレは八剱組の一員として生きることになった。
顔と身体が変わって発情期が三ヶ月に一回ある以外は、今までと同じような生活だ。
……いや、もう一つ。大きな変化があった。
気が付けばオレはいつの間にか相神と入籍していたんだ。
そういえば、番になってから何度目かの発情期中、何かの書類にサインさせられたような気がする。多分、それが婚姻届だったんだろう。
つーか、そんなもの、意識がはっきりしないときに書かせてんじゃねぇ!!
そんなことしなくても逃げねーよ。だって、オレは相神のチンコがねぇと生きていけないわけだし? そんくらいには相神のチンコを気に入っている。チンコをな! チンコだけだかんな!!
相神のセックスはいつもねちっこい。しかも、チンコが気持ち良すぎるせいでオレの理性はあっさり溶けて、際限なく相神のチンコを求めてしまう。
調子に乗った相神は、ヤってる最中は絶対オレに「好き」って言わせないと気が済まねぇみたいで、毎回、グズグズに溶かされて、泣かされて、ねだらされて、「好き」だの「愛してる」だのを言わさせられる。
おかげで、その言葉を聞くだけでオレの身体が火照るようになっちまった。
そのせいで、正気のときにオレが相神に本心を伝えられなくなってるだなんて……そんなことはどうでもいいんだ、どうでも!! 素直に好きって言えないことに悩んでいるだなんて……そんなことは、絶対にない。絶対にだ。
相神はもともと親父に気に入られていたが、オレと番になった後は、とくに親父と親密さが増していた。
どういうことかと不思議に思っていたら、番になった直後くらいに「八剱斗環が琴宮睦和に生まれ変わってる」ってことを、相神が親父に説明してくれていたらしい。そのときに「息子さんをオレにください」ってのもやったそうだ。ということを、親父に入籍の報告をしに行った時に知らされた。
つまり、オレは相神に周りをガッツリと固められていたわけだ。
何勝手なことやってんだよと思わなくもなかったけれど、八剱斗環が死んだとき、親父はすごく悲しんで荒れて大変だったと後から知った。そんな親父を救ってくれたんだから、まぁ許してやらねえこともない。
そうそう、繁華街でオレを刺した奴は、オレに何か恨みがあったとかそういったことは全くなく、たまたまその場に居合わせただけの通り魔だったらしい。なんだよ、そのだっせぇ死に方!!
親父が退いた後は、オレたち夫夫で八剱組を継ぐことになった。
最初はオレが親父の後を継いで組長になるつもりだった。相神も、それを後押ししてくれていた。
だけど、実際にオレが組長になるってことを聞きつけた組員達から泣きつかれたのだ。『組長が可愛すぎて仕事になんないのでマジで勘弁してください』と。それで、仕方がないから相神が組長になった。全く、腑に落ちない。
相神はオレのやりたいことはなんでも好きにさせてくれたので、隣に居るのはすごく楽しくて居心地が良かった。
なんだかんだ、相神と番になって、夫夫になったことに関してオレに不満は全くなかった。しつこすぎるセックス以外はな!!
そういえば、オメガになって、オレはひとつイイ武器を手に入れたんだ。
琴宮睦和は極上のオメガだったので、各方面に対するお願い事も面倒事も、だいたいのことはにっこり笑顔を見せるだけでどうにかなった。なかなか便利な顔だ。
今までだったら、面倒くさい根回しをしたり、腕自慢の組員を使ったりしなきゃなんなかったのに。
ただ、あんまり調子に乗って使いすぎると、勘違いした馬鹿が発生したり、嫉妬した相神がいつも以上にねちっこいお仕置きをしてくるのには辟易した。そういうときは、発情期でもないのに、昼夜を問わず啼かされてしまうのだ。まぁ、オレもそれをわかってて、たまに煽ったりすることは……時々あったりするんだけど。
もちろん、発情期の時のセックスは言わずもがなだ。毎回あんな絶倫のねちっこい無茶なセックスに付き合って、よく壊れないものだといつも思う。オメガってのは、意外と頑丈なんだな。
相神の宣言通り、あれからオレが抑制剤を使うことは二度となかった。
そのかわり、相神にたっぷりと愛される一生を過ごすことになるのだった。
おわり
*****
最後までお付き合いいただきましてありがとうございました!!
もしお話を気に入っていただけましたら、「第11回BL小説大賞」の投票をしていただけると嬉しいです。
また別のお話でもお会いできますように。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
186
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる