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第六章 機械仕掛けの神
新たな仲間と動き出す存在21(4)
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朝から雨が降り、ジメジメした一日。
灰色の分厚い雲が空を覆い止みそうにない。そんな雨の日、何事もなく放課後を迎える。
夏目は部室へ向かう途中、アザゼルに会う。
「お、夏目か。どうだ、紅とは? 上手くやってるか?」
「アザゼル先生。えっとですね、お兄ちゃんみたいな感じで、お節介焼きだけど面倒見が良いし優しいですね」
紅のことを訊かれ、素直に思っていることを口にする夏目にアザゼルは笑みを作り「そうか」と。
雨粒が弾ける音に紛れ、紅について語るアザゼル。
「紅は、余命宣告を受けた人間でな。夢を諦めるしかなかった」
「え……」
あまりに唐突な内容に何も言えない夏目。
「あいつの夢は、自分の店を持つこと。パン屋を開きたかったらしい。そのためにパン作りの知識を学び各地を巡っては、刺激を受け日々パン作りに精を出していた。だが、ある日のことだ。急に意識を失い、そばにいた恋人がすぐに対応し救急搬送された。そして余命宣告を告げられた、半年の命だと。夢を追いかけ私生活でも恋人がいて不満はなかったが、余命宣告を告げられたことで、生活にも関係にも綻びが生まれた……」
「…………」
そこまで話、一呼吸置いたアザゼルは雨が降り注ぐ雲を見上げる。そして続きをまた語りだす。
「恋人は、余命宣告を受けた紅のそばにいられなくなった。半年後には死ぬ恋人を見て、そのあともそれを背負うのは無理、そう一方的に別れを告げられ目の前から消えたそうだ。パン屋を開く夢も、続けることは不可能で諦めるしかない。そうして病室で一人死を待つ生活が始まり、思考も心も壊れ始めたその結果強く望んだ」
「そ、それって……」
「ああ、そうだ。生きる力が欲しい、死にたくないという生への執着」
「……っ」
「そして神殺しへ至った。それが、俺が知る紅の大まかな過去だ」
静かに語るアザゼル。
夏目にも神殺しへ至る理由があり、紅にも彼にしか分からない理由それぞれにある。ただ一つ、共通するのは力を求めたことだろうか。
「元々、あいつは面倒見が良いしお節介焼きなんだよ。お前たちを見て、昔の自分を勝手に重ねて、同じ運命を辿ってほしくないなんて思ったんだろうな」
「それで、あれやこれやと……」
「神殺しになる以前に、お前たちはいずれ恋人になっただろうし、寄り添い同じ今を生きるお前たちを見ていたい、そんな風に考えたのかもしれない。なんて俺の勝手な考え方だがな。夏目さえ良ければ紅と仲良くしてやってくれ」
夏目は、こうして気にかけるアザゼルも案外お節介焼きだと思った。
何より、そこまで紅のことを気にかける理由が知りたいとも。だからアザゼルに訊く。
「どうしてその話を俺にしたんですか?」
その問いにアザゼルは、頭を軽く掻きながら父親のような顔つきをして返す。
「……ずっと昔、紅がまだ五歳の頃に俺はあいつに会っててな。その時に俺の退屈でつまらない日々に少しの刺激をくれた、カードゲームやボードゲームに興じ話をして楽しかったんだよ。幼い子供に一時とはいえ、楽しませてもらったお礼だ。これも俺の勝手なエゴだがな。紅には言うなよ? 今更恥ずかしいからな、こんな話」
「ま、マジカ……」
素で出てしまう言葉。
話し終え部室へ向かい歩き出すアザゼル。
背中を見つめながら、こんな出会いもあるんだと驚く。まさか、そんな早くに二人が出会っていたとは想像すらしていなかった。
夏目も雨の空を見上げ「縁ってすごいな」と染み染みに呟く。
灰色の分厚い雲が空を覆い止みそうにない。そんな雨の日、何事もなく放課後を迎える。
夏目は部室へ向かう途中、アザゼルに会う。
「お、夏目か。どうだ、紅とは? 上手くやってるか?」
「アザゼル先生。えっとですね、お兄ちゃんみたいな感じで、お節介焼きだけど面倒見が良いし優しいですね」
紅のことを訊かれ、素直に思っていることを口にする夏目にアザゼルは笑みを作り「そうか」と。
雨粒が弾ける音に紛れ、紅について語るアザゼル。
「紅は、余命宣告を受けた人間でな。夢を諦めるしかなかった」
「え……」
あまりに唐突な内容に何も言えない夏目。
「あいつの夢は、自分の店を持つこと。パン屋を開きたかったらしい。そのためにパン作りの知識を学び各地を巡っては、刺激を受け日々パン作りに精を出していた。だが、ある日のことだ。急に意識を失い、そばにいた恋人がすぐに対応し救急搬送された。そして余命宣告を告げられた、半年の命だと。夢を追いかけ私生活でも恋人がいて不満はなかったが、余命宣告を告げられたことで、生活にも関係にも綻びが生まれた……」
「…………」
そこまで話、一呼吸置いたアザゼルは雨が降り注ぐ雲を見上げる。そして続きをまた語りだす。
「恋人は、余命宣告を受けた紅のそばにいられなくなった。半年後には死ぬ恋人を見て、そのあともそれを背負うのは無理、そう一方的に別れを告げられ目の前から消えたそうだ。パン屋を開く夢も、続けることは不可能で諦めるしかない。そうして病室で一人死を待つ生活が始まり、思考も心も壊れ始めたその結果強く望んだ」
「そ、それって……」
「ああ、そうだ。生きる力が欲しい、死にたくないという生への執着」
「……っ」
「そして神殺しへ至った。それが、俺が知る紅の大まかな過去だ」
静かに語るアザゼル。
夏目にも神殺しへ至る理由があり、紅にも彼にしか分からない理由それぞれにある。ただ一つ、共通するのは力を求めたことだろうか。
「元々、あいつは面倒見が良いしお節介焼きなんだよ。お前たちを見て、昔の自分を勝手に重ねて、同じ運命を辿ってほしくないなんて思ったんだろうな」
「それで、あれやこれやと……」
「神殺しになる以前に、お前たちはいずれ恋人になっただろうし、寄り添い同じ今を生きるお前たちを見ていたい、そんな風に考えたのかもしれない。なんて俺の勝手な考え方だがな。夏目さえ良ければ紅と仲良くしてやってくれ」
夏目は、こうして気にかけるアザゼルも案外お節介焼きだと思った。
何より、そこまで紅のことを気にかける理由が知りたいとも。だからアザゼルに訊く。
「どうしてその話を俺にしたんですか?」
その問いにアザゼルは、頭を軽く掻きながら父親のような顔つきをして返す。
「……ずっと昔、紅がまだ五歳の頃に俺はあいつに会っててな。その時に俺の退屈でつまらない日々に少しの刺激をくれた、カードゲームやボードゲームに興じ話をして楽しかったんだよ。幼い子供に一時とはいえ、楽しませてもらったお礼だ。これも俺の勝手なエゴだがな。紅には言うなよ? 今更恥ずかしいからな、こんな話」
「ま、マジカ……」
素で出てしまう言葉。
話し終え部室へ向かい歩き出すアザゼル。
背中を見つめながら、こんな出会いもあるんだと驚く。まさか、そんな早くに二人が出会っていたとは想像すらしていなかった。
夏目も雨の空を見上げ「縁ってすごいな」と染み染みに呟く。
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