偽りの神人 ~神造七代の反逆と創世~

ゆー

文字の大きさ
148 / 220
第六章 機械仕掛けの神

悪神の降臨13(3)

しおりを挟む
 翌日、フェンリルに包まれ目が覚めた夏目は外を見る。



「んんっ……。朝か……」



 その場から立ち上がり民家の外へ向かう。霧が立ち込め、真っ白な世界が目の前に広がる。

 音がない静かすぎる場所に立ち竦み、空を見上げても霧で覆われ何も見えない。



「………………」



 目を閉じ五感を研ぎ澄ませ何か感じられないか、夏目なりに試してみると微かに吹く風に、空耳かと間違えそうな葉っぱが揺れる小さな音。地面から冷気が流れ足元から冷える感覚、空気はジメっとしてやはり重く伸し掛かる。



(ん? な、なんだ……?)



 そして、どこからのか全く検討もつかないが夏目を視る得体の知れない存在の視線を全身で感じ取り、目を開き周囲を見渡すが分からない。



(視られていたよな……?)



 確かに視られていた、しかしその正体を見つけることはできない。そこへ紅がそばへやってくる。



「夏目くんも感じたかい? 視られている視線を」

「……っ! 紅も感じたのか? あの得体の知れない視線を?」

「ああ、感じたよ。あれは間違いなく悪神だ」

「――っ!」



 紅の言葉に息を呑む。肌に突き刺さる視線、今のところ悪意も善意、敵意や殺意すら感じられない。だが、全身が総毛立ち悪寒すら走った。

 言葉では言い表せない感覚だ。



「悪神は、オレたちがここへ来ているのに気づいている。その上で、己の元まで辿り着くの待っているんだと思う。ちょっとした余興感覚なんだろうけど」

「嫌な趣味してるんだな。悪神って」



 紅の言葉にそう返す夏目の反応に笑いが出る。



「ははっ、そうだね。さて、そろそろみなを起こそう」



 民家に戻り美哉たちを起こす。アザゼルと四音は周辺の調査に出ていた。

 起きた面々は軽い朝食を摂り脳を覚醒、そうして二人が戻ってきた頃には行動開始。

 昨日と同様にアザゼルを先頭に樹海の中を歩き、一時間ほど奥へ進むと洞窟前に辿り着く。

 アザゼルは、真剣でもあり険しい顔つきで言う。



「この先に悪神がいる。お前たち、いつでも戦闘体勢が取れるように構えろ。ここからは誰の予想もつかない領域だ」



 四音からもみなに伝える。



「何が起きるか分からないから、自分の身は自分で護るのよ。わたしでさえ、みんなを護れないから」



 二人にそう忠告され緊張が走る。

 夏目はヨルムンガンドと合体しその身に鱗を纏う。春人と真冬も神器と神獣を喚び出し、紅も八岐大蛇と融合、美哉たちも神器を取り出しいつでも動けるように。

 全員が体勢を整ったことを確認しいざ洞窟内へ。

 足を踏み入れた瞬間に感じた、空気が澄み切りピンッと張り詰めたことに。何よりこの先の最奥から、今までに感じたことのない存在感。



(息苦しさを感じるな……)



 内心で思いなが、夏目たちはそれでも歩みを進め遂にその場所へと。

 そこは、空洞で一切の汚れのない水が張られ中央に赤黒い鳥居が一つ。あとは何もない空間。ただし鳥居が常に光っているが。



「――っ! 来るぞ、お前たち!」



 アザゼルの声に身構える。光る鳥居の輝きはより一層に放ち眩しく目を瞑った。



 ――ま、眩しいっ! と誰もが思ったことだろう。



 しばらくすると光は収まり目を開ければ、鳥居に座る異様な機械仕掛けの存在が鎮座。

 黒曜の機体に六本の腕と銀河を連想させる眼球、額にも青、赤、橙、緑と入り交じる目、背後に浮かぶのは神々しい神紋。人間と同じ作りの顔だが生気など感じられない。

 初めて見るそれに、夏目たちは言葉を一言も発せない。

 アザゼルと四音は目つきを鋭くさせ睨み上げ、紅も笑みを消し忌々しいと怒りを含ませ夏目たちに伝えた。



「あれが悪神さ。この世界の絶対的存在であり、本来の神に創られたにも関わらず殺し、神に仕えていた天使、悪魔や堕天使さえも皆殺しにして、天界と冥界を蹂躙し滅ぼした元凶。そして、創造主の地位を奪い神に成り代わり支配を望む機械仕掛けの神だよ」



 その話に誰もが息を呑み、目の前のそいつを見上げる。

 口は開いたが動きがなく、それでも老若男女の声で悪神は夏目たちを三つの目が見下ろし告げた。



「愚かな人間と悪魔、天使共よな。身の程を弁えない人種、我自らが死を与え教えてやろう。神に反逆するということが、どういう意味を持つかということを――」



 鳥居の上で鎮座していた悪神が立ち上がる。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜

美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊  ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め… ※カクヨム様にも投稿しています ※イラストはAIイラストを使用しています

魔眼の剣士、少女を育てる為冒険者を辞めるも暴れてバズり散らかした挙句少女の高校入学で号泣する~30代剣士は世界に1人のトリプルジョブに至る~

ぐうのすけ
ファンタジー
赤目達也(アカメタツヤ)は少女を育てる為に冒険者を辞めた。 そして時が流れ少女が高校の寮に住む事になり冒険者に復帰した。 30代になった達也は更なる力を手に入れておりバズり散らかす。 カクヨムで先行投稿中 タイトル名が少し違います。 魔眼の剣士、少女を育てる為冒険者を辞めるも暴れてバズり散らかした挙句少女の高校入学で号泣する~30代剣士は黒魔法と白魔法を覚え世界にただ1人のトリプルジョブに至る~ https://kakuyomu.jp/works/16818093076031328255

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...