偽りの神人 ~神造七代の反逆と創世~

ゆー

文字の大きさ
173 / 220
第二部 第七章 終わりの始まり

第三幕 最愛の人との再開(1)

しおりを挟む
 奏、遥と話し終えたあと二人を自宅へ招く。

 俺が外出の際には、美哉のそばにヘルがつくことになっている。そのため、そばにはフェンリルとヨルムンガンドが常に控え共に行動する。

 二人は、俺の家を目にして驚いた顔をした。ここへ来てまだ数時間しか経っていないだろうが、街を歩き己の目で見てきたから分かっているはず。無傷で残っている家があるなんて、といったところか。



「これ、結界……?」

「みたい。この結界で守られてる」



 ほう……。目には視えないし、触れなければ分からない結界に気づくか。さすがは、ウロボロスの転生体。



「二人共、こっちだ」

「お、お邪魔します」

「します」



 家への中に入れ、リビングへ通しソファーに座るよう促し話す。



「我が家が無事なのは、巫女がいるからだ。その巫女に結界を張らせ、機械人形を近づけさせないようにしてある」



 俺の説明に納得する二人と、リビングへトレイを持って紅茶を運んでくる人物。

 小柄で、セミロングの亜麻色の髪、茶目の女性はソファーに座る二人へ自己紹介と共に挨拶。



「初めまして。あたしは、東雲桜よ。夏目くんの友人の一人で、結界の力を宿す巫女でもあるの。よろしくね」

「は、はい。よろしくお願いします! わたしは、双葉奏って言います!」

「よろしくです。ぼくは、二条遥」

「奏ちゃんと遥ちゃんね。紅茶、よかったらどうぞ」

「はい!」

「いただきます」



 桜が二人の前に紅茶を置き、俺にもストレートティーを手渡す。



「砂糖はいつも通りでよかった?」

「ああ。結界の維持は問題ないか?」

「ええ。アザゼル先生と神器のお陰で今のところは何もないわ。あたしの方も、肉体に影響はないから大丈夫」

「そうか。維持を続けてくれ」

「任せて」



 会話を終えた桜は、二人に笑みを向けリビングから出て行く。

 紅茶に口をつけ一口、飲む俺に奏は目を光らせ好奇心が刺激でもされたのか訊いてくる。



「この家には、女性が二人も一緒に住んでるの!? もしかしてハーレム状態とか!?」

「奏、それ失礼だよ」



 と、奏の裾を引っ張り前のめりで訊く彼女を制止する遥。

 二人……? ああ、地下で会った燐のことを言っているのか。



「ハーレムなわけないだろ。地下で会った燐と今会った桜も仲間だ。あと、俺は美哉一筋だ。浮気などするか」



 俺の言葉に、奏は少しつまらなそうな顔をして座り直す。隣に座る遥は、やれやれといった風に肩を竦め紅茶を飲む。



「さて、奏と遥には少しやってもらいたいことがある」



 紅茶を半分ほど飲み終えてからそう切り出す。

 二人は首を傾げ、何を? と。



「俺以外の神殺しに、その存在理由の説明と、この家の護衛を二人にしてもらう」



 そう言う俺の話に顔つきが変わった。



「神殺しの存在理由を知っているのは俺と、八岐大蛇と契約をしている神殺しだけだ。あと二人は知らない。後日、紹介する時に話しておいてほしい」

「それはいいけど、護衛っていうのは?」



 奏の質問に、簡潔に答える。



「この家に今、俺にとって一番大切な人が眠っている。彼女を護るため二人の力がいる」

「なるほどね。分かったわ! わたしと遥に任せて! ね? 遥」

「ん。ぼくたちにできることは何でもする」

「頼もしいな。ありがとう。それと、衣食住を保証する。この家の物は好きに使ってくれて構わない。ただし、俺の部屋には許可なしに入るな。それさえ守れば自由にしていい」

「オッケー! じゃあ、さっそくこの家を見て回るわよ、遥!」

「はいはい」

「桜に案内を頼むといい」



 話を終えた奏は、遥の手を引っ張り家の中の探検に出る。その案内役を桜が請け負い、リビングを出てまずは一階から教えるようだ。

 半分、残った紅茶を飲みながら考える。

 半年前の悪神と戦う前に、アザゼルと四音ことルシファーに真実を教えられた。が、神殺しの存在理由については何も聞いていない。

 まさか、神殺しにそんな秘密があったとはな。知った時は、腸が煮えくり返る思いだったぞ。何故、教えなかったと言いたい気持ちはあった。



 しかしだ、もし機械仕掛けの神と戦う前に、存在理由を知っていたら本当に戦えていたか? という不安要素があったかもしれない。俺だけではなく、他の仲間にも。

 そう考えれば、あの時に何も言わなかった二人の気持ちを汲むべきだろう。

 空になったカップの底を見つめる俺にフェンリルが、



「まさか、転生体と巡り会うとは。我輩でも初めて見たぞ」

「あっ、それボクも思った! 本当にいたんだね!」



 ヨルムンガンドも、兄の背にとぐろを巻きながら変わらずの元気な声で言う姿に、笑みを作り返す。



「この半年で力はむろん、知識を叩き込んだからな。こんな世界だ、もしやと思いこの街の外をヨルムンガンドの目を使って視ていたが、こうも簡単に俺の方へ引き込めたのは良かった。黒炎を視た時、何かしらの転生体とは思ったが。まさか、ウロボロスだったとはな。貴重な戦力にもなる。あとは、他の仲間に紹介すればいいだけ」



 これにフェンリルとヨルムンガンドも同意。



「うむ、この家を護る護衛としても申し分ない。結界が永遠に持つとは限らぬ、どこか綻びが生まれるやもしれぬし、攻め込まれた際に美哉を護る者がいなければならぬ」

「そうだよ。ヘルが常にそばにいるとはいえ、何が起きるか分からないのが現状だもん。この前だって、あの変な人形がいっぱい攻めて来てすぐ夏目が察知して、一キロ先で殺し合ったところだし」



 相棒たちの話に五日前のことを思い出す。

 燐や東雲先輩、神崎先輩たちは物資の調達に出払っていた。紅も悪神の動向を探るため別行動中、アザゼルとルシファーも塔の建設に関しての情報と、拉致られた人間の現状を知るために家にはいなかった。



 桜は家で待機、俺が美哉のそばにいたその時に数キロ先で機械人形の存在を察知した。

 俺は、すぐさま行動に出た。相棒を連れこの家の一キロ先で戦闘になったのだ。機械人形は大群その数は百、それを俺たちだけで殺し尽くす。

 結果的に、被害はなくバラバにした機械人形の残骸がそこら中に転がったが。

 だが、あの時のようにまた大群で襲い誰も美哉のそばにいなかったらと思うと、腹の底から怒り、殺意、憎悪が止めどなく湧いて破壊と殺人衝動に駆られてしまいそうになる。



 奏と遥に護衛を頼んだのは、それを避けるための処置だ。

 カップを置き、ソファーから立ち上がり相棒たちと共に自室へ戻る。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜

美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊  ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め… ※カクヨム様にも投稿しています ※イラストはAIイラストを使用しています

魔眼の剣士、少女を育てる為冒険者を辞めるも暴れてバズり散らかした挙句少女の高校入学で号泣する~30代剣士は世界に1人のトリプルジョブに至る~

ぐうのすけ
ファンタジー
赤目達也(アカメタツヤ)は少女を育てる為に冒険者を辞めた。 そして時が流れ少女が高校の寮に住む事になり冒険者に復帰した。 30代になった達也は更なる力を手に入れておりバズり散らかす。 カクヨムで先行投稿中 タイトル名が少し違います。 魔眼の剣士、少女を育てる為冒険者を辞めるも暴れてバズり散らかした挙句少女の高校入学で号泣する~30代剣士は黒魔法と白魔法を覚え世界にただ1人のトリプルジョブに至る~ https://kakuyomu.jp/works/16818093076031328255

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...