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001話
しおりを挟む「よし、レベルもいい感じに上がってきたし、そろそろリベンジいくか?」
「うん!今度はもうミスしないから!」
そうして俺達、プレイヤー名カイルとマリカの二人は以前に全滅してしまった
ダンジョンへとリベンジに向かう。
レベル上げや、装備も少し新調したおかげで、ダンジョン攻略は問題なく進ん
でいくと、気付けばボスの待つ扉の前だった。
「マリカ。そろそろボスだから、今度は準備大丈夫?」
「うん!あ、ごめん。先にちょっとトイレ」
そういうとリアルのマリカはトイレへと向かっていった。
前回のこのダンジョンに来た時、俺達のレベルならギリギリでクリアできるは
ずだったが、ヒーラーのマリカがボス戦の際にMP回復アイテムをセットし忘れ
MP切れを起こし、回復の間に合わなくなった壁兼火力担当の俺が死亡、MP切
れのマリカもすぐ後を追う形となり全滅した。
「まぁマリカの凡ミスは今に始まったことじゃないし....今度はほんと大丈夫だ
よな?」
そう思った俺はまだリアルでトイレに行っているマリカのPC画面を操作し確
認をしていく。
マリカは思い切りがよく行動力もあるが、あれこれ考えない性格の為リアルで
も結構凡ミスをすることが多く、いわゆるドジッ子てやつだ。
俺カイルは逆にあれこれと考える慎重派、これは長所でもあり短所でもあり、
この性格は時に少し疲れることがあるのも自覚している。
おかげでたまに爆発することがあったりなかったり。
これだけを聞くと性格が違いすぎる二人の相性は良くないかと思えば全くそん
なことはなく、お互いの苦手なことはお互いが補っていけばいいと、仲は良好も
良好で、現在俺カイルとマリカはリアルで付き合っていて一緒に生活もしている
くらい仲が良かった。
「一応今回はちゃんとセットしてあるみたいだけど....このMP回復は回復量多
いけど、クールタイム長いからボス戦に向かないって前に言ったのになぁ」
凡ミスに慣れてる俺はこういうことがあっても怒ることはない、それにマリカ
は褒めた方が伸びるタイプだしな。
しょうがないとマリカのPCを操作しながら自分のキャラであるカイルとトレ
ードを行っていく。
「....よし!と。念のため回復アイテム買っておいて正解だったな。それにして
もマリカ遅いな....う○〇か?」
そんなことを思っているとテーブルの上にあったスマホが鳴った、音からして
LIMEだな。
多分マリカからだろうけど、いつもならLIMEなんか使わないのにどうした
んだ?
そんな疑問もあったがマリカじゃない場合もゼロに近いがゼロではないためL
IMEを確認する。
何でマリカと分かるかって?そんなことは分からないけど分かるんだからしょ
うがない。
「やっぱマリカか。トイレ長いけどまだ時間が、かかるとかか?それで何々...」
『ごめーん!トイレ長くて。先に言っておくけどう○〇じゃないからね?』
う○〇じゃなかったらしい。マリカの送ってきたLIME文の○の部分はう○
〇の絵文字だ。
でもう○〇じゃないならどうしたんだ?こういう時マリカは要領が悪かったり
する。
『そう!ちょっとパニックになっちゃって!まーくんのことトイレから結構大
きな声で呼んだのに返事してくれないから!そっちは大丈夫!?』
LIMEをしてきた理由は分かったけど、大きな声で呼んだ?そっちは大丈夫?
呼ばれてもいないしこっちは特に問題も起きていないので意味が分からない。
『リアルあだ名で呼んだことは今回は置いておくとして、とりあえず落ち着こ
うか。で、大きな声なら聞こえたはずだけど何も聞こえなかったし、こっちの問
題って問題はマリカの回復アイテムが使えないやつだったから交換しといたくら
いだよ』
俺らはゲーム中だけはなるべくゲームキャラ名で呼び合うことにしていた、前
にマリカがゲーム内チャットでうっかり俺のリアルあだ名を書いた時にちょっと
した面倒になったことがあった為だ。
『あっ!ごめん。て!え!?あの回復アイテムじゃだめだったの?....まぁ今は、
いっか。そうそう!こっち停電してるみたいで!それでトイレのドアも何か開か
なくて!だからそっちから開けてくれない?』
前に一回停電が起きた時マリカは結構パニクってたし、それでいてドアも開か
ないとなるとまぁ焦る気持ちものも分かる。
今回は停電ではなく、こっちの部屋には電気がきているからブレイカーでも落
ちたんだろう。
トイレのドアは鍵がかかっていてもマイナスドライバーや硬貨があれば外から
でも開けられるタイプだ。
俺は100円玉を持ち、まずブレイカーを見てみるが何も問題はなかった?あ
れ?
とりあえず先にマリカを出してやるかと、トイレまで移動すると外から鍵を外
そうとするが、何故か外れない。
「あれ?おかしいな?マリ....まぁ今ゲーム中ってわけでもないしな、さおり!
何か開かないからもうちょい待って!」
そう言ってみるがトイレの中にいるはずのマリカ、リアル名さおりからは返事
がない。
そう思っているとまたスマホが鳴る、今度はLIMEじゃなく電話で相手はさお
り。
『まーくん。ちょっと怖くなってきたから出来れば早めに救出お願いします』
救出って、もうさおりのライフはゼロの様だ。
『今トイレの前にいるんだけど、何でかドアが開かないんだよ。もうちょっと待
ってって、ドアの前なんだから別に電話じゃなくても良くない?』
『え?ドアの前なの?人の気配しないよ?』
『本当だよ。ほら....』
トイレのドアを叩こうとした俺はそこでおかしなことに気付いた。
トイレの電気が付いている。
『ねぇ、まーくん?いじわるしないで?何か本当に怖いから』
さおりがふざけていないのは電話での声色から良く分かるけど、じゃあこれは
どういう状況だ?
俺は少しホラー的な寒気を感じつつ状況を確認しようと電話越しのさおりに声
をかけようとしたら、突然さおりの音声が乱れると共に通話が切れてしまった。
「えっ....さおり?おい!大丈夫か!?」
焦ってドアを強めに叩くが反応がない。
やばい、何か異常なことが起きている、鳥肌が半端じゃない。
それとこのままだとさおりが遠くに行ってしまう、何故かそんな気がした。
「なんだよ....くそ!うらああああ!!」
俺は引いてもびくともしないドアを思い切り、それこそ蹴破る勢いで全力で蹴
った。
すると一瞬の光と共にドアが消えた。
開いたではなく、消えたのだ。
「なっ....」
トイレの中を見て俺は絶句した。
何もなかった。トイレにあるはずの便器もなければ、中にいるはずのさおりも
いない。
あるのは黒いもやがかった壁の様な何か、見たことはないけどブラックホール
を実際に見たらこんな感じなんだろう。
さおりは?どこだ?一体何があった??頭が混乱する....でも直感で分かる。
さおりはきっとこの黒い何かの向こうだ。
行かないと、さおりを助けに行かないと。
頭では分かっているが体が言うことをきかない。
俺はここでもあれこれと考えてしまっている、俺のよくない所だ、自分に腹が
立つ。
目の前の非現実的状況に思考が追いつかない。
自分の大事な相手が危険な状態かもしれないってのに....かもしれない?これ
以上に異常で危険な状態なんてあるのか?....ないだろ?じゃあどうする?そん
なことは決まってる。
時間にしたら2秒くらいだっただろう、俺の思考は巡り巡って結論を出すと共
に体も行動を始める。
「....待ってろさおり、今行くからな」
さおりのいない人生なんて考えられない、俺は黒い何かに飛び込んだ。
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