僕は本当に幸せでした〜刹那の向こう 君と過ごした日々〜

エル

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過去~高校生編1

20

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と思ったのに。


「ま、こんなことだと思ったけどねぇ」

駆け寄ってくる玲人。

二時間にしておけば良かったと後悔した。


「俺のこともっと知らないと、出し抜くなんてムリだよん。ね、慶太くん。ふふーん」

「……いつからいたの?」

「昼間。店出てからアソコいた」


指さされたのは向かいの通りにあるコーヒーショップ。


(なんて……)


「暇人、とか思ってたりします?」


…します。

とはさすがに言えない。


「なーんてのは冗談で。お前ね、嘘つくの下手すぎ。お前との偽バイト情報のやり取りしてて、なんとお前が嘘つくときのクセを見抜いたぜ!」

自慢げに出されたピースに対する反応に困る。


「というわけで、飯いこう!」


生活費のためにバイトをしているのに。

外食なんかにお金を使えるわけもなく。

「いや、悪いけど。僕、外食はちょっと…」

と歯切れも悪く断りを入れる。


「分かった。んじゃ、映画!」

「えと、それも…」

「……ゲーセン?」

「……」


居たたまれない空気。

どれもお金のかかるものばかりじゃないか。

第一なんですでに僕と出掛ける事が前提になっているんだ?



「んじゃ、なんなら良いの?」

別に怒っている訳ではないことは表情から良く分かる。



「……お金のかからないことなら」


なんだかすごく恥ずかしくて言葉が終わりに向かうにつれて声が小さくなっていった。
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