欲しいのならば、全部あげましょう

「お姉様!わたしに頂戴!」

今日も妹はわたくしの私物を強請って持ち去ります。

「この空色のドレス素敵!ねえわたしに頂戴!」

それは今月末のわたくしの誕生日パーティーのためにお祖父様が仕立てて下さったドレスなのだけど?

「いいじゃないか、妹のお願いくらい聞いてあげなさい」

とお父様。

「誕生日のドレスくらいなんですか。また仕立てればいいでしょう?」

とお義母様。

「ワガママを言って、『妹を虐めている』と噂になって困るのはお嬢様ですよ?」

と専属侍女。
この邸にはわたくしの味方などひとりもおりません。


挙げ句の果てに。

「お姉様!貴女の素敵な婚約者さまが欲しいの!頂戴!」

妹はそう言って、わたくしの婚約者までも奪いさりました。


そうですか。
欲しいのならば、あげましょう。
ですがもう、こちらも遠慮しませんよ?




◆例によって設定ほぼ無しなので固有名詞はほとんど出ません。
「欲しがる」妹に「あげる」だけの単純な話。
恋愛要素がないのでジャンルはファンタジーで。
一発ネタですが後悔はありません。
テンプレ詰め合わせですがよろしければ。


◆全4話+補足。この話は小説家になろうでも公開します。あちらは短編で一気読みできます。
カクヨムでも公開しました。
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