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過去~高校生編2
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しおりを挟むあのまま週末が終わって、また学校が始まる。
僕はと言えば、今までの習慣から朝早く起きてお弁当を三つ作る。
先週までのように三人でこのお弁当を食べるのだろうか?
それは可能なのだろうか。
かばんにそれらを詰め込んで家を後にした。
「あ、水野君!おはよ」
「水野、おはよう」
クラスメートたちはこの二日でどれほど僕が変わったかなんて知らない。
いつもと同じように挨拶をしてくる。
「…おはよう」
一言返して僕は席に着いた。
何も考えたくなくてただボーっとする。
どこを見るというわけでもなくただ窓の外を見つめてると、横に人の気配を感じた。
「慶ちん、おはよう」
「あっちゃん…おはよう」
昨日はどうなったんだろう。
あっちゃんは玲人の所、行ったのかな。
僕が来なくて変に思ったよね。
もしかして…知ってる?
「あの…あっちゃん…昨日、その…」
「慶ちん、一時間目サボろうか?」
すぐに何かを聞き出そうとはせずにただ優しく微笑んでる。
「……うん」
生まれてはじめて僕は授業をサボった。
「今日も暑くなりそうだね?」
「そうだね…」
サボりの定番とでも言うのだろうか。
やってきたのは屋上。
二人並んでぺたりと地面に座り込んだ。
「あっちゃん……知ってるんでしょ?」
「……」
「「何を?」って聞かないって事はやっぱり知ってるんだよね」
「ごめん……」
「なんであっちゃんが謝るの?あっちゃん全然悪くないでしょ」
悪いのは玲人を引き止められない僕だから。
「ちゃんと話したの?」
「ぁ…どうだろう…」
アレを話したというのだろうか。
結局何一つ明確なものはなかった。
浮気をやめるというはっきりした言葉も別れるという言葉も。
「えっと、あのさ…しばらく玲人と二人になってみる?」
「…どういうこと?」
「ほら、昼とか、放課後とかさ。俺邪魔ばっかりだから、えへへ。…もっと二人だけの時間持ったほうがいいかなぁって」
「………もうお昼は一緒に食べないって事?」
「慶ちん…俺…」
「放課後も一緒に帰ったりしないって事?」
なんで?嫌だよ。
どうしてあっちゃんも離れて行っちゃうの?
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