乙女ゲームに転生したらチートだったけど平凡に生きたいのでとりあえず悪役令息付きの世話役になってみました。

おでかけ

24.思い出した

さぁて、、、、、


今頃思い出すとか俺やばくない？

ブランことブラウン・レメントール・イズは攻略対象者の1人なのだ。

赤い髪に視線で人を射抜く事ができそうなキリッとした目尻に、焦げ茶の瞳。体術なぞが得意な大柄のキャラで、魔法は炎系がいけるくち。

先走りしやすく、でも頼りになるひとつ上の生徒会、副会長。

 

 しかし、なんでここに居るんだ。


学院にいるはずでは？

「ブラウン様は学院には通われてないのですか？」


本人に聞くのが一番だよな。


「あ？ブランでいいっつーのに。。今日はここで10年に1度の祭りが行われるんだ。そこに土地を納める領主一家が揃わないと形が悪いから馬で帰ってきたんだよ。」


へー。そういや物語でもそういうストあったなぁ。

辺境地なせいで、故郷の話を聞かれることがないからか。
自分のことを知りたいと言ってくれるヒロインにあまり知られることのないこのまつりの話をするんだ。そして、祭りを見たいと言ってくれるヒロインにいつか見せてやると約束をする……。

あれには男の俺でもドキドキしたな。




魔道士の手帳型身分証と、フレドリックの地位、それにここへ寄った理由を言うとレメントール領主は魔紙をくれた。

A級魔道士というのはほんと使い勝手がいい身分だ。

 

「ほんとに魔法陣書けんのかよ。」

半分呆れ、半分尊敬でブランがみてくる。


「イオかっこいい～！」

ありがとうフレディ様。元気出るからもっと言って。


「くっ、私だって走ればダンカまで行くくらい、、」


「あら、ダヤリースからダンカまで早馬でも5日はかかりますわ。」

マルルの意気込みを現実的に否定するリーシャ。案外冷たいのね。。。


学生だった頃は毎日のように描いてた魔法陣。実際使ったことがあったなぁ。

「ここをこーして、魔力量が半減するからその分呪文を、」  


まぁ、本当はチートだから俺は呪文とかは要らない。これは秘密だが俺は精霊と仲がいい。
  でも、隠しておく。







好奇心、




異形なものを見るような、






利用しようと、






恐れ、





俺がこのチートのせいでどれだけ肩身が狭かったか。

俺は普通に……それこそ平凡にこの人生を全うしたいんだ。