乙女ゲームに転生したらチートだったけど平凡に生きたいのでとりあえず悪役令息付きの世話役になってみました。

ゆずれないもの

70.

「たっだいま～！」





あ～～今日も楽しかったな。

「あらあら、おかえりなさい。ヤナちゃんにお客さんが来てるわよ。」

？

「はーい。」

誰だろ。


「お母さんきいて！明日ユカが湖まで行こうって！」

「明日はイオちゃんとお勉強の日じゃなかったかしら。」

「うっ、お兄ちゃんにきいてみよ。」






2回がある自室までとんとんと軽やかなステップで階段を上がってく。

「おに～ちゃ～ん。」



ガチャ












扉の向こうではなんだかその…その…え？


「…しー。ヤナ大人しくしててね。」

イオが口に人差し指をあてて黙ってろのポーズ。

「なんでいんの？」

膝の上のブロンドを撫でながらイオは苦笑する。


「ヤナに会いに来たんだよ。」


なんか僕のベットにはあの子にいつもついてる茶髪の…なんだっけ？


「ん？マルルな。」


そう。マルル。が寝ている。

枕もとにお母さんがポプリを置いてくれてるからぐっすり眠れると思うよ。


この人は魔力ないんだっけ。


けど運動神経はいいんだよね。


だっていつも俺にいじわるする時気配消すんだもの。上手だけど俺には精霊たちがいるからバレバレ。



それにしても―――





俺はフレドリックがこてんと頭を置いてる反対側に座った。


ちらとイオをみやると目が合う。


「この子かわいいよね。」

「はは、可愛いな。」

こんなかわいい子がいじめてくるとか都会こわい。笑。


「だけど人一倍臆病なんだ。」


ふーん。


「お兄ちゃんのご主人様ってきいたからもっと大人な人かと思ってた。」

「そう？でも俺フレディ様にしか仕える気がないからなぁ。」

なんかさらりとすごいこと言ったぞ！


「俺がいないとこの人は泣いちゃうから。」

なんだかそれすら嬉しそうにふふふと笑ってるイオ。



なんだかお兄ちゃんって意外と黒い？







ため息つきたくなるなぁ、




すやすやと寝てる寝顔を眺める。


あどけないその幼い顔。


やっぱり俺この子には敵わないや―――。