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ダッシュの後悔
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地上に出ると、2人の姿はなかった。村に向かったのだろう。
「じゃっ、またね」
アルトはセズに軽く別れを告げる。
「ああ、また会おう」
セズも軽く返す。
2人は同時に背を向けた。
アルトは少し歩いて、ボロボロになったバルカスとダッシュが支え合って歩いているのを見つけた。かなりゆっくり進んでいる。
「バルカス!ダッシュ!」
アルトが声をかけると、2人はゆっくり振り返る。
「おめぇ、なんでそっちから来るんだよ。普通逆だろ」
バルカスの声はいつもと比べ、ひどく弱々しい。
「僕もバルカスとダッシュを追ってたんだ。そしたら2人を殺そうとしてるドラゴンを見つけてね。ちょっと話してきたんだ」
「は?」
2人は揃って間の抜けた声をあげる。
「あの話の通じないドラゴンと話してきたって?君は本気で言ってるのかい?」
ー話が通じない?そうは思わなかったけどな。
「うん。彼はセズって言うんだ」
「信じられねぇけど、まじで言ってるみてぇだな。そんで?ドラゴンとは何を話したんだよ?」
バルカスはどうやら信じてくれたようだ。ダッシュはまだ信じられないようで、「何を言ってるんだこいつ」と思っていることが丸わかりだ。
「どうやら僕は元ドラゴンで、彼の弟らしい」
アルトは簡潔に述べた。
「はぁ?」
また揃った。
「おめぇ、そりゃいくらなんでもぶっ飛んでるぜ」
「そうだぞ。からかっているとしか思えないね」
今度はバルカスも信じてくれなかった。まぁ、信じられないのも仕方ないと思った。
「まぁ、信じてくれなくてもいいや。とりあえず、そこで休んでて。村の人を呼んでくる」
アルトは村に向かい歩きだす。
「ああ、助かる」
「頼むよ」
2人はその場に仰向けになった。
アルトが村に着くとライが出迎えた。
「冒険者様。イノシシは倒されましたか?」
ライが期待のこもった目で見つめてくる。
「あ、2人に聞くの忘れてた。でもきっと大丈夫だよ。それより3人くらいついてきてくれないかな?バルカスたちが怪我をしちゃって。僕だけじゃ運べないから」
「分かりました」
そう言ってライは走って行って、ガタイの良い若者を2人連れて戻ってきた。
「じゃあ、行こうか」
アルト達は2人の元へ向かった。
「なぁ、ダッシュ。アルトは冗談言ってるんだと思うか?」
バルカスは仰向けでダッシュに話しかける。
「話の内容だけ見れば、とても信じられないね。でも、そんな冗談に何の意味があるのかもわからない」
ダッシュは冷静な答えを返す。
「でもよぉ、何で俺らは助かってんだ?あいつが俺らにとどめを刺さないなんて、考えられねぇ」
「それもそうだね」
ダッシュは同意する。
「それに何より、あいつが嘘をついてるようには見えなかった」
バルカスは真剣な顔をしている。
「そうだね。僕もアルトは嘘をついていないと思う」
ダッシュは再び同意する。
「じゃあアルトは元ドラゴンなのか?」
「それについては信じていないよ。ドラゴンが嘘をついていたり、勘違いしているんだろう」
「うーん」
バルカスは腕を組んで唸った。
「おーい。戻ってきたぞー」
アルトはバルカスとダッシュが見えたので手を振った。
「おー。ここだここだ」
バルカスは仰向けのまま片手をあげる。
アルト達はバルカスとダッシュの側まで寄る。
「じゃあ、僕がダッシュを運ぶから、3人はバルカスを頼む」
そう言ってアルトはダッシュを背負い歩き出す。3人も協力してバルカスを担ぐ。
「すまないね」
背中からダッシュの声が聞こえた。
「しょうがないよ。セズはドラゴンの中でも有名らしいからね。確か、灼熱とか言ったかな」
「灼熱、、、そうか!ドラゴンは熱系の魔法を使えると言っていなかったかい?」
ダッシュは何か謎が解けたようで、興奮している。
「何で?」
「あいつと戦ったとき、ナイフが刺さらなくて負けたんだ。もしかしたら熱系の魔法で剣先を溶かしたのかなって」
「聞いてないな。ところで、僕の話を信じてくれたの?」
アルトは少し嬉しく思った。
「ああ。元ドラゴンのところ以外はね」
ー僕は信じてるんだけどな。そこは流石に信じてくれないか。
「でももし熱系の魔法を使えるなら、僕と兄弟って話も信憑性が高まるんじゃない?」
「確かに近親者の魔法は似るけど、、、。やっぱり信じられないね」
ダッシュは一瞬考え込んでから、断言する。
「それよりさ、ダッシュはよくあの作戦飲んでくれたね」
アルトは作戦を話すとき、ダッシュに反対されるかと思っていた。
「作戦って?」
「イノシシの」
アルトは短く答える。
「何でって、なかなかいい作戦だったじゃないか。あれ以上の作戦が思いつかなかったんだ。代案もなく反対するのは良くないだろ?」
ダッシュはまだピンときていないようだった。
「まぁそうだけどさ。だってダッシュは魔法が使えるイノシシを見にこの依頼を受けたんだろ?だったら戦ったり、生け捕りにしたかったんじゃないかなって」
「あ、、、。うわぁぁぁぁーーーーーーっ!!!」
ダッシュは柄にもなく大きく悲痛の叫びをあげた。
「じゃっ、またね」
アルトはセズに軽く別れを告げる。
「ああ、また会おう」
セズも軽く返す。
2人は同時に背を向けた。
アルトは少し歩いて、ボロボロになったバルカスとダッシュが支え合って歩いているのを見つけた。かなりゆっくり進んでいる。
「バルカス!ダッシュ!」
アルトが声をかけると、2人はゆっくり振り返る。
「おめぇ、なんでそっちから来るんだよ。普通逆だろ」
バルカスの声はいつもと比べ、ひどく弱々しい。
「僕もバルカスとダッシュを追ってたんだ。そしたら2人を殺そうとしてるドラゴンを見つけてね。ちょっと話してきたんだ」
「は?」
2人は揃って間の抜けた声をあげる。
「あの話の通じないドラゴンと話してきたって?君は本気で言ってるのかい?」
ー話が通じない?そうは思わなかったけどな。
「うん。彼はセズって言うんだ」
「信じられねぇけど、まじで言ってるみてぇだな。そんで?ドラゴンとは何を話したんだよ?」
バルカスはどうやら信じてくれたようだ。ダッシュはまだ信じられないようで、「何を言ってるんだこいつ」と思っていることが丸わかりだ。
「どうやら僕は元ドラゴンで、彼の弟らしい」
アルトは簡潔に述べた。
「はぁ?」
また揃った。
「おめぇ、そりゃいくらなんでもぶっ飛んでるぜ」
「そうだぞ。からかっているとしか思えないね」
今度はバルカスも信じてくれなかった。まぁ、信じられないのも仕方ないと思った。
「まぁ、信じてくれなくてもいいや。とりあえず、そこで休んでて。村の人を呼んでくる」
アルトは村に向かい歩きだす。
「ああ、助かる」
「頼むよ」
2人はその場に仰向けになった。
アルトが村に着くとライが出迎えた。
「冒険者様。イノシシは倒されましたか?」
ライが期待のこもった目で見つめてくる。
「あ、2人に聞くの忘れてた。でもきっと大丈夫だよ。それより3人くらいついてきてくれないかな?バルカスたちが怪我をしちゃって。僕だけじゃ運べないから」
「分かりました」
そう言ってライは走って行って、ガタイの良い若者を2人連れて戻ってきた。
「じゃあ、行こうか」
アルト達は2人の元へ向かった。
「なぁ、ダッシュ。アルトは冗談言ってるんだと思うか?」
バルカスは仰向けでダッシュに話しかける。
「話の内容だけ見れば、とても信じられないね。でも、そんな冗談に何の意味があるのかもわからない」
ダッシュは冷静な答えを返す。
「でもよぉ、何で俺らは助かってんだ?あいつが俺らにとどめを刺さないなんて、考えられねぇ」
「それもそうだね」
ダッシュは同意する。
「それに何より、あいつが嘘をついてるようには見えなかった」
バルカスは真剣な顔をしている。
「そうだね。僕もアルトは嘘をついていないと思う」
ダッシュは再び同意する。
「じゃあアルトは元ドラゴンなのか?」
「それについては信じていないよ。ドラゴンが嘘をついていたり、勘違いしているんだろう」
「うーん」
バルカスは腕を組んで唸った。
「おーい。戻ってきたぞー」
アルトはバルカスとダッシュが見えたので手を振った。
「おー。ここだここだ」
バルカスは仰向けのまま片手をあげる。
アルト達はバルカスとダッシュの側まで寄る。
「じゃあ、僕がダッシュを運ぶから、3人はバルカスを頼む」
そう言ってアルトはダッシュを背負い歩き出す。3人も協力してバルカスを担ぐ。
「すまないね」
背中からダッシュの声が聞こえた。
「しょうがないよ。セズはドラゴンの中でも有名らしいからね。確か、灼熱とか言ったかな」
「灼熱、、、そうか!ドラゴンは熱系の魔法を使えると言っていなかったかい?」
ダッシュは何か謎が解けたようで、興奮している。
「何で?」
「あいつと戦ったとき、ナイフが刺さらなくて負けたんだ。もしかしたら熱系の魔法で剣先を溶かしたのかなって」
「聞いてないな。ところで、僕の話を信じてくれたの?」
アルトは少し嬉しく思った。
「ああ。元ドラゴンのところ以外はね」
ー僕は信じてるんだけどな。そこは流石に信じてくれないか。
「でももし熱系の魔法を使えるなら、僕と兄弟って話も信憑性が高まるんじゃない?」
「確かに近親者の魔法は似るけど、、、。やっぱり信じられないね」
ダッシュは一瞬考え込んでから、断言する。
「それよりさ、ダッシュはよくあの作戦飲んでくれたね」
アルトは作戦を話すとき、ダッシュに反対されるかと思っていた。
「作戦って?」
「イノシシの」
アルトは短く答える。
「何でって、なかなかいい作戦だったじゃないか。あれ以上の作戦が思いつかなかったんだ。代案もなく反対するのは良くないだろ?」
ダッシュはまだピンときていないようだった。
「まぁそうだけどさ。だってダッシュは魔法が使えるイノシシを見にこの依頼を受けたんだろ?だったら戦ったり、生け捕りにしたかったんじゃないかなって」
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