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ドラゴンの闘争
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ドラゴンはアルトを乗せ、地の底を降りていた。ドラゴンは下に向けて羽ばたいているので、アルトは鱗に捕まっていないと上に吹き飛ばされそうだ。
地面が近づき、ドラゴンは減速する。そしてゆっくり着地した。アルトはドラゴンから降りる。そこは漆黒の世界だと思っていた。しかし、地の底の壁はところどころ赤く発光しており、薄暗いが十分周りが確認できるくらいには明るかった。ただ、周りには何もなかった。壁と地面があるだけだ。それとここは涼しい。
「明るいんだね」
「ああ、これは火石だ。何故か発光している。我が住み着いた時にはなかったのだがな。そんなことはどうでもよい。以前のお前の話が聞きたいのだろう?」
ドラゴンは床に座り、顎を地面につける。
「うん。あ、でもその前に君の名前、聞いてなかったね」
そういいながら、アルトも壁際にあぐらをかいて座った。
「我が名か。名乗るのは久しぶりだな。我が名はセズ。かつては灼熱の2つ名で通っていた」
ー灼熱かぁ。最強なんかよりよっぽどカッコいいじゃん。
「それにしてもお前、先程から言葉遣いが気色悪いな。コロコロと変わりおる。それも記憶喪失の弊害か?」
「そう?自分では気にならないんだけどな」
アルトはそういいながら、過去の言動を思い返していた。確かにそうだったかもしれない。
「もしやお前。いや、そんなことがあり得るのか?」
は不思議そうな顔をしている。
「なんのこと?」
「これはあくまで我の予想だ。だがこれ以外考えられん。お前は、、、」
重い雰囲気が伝わる。アルトは唾を飲む。
「複数の意識を持っているのかもしれん」
短い沈黙があった。アルトは唐突な言葉に頭がついていかなかったのだ。
「まず、以前のお前は我の弟だ」
セズは困った顔で静かに告げた。
「え、、、」
アルトはまたしても声が出なかった。
セズは続ける。
「ドラゴンというのは闘争本能が強い生き物だ。だから、かつてドラゴンには数多くの勢力が存在したが、長い争いの末、我らが一族ともう1つだけが生き残った。その時の我らが一族には4頭の長寿種がいた」
「ちょっとまって。長寿種って?」
冷静さを取り戻しつつあるアルトが言った。
「長寿種とはその名の通り、長生きするもののことだ。長生きしたものは魔法を覚え、圧倒的な強さを手に入れる」
「へぇ。それって僕とセズと、、、あとの2人は?」
「父と兄だ。父は無数に子をなし、長い時をかけて、3頭の長寿種の息子を得たのだ。これはどの一族よりも多かった。だからこそ争いで勝ち残れたのだ。最後に残った一族は長寿が3頭しかいなかった。だが最初、彼らと我らの戦力は拮抗していた。それはお前がまだ魔法を覚えていなかったからだ。やがてお前は魔法に目覚め、拮抗は崩れた。お前は我と共に長寿種2頭を討ち、我らが一族が、種の頂点に立つのは目前に思えた。だが、我らが一族は滅びた」
淡々と話していたセズの声が少し落ち込んだ。
「裏切りか」
それ以外には考えられなかった。
「裏切りというよりは反乱の方が正しいな。1頭の弟が煽動して、お前と兄と父の寝首を掻くように仕向けたのだ。我は直前にその動きに気づき、ここへ逃げ延びた」
「そうなんだ。ところで、逃げ延びたってどこから逃げてきたの?」
アルトはちょっとした興味で尋ねた。複数の意識を持っているとか、元はドラゴンとか訳の分からないことから目を背けたかったのかもしれない。
「ここら辺で最も高い山だ。いいところだった。あの山にいると、なぜか力がみなぎるのだ」
アルトはその山に心当たりがあった。おそらく帝国との間の、ドラゴンの棲みつくあの山だ。
「その山なら今もドラゴンが棲みついているよ。多分敵対してた一族だよね」
アルトは一応教えた。
「そうか。我も復讐してやりたいところだが、メスもいなければ、仲間もいない。お前だけでも生きていれば、状況は違っただろうがな。今からでも力になってくれないか?」
アルトはこのドラゴンの力になりたかった。だが、
「ごめん。多分今の僕じゃ、バルカスとダッシュを貧弱って呼べるような君の力にはなれないと思う」
アルトは率直な意見とともに断った。
「そうか。そうだな。その2人ももう目覚めてる頃だろう。送ってやる、乗れ。」
セズは少し残念そうだった。
「ああ、ありがとう」
アルトは再びセズにまたがった。
地面が近づき、ドラゴンは減速する。そしてゆっくり着地した。アルトはドラゴンから降りる。そこは漆黒の世界だと思っていた。しかし、地の底の壁はところどころ赤く発光しており、薄暗いが十分周りが確認できるくらいには明るかった。ただ、周りには何もなかった。壁と地面があるだけだ。それとここは涼しい。
「明るいんだね」
「ああ、これは火石だ。何故か発光している。我が住み着いた時にはなかったのだがな。そんなことはどうでもよい。以前のお前の話が聞きたいのだろう?」
ドラゴンは床に座り、顎を地面につける。
「うん。あ、でもその前に君の名前、聞いてなかったね」
そういいながら、アルトも壁際にあぐらをかいて座った。
「我が名か。名乗るのは久しぶりだな。我が名はセズ。かつては灼熱の2つ名で通っていた」
ー灼熱かぁ。最強なんかよりよっぽどカッコいいじゃん。
「それにしてもお前、先程から言葉遣いが気色悪いな。コロコロと変わりおる。それも記憶喪失の弊害か?」
「そう?自分では気にならないんだけどな」
アルトはそういいながら、過去の言動を思い返していた。確かにそうだったかもしれない。
「もしやお前。いや、そんなことがあり得るのか?」
は不思議そうな顔をしている。
「なんのこと?」
「これはあくまで我の予想だ。だがこれ以外考えられん。お前は、、、」
重い雰囲気が伝わる。アルトは唾を飲む。
「複数の意識を持っているのかもしれん」
短い沈黙があった。アルトは唐突な言葉に頭がついていかなかったのだ。
「まず、以前のお前は我の弟だ」
セズは困った顔で静かに告げた。
「え、、、」
アルトはまたしても声が出なかった。
セズは続ける。
「ドラゴンというのは闘争本能が強い生き物だ。だから、かつてドラゴンには数多くの勢力が存在したが、長い争いの末、我らが一族ともう1つだけが生き残った。その時の我らが一族には4頭の長寿種がいた」
「ちょっとまって。長寿種って?」
冷静さを取り戻しつつあるアルトが言った。
「長寿種とはその名の通り、長生きするもののことだ。長生きしたものは魔法を覚え、圧倒的な強さを手に入れる」
「へぇ。それって僕とセズと、、、あとの2人は?」
「父と兄だ。父は無数に子をなし、長い時をかけて、3頭の長寿種の息子を得たのだ。これはどの一族よりも多かった。だからこそ争いで勝ち残れたのだ。最後に残った一族は長寿が3頭しかいなかった。だが最初、彼らと我らの戦力は拮抗していた。それはお前がまだ魔法を覚えていなかったからだ。やがてお前は魔法に目覚め、拮抗は崩れた。お前は我と共に長寿種2頭を討ち、我らが一族が、種の頂点に立つのは目前に思えた。だが、我らが一族は滅びた」
淡々と話していたセズの声が少し落ち込んだ。
「裏切りか」
それ以外には考えられなかった。
「裏切りというよりは反乱の方が正しいな。1頭の弟が煽動して、お前と兄と父の寝首を掻くように仕向けたのだ。我は直前にその動きに気づき、ここへ逃げ延びた」
「そうなんだ。ところで、逃げ延びたってどこから逃げてきたの?」
アルトはちょっとした興味で尋ねた。複数の意識を持っているとか、元はドラゴンとか訳の分からないことから目を背けたかったのかもしれない。
「ここら辺で最も高い山だ。いいところだった。あの山にいると、なぜか力がみなぎるのだ」
アルトはその山に心当たりがあった。おそらく帝国との間の、ドラゴンの棲みつくあの山だ。
「その山なら今もドラゴンが棲みついているよ。多分敵対してた一族だよね」
アルトは一応教えた。
「そうか。我も復讐してやりたいところだが、メスもいなければ、仲間もいない。お前だけでも生きていれば、状況は違っただろうがな。今からでも力になってくれないか?」
アルトはこのドラゴンの力になりたかった。だが、
「ごめん。多分今の僕じゃ、バルカスとダッシュを貧弱って呼べるような君の力にはなれないと思う」
アルトは率直な意見とともに断った。
「そうか。そうだな。その2人ももう目覚めてる頃だろう。送ってやる、乗れ。」
セズは少し残念そうだった。
「ああ、ありがとう」
アルトは再びセズにまたがった。
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