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April
人生諦めも肝心、だけど②
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広いドーム状の食堂。
もう昼休みも終わりの時間なのでかなり少なくなったとはいえ、残っている生徒たちの目がこちらに突き刺さる。
「えっ、あれ《女神様》と生徒会の皆様!?」
「なにあれ、なんて珍しい組み合わせ!」
「でも何あの陰キャ。マジで目障りなんだけど」
「生徒会の皆様に取り入っただけでなく、《女神様》にまで。サイテー」
「ちょっマジかよ! 遂に《女神様》も生徒会と交流を!!」
「最高の非王道じゃん!!!」
「僕このネタで、1週間はご飯食べれる」
「「わかるー!!!」」
なんか色々とツッコミたい内容が……特に後半にあるのだが、ひとまずそれは置いておいて。
この1年間、俺は生徒会役員とは全く関わりを持たなかった。
すれ違ったことすら記憶にない。おそらく一度もなかったんだと思う。
別に俺としては、避けていたわけではない。
まぁ面倒ごとはごめんだったので、自分から関わりにいこうともしなかったけど。
だが、同じ学校に通っているのにあまりにも会わなくて不思議だなと思ったことはあった。
……あ、補佐で執事の篠原くんは別だ。彼はクラスメートなので、さすがに時々話す。
生徒会と全く会わない反面、二大勢力の片翼である風紀委員会とは、実はそれなりに関わってきた。
なにしろ、桜花ちゃんがいる。桜花ちゃんが、外から来た俺の世話をいろいろと焼いてくれた。まぁつまり、学園の《女王様》から贔屓されてたわけですよ。彼にその気がなくとも。
ということで、いろんな事件に巻き込まれてしまい、1学期中は3日に1回くらいのペースで訪れていた。その後、例の【天照祭】以降はかなり減った。いつも周りから見られているというのは、防犯には役立っているようだ。
そんなこんなで風紀委員会とは仲良くしていた俺。
“生徒会と風紀委員会は仲が悪い”というのは、王道学園であるための条件だ。実際あまり関わりあっているという話も聞かない。
だから、もしかしたら風紀側に関わりすぎて生徒会側から嫌われているのではと思っていたんだけど。
楽しそうに俺の両腕を引っ張る、オレンジの髪を見やる。
どうやら、そういうわけではなさそうだ。
まぁ、3人が個人的に明るく話しかけてくれてるだけかもしれないとも思うが、やはり不思議に感じているのは俺だけではないらしい。
俺も生徒会も、注目される側の人間。
今まで一度も見たことのない組み合わせに、好奇の視線が突き刺さる。
「ほらほらー、蒼くんしっかり歩いてー!」
「歩いてー!」
「……分かりましたよ」
引かれるままに足を動かしていたのだが、さすがに重たかったのだろう。
頬を膨らませた双子にせっつかれて、俺は行きたくない生徒会室に向けて、しぶしぶと足を踏み出した。
出口まで続く、両側が人でできた道を歓声を浴びながら歩いていく。
ふと、さっきまでいた2階席に目を向ける。
その場所に、まだ陽希達はいた。
ナギは席に座ったままだ。
こちらにちらりとも視線を向けないところを見ると、電話やチャットをしているか、そもそも興味が無いのか。でも、親衛隊の幹部としてこんな騒動の元になりそうな事象を見逃すはずがない。そのため、何か手を離せない用事をこなしているのだろうと思う。
そして陽希はというと。
下手したら落ちるんじゃないかと思うほどに柵から身を乗り出して、片手にスマホ、もう片方の手には双眼鏡を持ち、こちらに向かって構えている。
観察対象は、どう解釈しても俺たち。
つまり、俺がしたかった安全地帯からの萌え観察を1人いまだに実践していると。
あの野郎…。
恨みを湛えた俺の視線に気づいたのか、陽希は構えていた双眼鏡を下ろした。そして、こちらに向かって手をひらひらと振ってくる。
遠くて表情までは分からなかったが、きっとニヤケている。もしかしたら鼻血や涎も垂らしているかも。…とはいえ、仮にも王子様なわけだしそれは無いにしても、ものすごく楽しんでいることだけは理解した。
あーくっそ。考えただけでムカつく。
きっと、昨日言っていた巻き込まれフラグを見事に回収した俺を喜んでいるに違いない。
やっぱりあいつも巻き込んでやればよかった!
「陽希のやつ……」
「…蒼?」
「あー、いやなんでもないです」
呟いた俺の声が聞こえたらしいわんこ先輩の不思議そうな声が背後から聞こえてきたので、頭を左右に振った。
もう今更どうしようもない。諦めも肝心だ。
ここはもう、水の如く流れに身を任せることにしよう。
でも、陽希だけは絶対にいつか巻き込んでやる。
絶対に。
どうやってやろうかと頭の中で考えていると、思わず笑いが溢れた。
それを見た周りの生徒たちから悲鳴のような声が上がったのは、言うまでもない。
この人たちは、一体どこまで細かいとこを見てるんだか。
…ってまぁ、俺も細かいところまで見て悶えてるし、お互い様か。
もう昼休みも終わりの時間なのでかなり少なくなったとはいえ、残っている生徒たちの目がこちらに突き刺さる。
「えっ、あれ《女神様》と生徒会の皆様!?」
「なにあれ、なんて珍しい組み合わせ!」
「でも何あの陰キャ。マジで目障りなんだけど」
「生徒会の皆様に取り入っただけでなく、《女神様》にまで。サイテー」
「ちょっマジかよ! 遂に《女神様》も生徒会と交流を!!」
「最高の非王道じゃん!!!」
「僕このネタで、1週間はご飯食べれる」
「「わかるー!!!」」
なんか色々とツッコミたい内容が……特に後半にあるのだが、ひとまずそれは置いておいて。
この1年間、俺は生徒会役員とは全く関わりを持たなかった。
すれ違ったことすら記憶にない。おそらく一度もなかったんだと思う。
別に俺としては、避けていたわけではない。
まぁ面倒ごとはごめんだったので、自分から関わりにいこうともしなかったけど。
だが、同じ学校に通っているのにあまりにも会わなくて不思議だなと思ったことはあった。
……あ、補佐で執事の篠原くんは別だ。彼はクラスメートなので、さすがに時々話す。
生徒会と全く会わない反面、二大勢力の片翼である風紀委員会とは、実はそれなりに関わってきた。
なにしろ、桜花ちゃんがいる。桜花ちゃんが、外から来た俺の世話をいろいろと焼いてくれた。まぁつまり、学園の《女王様》から贔屓されてたわけですよ。彼にその気がなくとも。
ということで、いろんな事件に巻き込まれてしまい、1学期中は3日に1回くらいのペースで訪れていた。その後、例の【天照祭】以降はかなり減った。いつも周りから見られているというのは、防犯には役立っているようだ。
そんなこんなで風紀委員会とは仲良くしていた俺。
“生徒会と風紀委員会は仲が悪い”というのは、王道学園であるための条件だ。実際あまり関わりあっているという話も聞かない。
だから、もしかしたら風紀側に関わりすぎて生徒会側から嫌われているのではと思っていたんだけど。
楽しそうに俺の両腕を引っ張る、オレンジの髪を見やる。
どうやら、そういうわけではなさそうだ。
まぁ、3人が個人的に明るく話しかけてくれてるだけかもしれないとも思うが、やはり不思議に感じているのは俺だけではないらしい。
俺も生徒会も、注目される側の人間。
今まで一度も見たことのない組み合わせに、好奇の視線が突き刺さる。
「ほらほらー、蒼くんしっかり歩いてー!」
「歩いてー!」
「……分かりましたよ」
引かれるままに足を動かしていたのだが、さすがに重たかったのだろう。
頬を膨らませた双子にせっつかれて、俺は行きたくない生徒会室に向けて、しぶしぶと足を踏み出した。
出口まで続く、両側が人でできた道を歓声を浴びながら歩いていく。
ふと、さっきまでいた2階席に目を向ける。
その場所に、まだ陽希達はいた。
ナギは席に座ったままだ。
こちらにちらりとも視線を向けないところを見ると、電話やチャットをしているか、そもそも興味が無いのか。でも、親衛隊の幹部としてこんな騒動の元になりそうな事象を見逃すはずがない。そのため、何か手を離せない用事をこなしているのだろうと思う。
そして陽希はというと。
下手したら落ちるんじゃないかと思うほどに柵から身を乗り出して、片手にスマホ、もう片方の手には双眼鏡を持ち、こちらに向かって構えている。
観察対象は、どう解釈しても俺たち。
つまり、俺がしたかった安全地帯からの萌え観察を1人いまだに実践していると。
あの野郎…。
恨みを湛えた俺の視線に気づいたのか、陽希は構えていた双眼鏡を下ろした。そして、こちらに向かって手をひらひらと振ってくる。
遠くて表情までは分からなかったが、きっとニヤケている。もしかしたら鼻血や涎も垂らしているかも。…とはいえ、仮にも王子様なわけだしそれは無いにしても、ものすごく楽しんでいることだけは理解した。
あーくっそ。考えただけでムカつく。
きっと、昨日言っていた巻き込まれフラグを見事に回収した俺を喜んでいるに違いない。
やっぱりあいつも巻き込んでやればよかった!
「陽希のやつ……」
「…蒼?」
「あー、いやなんでもないです」
呟いた俺の声が聞こえたらしいわんこ先輩の不思議そうな声が背後から聞こえてきたので、頭を左右に振った。
もう今更どうしようもない。諦めも肝心だ。
ここはもう、水の如く流れに身を任せることにしよう。
でも、陽希だけは絶対にいつか巻き込んでやる。
絶対に。
どうやってやろうかと頭の中で考えていると、思わず笑いが溢れた。
それを見た周りの生徒たちから悲鳴のような声が上がったのは、言うまでもない。
この人たちは、一体どこまで細かいとこを見てるんだか。
…ってまぁ、俺も細かいところまで見て悶えてるし、お互い様か。
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