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April
同類の思考は似てくるもの②
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「そういや蒼葉。なんやクラスに喧嘩売ったんやて?」
「喧嘩売っただなんて失礼な。単に、捕まえれるなら捕まえてみろーって言っただけだって」
「めちゃくちゃ挑発してるやん。頑張りやー、2-Aは強いでぇ」
「わかってるよ」
「2-Aはほんまに結束力が強いからな~。グループとしての人数は少ないけど身体能力が高い子は多いし、舐めてかかるとSクラスの人間でもコロッと捕まるやろな~」
確かに2-Aは、他のクラスと比べても仲が良いことで有名だ。
学園だけでなく、クラス内にも当たり前のように存在するヒエラルキー。学園全体を包み込むそれと同じく、家柄や容姿で決まっていく。2-Aで言うなら間違いなく、元Sクラスの蓮がトップだろう。あとは、俺や悠真のようなランク入賞者が上の方に位置する。
蓮や俺に対してはよそよそしいクラスメートもそれなりにいるが、同じくらいの立ち位置の悠真や里緒に対して、気兼ねしている人はほぼいない。敬語だったとしても、その態度はとても親しげだ。長く同じクラスで暮らしていても良い関係を築けないこともあることを思うと、それはきっと年月などではなく彼らの人柄なのだと思う。少し羨ましいけど、まぁそれは仕方ない。
ついでに、身体能力が高い生徒が多いのも事実だ。その筆頭が、サッカー部エースの悠真や颯くん。他にも運動部に所属している生徒の数が、他のクラスに比べてかなり多いのだ。さらには蓮や里緒、マリモのような規格外もいるから、このグループは決して侮れない。
「ま、俺のために色々と策を練ってくれてるだろうクラスメートたちのため、簡単に捕まらないよう精一杯頑張るよ」
「せやな。頑張れ~」
「陽希はあれか? 副会長さんのグループが一番の敵か?」
確か今回は、桜花ちゃんもナギも泥棒だ。となると、陽希を捕まえるのは同じクラスの副会長さんたちなのではないだろうか。
いつもナギたちと一緒にいるからその辺りとの詳しい交友関係は知らないが、陽希だって小等部からSクラスのはず。仲が良いとまではいかなくても、それなりの関わりがあったっておかしくない。
陽希は「うーん」と唸ったあと、頭を左右に振った。
「確かにあっこはデカいし、俺を狙ってきてもおかしくはないけど……。でも副会長さんのことやから、初めはもっと大物狙うやろし、序盤の俺の敵はそこやないな」
「なるほど、もっと大物、か」
「その中に蒼葉は入っとるで?」
「冗談だろ。縁起でもない」
「……それ、本気でゆうてんのやったら、そろそろ自覚せなあかんで?」
「いや、そうじゃなくて。自分の影響力は自覚してるけど、副会長さんに狙われる覚えはないってことだよ」
「…………」
何故か口を噤んで黙り込んだ陽希。そんな不思議な行動をとる陽希に、俺は小さく首を傾げた。
俺、何か変なことを言ったか? だって、副会長さんと関わったのなんて、1週間前のあの1回だけだ。興味深いだとか言われたような気はするが、そんな浅い付き合いなのに、いの一番に狙われるだなんて有り得ないだろ。
陽希はしばらく俯いていたかと思うと、突然気を取り直したように勢いよく顔を上げた。
「しゃーないから、この陽希様がありとあらゆる手を使って仕入れた警察グループの情報、お前にも教えたるわ」
「へ? そりゃ嬉しいけど、どうした急に」
「蒼葉にとって、このゲームはそれなりに過酷な戦いになるんちゃうかと思てな」
なんでそんなふうに思ったのか全く分からないが、くれるという情報を断る理由は何も無い。これまで、陽希の情報に間違いがあったことはほとんどないのだ。むしろ、聞くべきだろう。
手招きする陽希に従ってドアの上から降りた俺は、陽希のそばに腰を下ろす。
陽希は俺の方に向き直ると、いつもの調子で明るく語り始めた。
「注意せなあかんのは、4つや」
そう言って、陽希は人差し指を立ててみせる。
「1つ目は、副会長さん率いる〔生徒会グループ〕。一番おっきい上に副会長さんの頭脳がある、厄介な組織や。会計さんも頭回るし、わんこ書記先輩は力ありはるし、何より人が多いっちゅうことはいろんなことができるからな。と、いろいろ言うたけど、まぁ蒼葉は強いしなぁ。基本はSクラスのメンバーと遭ったりせんかったら、普通に逃げ切れると思うわ」
陽希の俺への評価がどこまでのものか分からないが、確かに人が多いということは末端まで目を行き届かせるのは難しいというもの。陽希の言う通り、特に怖がる必要も無いだろう。
素直に頷く俺の前で、陽希は2本目の指を立てる。
「ほんで2つ目。さっき話してた、打倒《女神様》の〔チーム2-A〕」
「どうでもいいことだけど、〔生徒会グループ〕と違って名前ちょっとかっこいいな」
「せやろ? 渾身の傑作やからな!」
「なんだ。お前が決めたのかよ」
「せやで! ま、チーム2-Aの話はさっきの通りやから飛ばして、3つ目! その名も、〔大和撫子親衛隊〕!」
………………。
「急にダサくなった」
「えー、そうか? えぇと思たんやけどな」
真顔で返した俺に、3本指を立てた陽希が少し唇を尖らす。
「“大和撫子”って誰のことかわかんねーし、そもそも親衛してどうすんだよ。警察だろ?」
「でもほんまにそんな感じなんやで? 青海川先輩、知っとるやろ?」
「もちろん。車椅子の先輩だよな」
それは、3年の青海川凛月先輩。生まれつき足が悪いとのことで、車椅子で生活している。
なるほど、陽希がそう命名した理由が少し理解できた。
「確かに、あの先輩は箱入りの大和撫子だな。親衛隊ってのもちょっとわかるかも」
「せやろ!? やっぱ、同志やなあ! 蒼葉やったらわかってくれる思てたで!」
パッと花が咲くように笑う陽希。いや、そんな明るい笑顔を俺に向けるな。もっと他の人がいるところで、他の人に向けてやってくれよ全く。
……顔が良いから、さすがに不意打ちでやられるとちょっとドキッとするんだよ。心臓に悪いわ。
「それで? その……“大和撫子親衛隊”だったか? は、どんなグループなんだよ?」
何となく顔を逸らしながら、話の先を促す。
「あぁせやな。えっとな、ここは“車椅子であんまり参加でけへん先輩にも精一杯楽しんでもらおう!”って理由で結成されたグループやねん。主に、リアルに存在する先輩の親衛隊と、風紀以外の委員会メンバーが中心になってできとる」
「なぜに委員会メンバー?」
「そらまぁ、そもそも青海川先輩って人望の厚い人やからな。美化委員長である先輩を慕っとる生徒は、委員会の垣根を越えてるんよ。俺が警察やったとしたら、多分ここに入ってたと思うで」
「いや、お前なら別のグループ作ったんじゃね?」
「ま、それもおもろそうやけどな~!」
面白そうというか、こいつならほぼ間違いなくそうするだろうし、何より周りがそうなるように祭り上げるような気がする。
でも、もしそんなことになっていたとしたら、その陽希筆頭グループはかなりの強敵に違いない。だとしたら、陽希が泥棒で心底良よかった。じゃないと、こんなふうに情報だって得られなかったわけだしな。
「人数は中規模程度やろな。やけど、委員長はほぼSクラスの人間やから、油断は禁物や。あと、このグループはあくまで"親衛隊"。ゲーム後のペア決めで、青海川先輩が下手なことにならんように、とにかく手当たり次第に捕まえて点を取ろうとしてくると思う」
「おぉ、それは厄介だな……。いやでも、俺からするとすぐに狙われることはなさそうだし、逆にラッキーなのかも?」
「せや。俺も確実に狙われるやろうけど、終盤勝負ちゃうかなって考えてるわ。よし、ほんなら最後、4つ目は──」
徐に、陽希が4本目の指を立てたとき、突然腕に着けているTSPが震えた。
驚いて目を丸くした俺をよそに、陽希は慣れた様子でTSPを取り出し、安心させるように俺の肩を叩く。
「ビビりすぎやって蒼葉。30分毎に、捕まった泥棒が通知されるて説明あったやろ? その着信やんか」
「あーはは……。そういうのが来るのはわかってはいたんだけど、普段腕なんかに着けないからさ。ちょっとビビった……」
苦笑いしながら、同じようにTSPを取り出して通知を確認する。
「やっぱこの30分は、そんなおっきい動きはないみたいやな。ほぼ捕まっとらん」
「ま、長期戦だもんな。相手もしっかり作戦練ってから動くってことか」
陽希が言ったように、画面にはこの30分の結果が表示されていた。数人捕まったようだが、その中に知っている名前はない。
安堵しながらその画面を閉じると、まだ逃走中の泥棒一覧が表示された。時間が経つごとに、ここに書かれている名前が減っていくのか…なんて考えると、ますますすぐには捕まれない。だってさっきみたいな通知もあるってことは、どの段階で捕まったのかが全校生徒にバレるんだろ?
まぁ《女神様》としては、どこで捕まろうとイメージが崩れることは無いかもしれないが、ただ俺のプライドが許さない。
この新入生歓迎祭のケイドロは、午前9時から午後3時まで休憩なしで続く、かなりのロングゲームだ。一応昼食休憩として1人10分取ることが出来るが、時間が短い上に食堂に設置されているそのセーフゾーンまで自力で行かないといけないリスクがあるため、基本は各自事前に用意している。
まだ始まって間も無いものの、次いつ時間が取れるか分からない。これからに備え腹ごしらえをしておくに越したことはないと判断し、俺は腰に着けたポーチからドーナツを取り出しかぶりつく。
「にしてもここってさ、建物としては講堂からは遠いし人気はないけど、屋上だから隠れるところがないじゃん?」
「せやな~」
「そんな人がいる確率が低い場所にわざわざ探しに来るようなやつって、一体どんなやつなんだろうって思ったり」
陽希は、飲んでいた水をゆっくりと嚥下すると、ごく当たり前のように言った。
「そんなん決まっとるやん。俺らの同類やろ」
なるほど、同じ腐男子ね。納得だ。
「喧嘩売っただなんて失礼な。単に、捕まえれるなら捕まえてみろーって言っただけだって」
「めちゃくちゃ挑発してるやん。頑張りやー、2-Aは強いでぇ」
「わかってるよ」
「2-Aはほんまに結束力が強いからな~。グループとしての人数は少ないけど身体能力が高い子は多いし、舐めてかかるとSクラスの人間でもコロッと捕まるやろな~」
確かに2-Aは、他のクラスと比べても仲が良いことで有名だ。
学園だけでなく、クラス内にも当たり前のように存在するヒエラルキー。学園全体を包み込むそれと同じく、家柄や容姿で決まっていく。2-Aで言うなら間違いなく、元Sクラスの蓮がトップだろう。あとは、俺や悠真のようなランク入賞者が上の方に位置する。
蓮や俺に対してはよそよそしいクラスメートもそれなりにいるが、同じくらいの立ち位置の悠真や里緒に対して、気兼ねしている人はほぼいない。敬語だったとしても、その態度はとても親しげだ。長く同じクラスで暮らしていても良い関係を築けないこともあることを思うと、それはきっと年月などではなく彼らの人柄なのだと思う。少し羨ましいけど、まぁそれは仕方ない。
ついでに、身体能力が高い生徒が多いのも事実だ。その筆頭が、サッカー部エースの悠真や颯くん。他にも運動部に所属している生徒の数が、他のクラスに比べてかなり多いのだ。さらには蓮や里緒、マリモのような規格外もいるから、このグループは決して侮れない。
「ま、俺のために色々と策を練ってくれてるだろうクラスメートたちのため、簡単に捕まらないよう精一杯頑張るよ」
「せやな。頑張れ~」
「陽希はあれか? 副会長さんのグループが一番の敵か?」
確か今回は、桜花ちゃんもナギも泥棒だ。となると、陽希を捕まえるのは同じクラスの副会長さんたちなのではないだろうか。
いつもナギたちと一緒にいるからその辺りとの詳しい交友関係は知らないが、陽希だって小等部からSクラスのはず。仲が良いとまではいかなくても、それなりの関わりがあったっておかしくない。
陽希は「うーん」と唸ったあと、頭を左右に振った。
「確かにあっこはデカいし、俺を狙ってきてもおかしくはないけど……。でも副会長さんのことやから、初めはもっと大物狙うやろし、序盤の俺の敵はそこやないな」
「なるほど、もっと大物、か」
「その中に蒼葉は入っとるで?」
「冗談だろ。縁起でもない」
「……それ、本気でゆうてんのやったら、そろそろ自覚せなあかんで?」
「いや、そうじゃなくて。自分の影響力は自覚してるけど、副会長さんに狙われる覚えはないってことだよ」
「…………」
何故か口を噤んで黙り込んだ陽希。そんな不思議な行動をとる陽希に、俺は小さく首を傾げた。
俺、何か変なことを言ったか? だって、副会長さんと関わったのなんて、1週間前のあの1回だけだ。興味深いだとか言われたような気はするが、そんな浅い付き合いなのに、いの一番に狙われるだなんて有り得ないだろ。
陽希はしばらく俯いていたかと思うと、突然気を取り直したように勢いよく顔を上げた。
「しゃーないから、この陽希様がありとあらゆる手を使って仕入れた警察グループの情報、お前にも教えたるわ」
「へ? そりゃ嬉しいけど、どうした急に」
「蒼葉にとって、このゲームはそれなりに過酷な戦いになるんちゃうかと思てな」
なんでそんなふうに思ったのか全く分からないが、くれるという情報を断る理由は何も無い。これまで、陽希の情報に間違いがあったことはほとんどないのだ。むしろ、聞くべきだろう。
手招きする陽希に従ってドアの上から降りた俺は、陽希のそばに腰を下ろす。
陽希は俺の方に向き直ると、いつもの調子で明るく語り始めた。
「注意せなあかんのは、4つや」
そう言って、陽希は人差し指を立ててみせる。
「1つ目は、副会長さん率いる〔生徒会グループ〕。一番おっきい上に副会長さんの頭脳がある、厄介な組織や。会計さんも頭回るし、わんこ書記先輩は力ありはるし、何より人が多いっちゅうことはいろんなことができるからな。と、いろいろ言うたけど、まぁ蒼葉は強いしなぁ。基本はSクラスのメンバーと遭ったりせんかったら、普通に逃げ切れると思うわ」
陽希の俺への評価がどこまでのものか分からないが、確かに人が多いということは末端まで目を行き届かせるのは難しいというもの。陽希の言う通り、特に怖がる必要も無いだろう。
素直に頷く俺の前で、陽希は2本目の指を立てる。
「ほんで2つ目。さっき話してた、打倒《女神様》の〔チーム2-A〕」
「どうでもいいことだけど、〔生徒会グループ〕と違って名前ちょっとかっこいいな」
「せやろ? 渾身の傑作やからな!」
「なんだ。お前が決めたのかよ」
「せやで! ま、チーム2-Aの話はさっきの通りやから飛ばして、3つ目! その名も、〔大和撫子親衛隊〕!」
………………。
「急にダサくなった」
「えー、そうか? えぇと思たんやけどな」
真顔で返した俺に、3本指を立てた陽希が少し唇を尖らす。
「“大和撫子”って誰のことかわかんねーし、そもそも親衛してどうすんだよ。警察だろ?」
「でもほんまにそんな感じなんやで? 青海川先輩、知っとるやろ?」
「もちろん。車椅子の先輩だよな」
それは、3年の青海川凛月先輩。生まれつき足が悪いとのことで、車椅子で生活している。
なるほど、陽希がそう命名した理由が少し理解できた。
「確かに、あの先輩は箱入りの大和撫子だな。親衛隊ってのもちょっとわかるかも」
「せやろ!? やっぱ、同志やなあ! 蒼葉やったらわかってくれる思てたで!」
パッと花が咲くように笑う陽希。いや、そんな明るい笑顔を俺に向けるな。もっと他の人がいるところで、他の人に向けてやってくれよ全く。
……顔が良いから、さすがに不意打ちでやられるとちょっとドキッとするんだよ。心臓に悪いわ。
「それで? その……“大和撫子親衛隊”だったか? は、どんなグループなんだよ?」
何となく顔を逸らしながら、話の先を促す。
「あぁせやな。えっとな、ここは“車椅子であんまり参加でけへん先輩にも精一杯楽しんでもらおう!”って理由で結成されたグループやねん。主に、リアルに存在する先輩の親衛隊と、風紀以外の委員会メンバーが中心になってできとる」
「なぜに委員会メンバー?」
「そらまぁ、そもそも青海川先輩って人望の厚い人やからな。美化委員長である先輩を慕っとる生徒は、委員会の垣根を越えてるんよ。俺が警察やったとしたら、多分ここに入ってたと思うで」
「いや、お前なら別のグループ作ったんじゃね?」
「ま、それもおもろそうやけどな~!」
面白そうというか、こいつならほぼ間違いなくそうするだろうし、何より周りがそうなるように祭り上げるような気がする。
でも、もしそんなことになっていたとしたら、その陽希筆頭グループはかなりの強敵に違いない。だとしたら、陽希が泥棒で心底良よかった。じゃないと、こんなふうに情報だって得られなかったわけだしな。
「人数は中規模程度やろな。やけど、委員長はほぼSクラスの人間やから、油断は禁物や。あと、このグループはあくまで"親衛隊"。ゲーム後のペア決めで、青海川先輩が下手なことにならんように、とにかく手当たり次第に捕まえて点を取ろうとしてくると思う」
「おぉ、それは厄介だな……。いやでも、俺からするとすぐに狙われることはなさそうだし、逆にラッキーなのかも?」
「せや。俺も確実に狙われるやろうけど、終盤勝負ちゃうかなって考えてるわ。よし、ほんなら最後、4つ目は──」
徐に、陽希が4本目の指を立てたとき、突然腕に着けているTSPが震えた。
驚いて目を丸くした俺をよそに、陽希は慣れた様子でTSPを取り出し、安心させるように俺の肩を叩く。
「ビビりすぎやって蒼葉。30分毎に、捕まった泥棒が通知されるて説明あったやろ? その着信やんか」
「あーはは……。そういうのが来るのはわかってはいたんだけど、普段腕なんかに着けないからさ。ちょっとビビった……」
苦笑いしながら、同じようにTSPを取り出して通知を確認する。
「やっぱこの30分は、そんなおっきい動きはないみたいやな。ほぼ捕まっとらん」
「ま、長期戦だもんな。相手もしっかり作戦練ってから動くってことか」
陽希が言ったように、画面にはこの30分の結果が表示されていた。数人捕まったようだが、その中に知っている名前はない。
安堵しながらその画面を閉じると、まだ逃走中の泥棒一覧が表示された。時間が経つごとに、ここに書かれている名前が減っていくのか…なんて考えると、ますますすぐには捕まれない。だってさっきみたいな通知もあるってことは、どの段階で捕まったのかが全校生徒にバレるんだろ?
まぁ《女神様》としては、どこで捕まろうとイメージが崩れることは無いかもしれないが、ただ俺のプライドが許さない。
この新入生歓迎祭のケイドロは、午前9時から午後3時まで休憩なしで続く、かなりのロングゲームだ。一応昼食休憩として1人10分取ることが出来るが、時間が短い上に食堂に設置されているそのセーフゾーンまで自力で行かないといけないリスクがあるため、基本は各自事前に用意している。
まだ始まって間も無いものの、次いつ時間が取れるか分からない。これからに備え腹ごしらえをしておくに越したことはないと判断し、俺は腰に着けたポーチからドーナツを取り出しかぶりつく。
「にしてもここってさ、建物としては講堂からは遠いし人気はないけど、屋上だから隠れるところがないじゃん?」
「せやな~」
「そんな人がいる確率が低い場所にわざわざ探しに来るようなやつって、一体どんなやつなんだろうって思ったり」
陽希は、飲んでいた水をゆっくりと嚥下すると、ごく当たり前のように言った。
「そんなん決まっとるやん。俺らの同類やろ」
なるほど、同じ腐男子ね。納得だ。
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