棘バラの口付け

おかだ。

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棘バラの口付け

episode8

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-ローゼンヴァルト第一校シークレットルームにて-

「ぐっ、」

「相変わらずだな。少し小突くだけですぐ転ぶ」

第一王子ローランドの心底バカにするようにせせら笑う顔は昔から変わらない。

「・・・ごめんなさい」

鋭い平手打ちがアルマの頬を打つ。

バラ色の頬は赤くはれて、皮の薄い唇が破れて真っ赤な血が滲んでいる。

痛い。
目尻にたまった涙の粒が弾けて頬を伝う。

「お前は泣いてる所だけ可愛いよ。もっと泣けよ。泣いて、俺に助けを乞え」

「ん”っう”ぅ!?」

唇から温もりが失せていく。
先程のエドとの温かいキスが嘘だったかのような冷たく乱暴なキス。

「なんだ?兄上とのキスは嫌か?なぁ?」

「ひっ、ぁぁあ・・・」

アルマが嫌がれば嫌がる程男の口角が吊り上がり、ぬるりと口内に侵入してきた長い舌が歯列をなぞる。少年の柔らかな唇を啄みながら、嫌がる様子を楽しむように笑っている。

「お前の大好きなエドはこないぞ。如何してもっていうからシーヴァに譲ってやったんだ。今頃掘られてたりして」

「っ!!」

「あっは!いいな、その顔そそるわ」

腹を蹴りあげられ痛みで床に踞る。大理石の冷たい床がどんどん体力と体温を奪っていく。

「・・・お前も昔俺が寄宿していたのと同じローズ寮か。まぁ、王族は皆ローズ寮だと決まっているから当たり前か」

「?」

「アルマ、お前を連れてきたこの部屋、見た事ないだろ。え?」

荒く呼吸を繰り返すアルマがゆっくりと首を縦に動かす。

「昔俺が作ったシークレットルームだよ。セックスルーム」

王宮実家では目障りなお前がいるし、シーヴァもうるさい。父上は口を開けばお前の事ばかり・・・。俺だって寛げる王宮場所が欲しいじゃないか」

ローランドが壁に手を伝わせボタンを押すと、薄暗かった室内が明るくなった。

「昔よくここに人を呼んでめちゃくちゃに犯してやったな。お前程美しい容姿はいなかったが、似た顔の下級生を沢山イジメてやった。父上に似た教師も一度犯してやった事があったっけ?教師が俺との行為にハマって何度も催促するから嫌になって、ワザと父上に泣いて訴えたこともあったな。
俺はここではハーレムの王様だった。今思えば稚拙な考えだが」

眉尻を下げて可笑しそうに笑ったローランドがアルマを睨みつけた。

「可哀想に。お前が唯一大好きなこの場所学校も、これからは俺との悪夢に苛まれるんだ」

「ひっ、ぁ、う・・・」

アルマが腹の痛みに何とか耐え、鍵のかかったドアに背を預ける。

「ざまぁみろ、お前はもう一人だ」

耳元で低い声が囁いた。
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