13 / 63
past1(ローランド)
episode13
しおりを挟む
ローゼンヴァルト第一校の第一棟には、最上流階級の生徒のみが出入りを許されているラウンジがある。
ラウンジの向いにある部屋が理事室であり、同棟の二階と三階が理事長の仮住まいになっている。
「ローランド殿下、お久しぶりです。御卒業ぶりですね、またお会いできて感激しております」
がっしりとした一人がけの椅子に座ったローランドが目を細め、笑顔で自分を迎えた若い男を見つめると、相手を煽るようにニヤリと笑いフンと鼻を鳴らした。
「気が向いたから挨拶に来てやった」
肘掛に片腕をのせ頬杖をつき片手の甲を男に差し出し、足を組みかえる。チラチラと唇から覗く真っ赤な舌に、男の喉が鳴る。面白がるように唖然としたままの男を上目遣いで意地悪げに見上げた。
「フィリップ理事長?そんなに顔を赤くしてどうした?気分が悪いのか?」
「ッ・・・、」
ローランドがバカにするように困った表情をつくって、心配しているふうで男の顔をのぞき込む。
勿論、目の前の男がこの行為をどう認識しているかはローランドには分かっていた。
「・・・フィル」
濡れた唇を開き、猫なで声で相手の名前を呼ぶと、フィリップの肩がぴくりと震えた。
ラウンジの向いにある部屋が理事室であり、同棟の二階と三階が理事長の仮住まいになっている。
「ローランド殿下、お久しぶりです。御卒業ぶりですね、またお会いできて感激しております」
がっしりとした一人がけの椅子に座ったローランドが目を細め、笑顔で自分を迎えた若い男を見つめると、相手を煽るようにニヤリと笑いフンと鼻を鳴らした。
「気が向いたから挨拶に来てやった」
肘掛に片腕をのせ頬杖をつき片手の甲を男に差し出し、足を組みかえる。チラチラと唇から覗く真っ赤な舌に、男の喉が鳴る。面白がるように唖然としたままの男を上目遣いで意地悪げに見上げた。
「フィリップ理事長?そんなに顔を赤くしてどうした?気分が悪いのか?」
「ッ・・・、」
ローランドがバカにするように困った表情をつくって、心配しているふうで男の顔をのぞき込む。
勿論、目の前の男がこの行為をどう認識しているかはローランドには分かっていた。
「・・・フィル」
濡れた唇を開き、猫なで声で相手の名前を呼ぶと、フィリップの肩がぴくりと震えた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
42
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる