『桜魂の継承者』-BLOOM OF ETERNAL BONEDS-

著:蒼月トウカ/文八代目/記:謎の桜風

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9話「街中での小さな接点と天然鈍感」

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一週間後、春の柔らかな日差しが京都の街を包む。
朋広は原付で団地を出て、近所の図書館へ向かう途中だった。

道すがら、コンビニ前の自販機で温かいお茶を買ったとき、微かに揺れる影が二つ。
読者には、ここでも後に重要キャラとなる人物だとわかるが、朋広には気づかない。

「おお、ちょっと熱いな……でもええ感じや」
と、ひとりごと。天然鈍感そのままに、顔をしかめつつも笑ってしまう。

ガソリンスタンドでは、原付の修理をしてくれた店員が笑顔で軽く会釈。
朋広は「ああ、直してくれたんかあ」と、特に感謝の言葉も強く出さず、自然に立ち去る。

図書館近くの歩道では、東雲ましろ(18)が配信用のPCを肩にかけて歩いている。
朋広と視線が一瞬合うが、彼はただ「おお、なんか明るい子やな」と思うだけで、
挨拶もなく通り過ぎてしまう。

胸ポケットの桜スマホは今日もひっそりと光り、微細な波動を放つ。
他キャラの存在や装具の輝きも、主人公には認識不能。
それでも、彼の何気ない行動――小さな助け、少しの気遣い――が、街中の桜波長を整えていく。

歩道の影で揺れる桜の枝――冥の闇の影響で濁っていた枝も、朋広の天然鈍感行動によって少しずつガラス色に戻りつつある。
街全体には、まだ誰も気づかない小さな奇跡が積み重なっていった。
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