『桜魂の継承者』-BLOOM OF ETERNAL BONEDS-

第59話 「桜舞う街角と無自覚の波紋」

桜舞う午後、図書館の創作ラウンジでは桐生さくらがノートに向かいながらも、ふと窓の外の人物に目をやった。

「…あの人、自然に助けてくれるんだな」
控えめなさくらは、自分でも気づかぬうちに、主人公の無自覚な優しさに胸をざわつかせていた。

隣では花房るりがふんわり微笑む。
「…ほんとに、困っている人を放っておけない人だね」
おっとりした彼女も、微かに心惹かれていることを自覚する。

和喫茶「月待庵」では、御影紫苑がカウンター越しに主人公を観察し、微かに眉をひそめる。
「最近、周りの空気が少し変わって見える…」
巫女らしい直感が、無自覚ヒーローぶりを敏感に捉えていた。

鴉谷りつはギターを手に、舞い込む桜の花びらに気づく。
「…あれ、なんで？」
自由奔放な彼女も、主人公の存在が少しだけ特別だと感じている。

階段で偶然すれ違った香椎天音は、荷物を支えられた瞬間、胸がざわつく。
「…どうして、自然に助けられるんだろう…」

玄関前でノートを読んでいた如月ほのかも、舞い落ちる桜とともに無意識に主人公を意識していた。
「…不思議な人だな…」

団地内、喫茶店、街角。
小さな奇跡の連鎖は、ヒロインたちの心に確かな印象を刻み、自然と主人公の存在を意識させる。
そして主人公は、今日も天然鈍感のまま、無自覚に日常を過ごしていた。