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はみ出し 一歩
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はみ出し 一歩
「ヒナ様、もう少しです」
「ぬっ‥‥」
「頑張って、ヒナちゃん!」
プルプルする右手を、一歩前に。肉球が床についた!
「流石です」
「キャ~! 可愛い!」
森でセバスに拾われてから、三日が経った。
一歩踏み出しただけで、大騒ぎのセバスとツバキ。
セバスは写真で、ツバキは動画ですか‥‥相変わらずと言うか、酷くなってないか、これ。
ヒナです。
寿命を全うしたと思っていたのに、目が覚めたら再び森の中でした。
どうやって見つけたのか、セバスに拾われ、再び島へと戻って来たのだが‥‥。
前回とは違い、まさかの子猫スタート! 多分、生後三か月くらいだ。
女神の悪戯か気まぐれか、何故か魔法やスキルは以前のまま。
ただ、身体が子猫なので思うように動けない。
プルプルする身体に、ヨチヨチ歩き。お腹がいっぱいになれば、直ぐに眠くなる。
「ヒナ様、目線下さい!」
床に這いつくばり、ベストショットを撮ろうとするセバス。
このままでは、この二人の玩具にされる!
暫くすると、やっと「本日の撮影会」が終わり、ツバキは動画の編集をしに神社へ戻り、セバスが私のご飯を用意しに台所へと向かった。
今しかない!
「(私のアイテムポーチは‥‥あった!)
部屋の窓際、台の上に置いてあるのが見えた。
「(うわっ! 塔みたい!)」
以前は私の腰程の高さだったが、今の私には巨大だ。
「(よし、行くぞ!)」
爪を引っ掛けながらカーテンをよじ登り、なんとかアイテムポーチまでたどり着いた。
「ムフ~(ふぅ、やってやったぜ)」
ポーチの中身を確認するが、目当ての物が無い⁉ まさか、消‥‥いや、落ち着け! このポーチは私にしか使えないんだから、もしかしたら別の場所にあるかもしれない。
「お探しのものは、こちらですか?」
「ひっ⁉ ちぇ、ちぇばちゅ‥‥」
うぅ、舌っ足らず!
いつもの様に、突然にゅっと現れたセバスが、小さなクッションを差し出してきた。そして、そのクッションの上には五つの種が置かれていた。
「ヒナ様が光りとなった後、皆、種に戻りました」
そっと種を撫でた。
ニャ種は育てた者の従者となるが、主が死ぬと種になり、新たな主を待つ。
「では、参りましょうか」
それからセバスが庭に穴を掘ってくれたので、種を一粒ずつ植えていく。
「(魔法、使えるのかな?)」
試しに水の球を出してみると、意外とすんなりできた。
しかし、まだ身体が小さいせいか、水球五つで寝落ちしてしまったのだった。
毎日水やりをして、双葉が芽吹く頃には寝落ちしなくなっていた。
そして、ついに収穫の時が来た。
「ん~‥‥」
茎の根本を両前足で抱え、力いっぱい上へと引っ張る。
この日の為に、後ろ脚で立つ練習を頑張った。
「そ‥‥‥ぉい‼ ぎゃ!」
スポン! と抜けたは良いが、勢い余ってそのまま後ろにひっくり返ってしまった。
「ミ‥‥ニャー!」
「ぶふっ⁉」
顔面にモフモフが降って来た! 頭に抱きつかれる。あ、ちょっと爪が痛い。
「コマ、また会えたね」
私がそう言うと、やっと私の頭を放して、コマが顔を見せてくれた。
その瞳いっぱいに涙を溜め、頭を撫でてあげると、ポロポロと雫が溢れた。
「ふふ、今じゃコマの方が大きいね」
お魚のクッキーを食べれば、私を抱えられるくらいには大きくなるし、言葉も喋られるようになるんだよね。
落ち着いたコマに手伝ってもらいながら、キジ、ミケ、サシ、ニビを収穫。
なんとか無事、全員揃った。
「おやおや」
セバスが居間に向かうと、そこには見慣れた大きさになった五匹に囲まれるようにして眠る小さなヒナの姿があった。
直ぐ側にはお魚のクッキーの鉢植え。
セバスがどこからともなく取り出した大きなブランケットを、そっとヒナ達に掛ける。
ヒナの性格から、ツバキと自分の構いっぷりに若干引いているのは分かっていた。それでも、なんだかんだ言いつつ付き合ってくれるヒナに、つい甘えてしまう。
「さて、そろそろしびれを切らしそうですねぇ」
セバスは小さなため息を吐き、そっと部屋から出ると、通信用イヤーカフスを取り出した。
*
「ヒナ! ヒナ~!」
「ぐふっ‥‥ちょ、ま」
ぐりぐりと頬ずりをされ、首が曲がっちゃいけない方に曲がりそうだ。
いくら猫の身体が「液体か?」と思うくらいに柔らかくとも、苦しいものは苦しい。
「それ以上したら、ヒナがまた転生してしまうぞ」
止めてくれた声は、リシュナだ。
私からすると百年程の「お久しぶり」なのだが、彼女からすると数百年だ。
美しい女帝だった彼女も、美しさはそのままで落ち着いた老女に‥‥そこまで考えて、バッチリ彼女と目が合った。にっこりと微笑むリシュナの後ろに、古龍の姿が見えた気がした。
「あ、ご、ごめん! つい、嬉しくて‥‥」
慌てて顔を離してくれた青年は、クロだ。
私が最後に見た時より、若干大人っぽくなったかな。リシュナの息子だけあって、かなりの美形に育っている。
「大丈夫、大丈夫」
クロとは別の手が、私の頭をそっと撫でた。
「随分と小さくなったな」
「お久しぶり、ジェフさん」
クロのお兄さん。
こっちは、色気がプラスされたような?
「ジェフは、お前さんが逝ってから塞ぎ込んでなぁ。俺は一生結婚などしないと」
「母上!」
「本当の事じゃろて」
相変わらずな会話に、ちょっとホッとする。
「あ・る・じー!」
「へ?」
皆が集まる食堂の前、土煙を上げて走り込んで来たのは、ポチだ!
「お戻りと聞き、はせ惨事ました!」
「ヒナ~!」
しかも、ポチの背中にはナーブが乗っている!
ナーブの樹は変わらず島にあるが、私が逝った後、二人で世界を巡る旅に出たとセバスから聞いていた。樹齢千年を超え、ナーブは樹から離れても大丈夫になったらしい。と言うか、私が逝った時点でポチとの契約は切れている。
「私の主は、主だけですので!」
縁側に前足を掛け、ブンブンと千切れんばかりに尻尾を振るポチ。そして、その頭の上にナーブがよじ登る。
「分かった。また、よろしくね」
「はい!」
「は~い!」
それから皆でご飯を食べ、懐かしい話や最近の事などに花を咲かせた。
リシュナとジェフさんが帰った(リシュナは最後まで島に残るとごねていたけど)後、クロのお膝の上で眠気と戦っております。
「ふふ、本当にちっちゃい」
「一応‥‥獣人らしいよぉ」
「そうなんだ。どんな姿のヒナも大好きだけど、やっぱりその姿が一番可愛い」
「可愛いって‥‥こんな‥おばあちゃんに‥‥」
噛み殺しきれなかった欠伸が出てしまった。ちょっともう、限界です。
「今は僕の方が年上‥‥って、寝ちゃったか」
クロがそっと、安心しきった顔で眠るヒナの肉球を指先でプニプニと触った。
生まれてからずっと守ってくれた大きな手。
「今度は、僕が守るからね」
そう呟いたのが聞こえたのか、眠っているヒナが「はいはい、楽しみにしてるねぇ」と言わんばかりに、へにゃりと微笑んだ。
*
朝日が木々の間から差し込み、地面に光の粒を落とす。
「随分そだったね!」
セバスに抱っこされていても枝に届かない程に育ったのは、島に来たばかりの頃に植えた果樹だ。
「全て樹齢千年超えですから。脚立も届きませんので、いっそ階段でも作った方が良いかもしれません」
今でも立派に実を成しているらしい。時折クロやジェフさんが来て、世話と収穫をしてくれていたとセバスが教えてくれた。
立派な森になった果樹園を抜けると、広く開けた花畑に出た。
その花畑の真ん中に並ぶ、皆のお墓。
セバスが私と、抱えていた花束を地面に下ろしてくれた。
花束から一本一本取り出し、それぞれの墓石の前に供えて行く。
「あれ? 私のお墓は?」
自分のお墓は? と聞くのもおかしな話だけど、一応一度死んでるしね。
「作りませんでした。必ずお帰りになると信じておりましたので」
家の中は、私が逝ったそのままだった。壁に飾られた写真や、コマ達の玩具。定期的に掃除されていたであろうそれらは、新たな主を迎えるといった感じではなかった。
「まったく‥‥待ってる間に島が落ちてたらどうするんだか」
「そう言えば、そうですね」
「おい」
完璧執事のセバスだが、偶に肝心な所がすっぽ抜けている。やれやれだ。
並ぶ墓石の真ん中の二つ。ジローとクレスの名が刻まれている。
懐かしさと、少しの寂しさが胸に広がる。
そんな私を察したのか、セバスが微妙に嫌そうな顔をした。
「また会えるかもしれませんね」
「え?」
セバスがそんな事言うとは!
「虫と言うのは、しつこいですからね」
「虫‥‥」
相変わらずの、害虫扱い。
「ヒナ様を追って転生するくらい、しそうですねぇ‥‥」
セバスは自分で言っておいて、ものすごく嫌そうに眉間に皺を寄せた。
「あははは! そしたら、またどこかで出会えるかもね」
それはそれで、楽しいかもしれない。また皆で大騒ぎだろうけど。
せっかく新しく始まった猫生だ。のんびり楽しく、生きますか!
「ヒナ様、もう少しです」
「ぬっ‥‥」
「頑張って、ヒナちゃん!」
プルプルする右手を、一歩前に。肉球が床についた!
「流石です」
「キャ~! 可愛い!」
森でセバスに拾われてから、三日が経った。
一歩踏み出しただけで、大騒ぎのセバスとツバキ。
セバスは写真で、ツバキは動画ですか‥‥相変わらずと言うか、酷くなってないか、これ。
ヒナです。
寿命を全うしたと思っていたのに、目が覚めたら再び森の中でした。
どうやって見つけたのか、セバスに拾われ、再び島へと戻って来たのだが‥‥。
前回とは違い、まさかの子猫スタート! 多分、生後三か月くらいだ。
女神の悪戯か気まぐれか、何故か魔法やスキルは以前のまま。
ただ、身体が子猫なので思うように動けない。
プルプルする身体に、ヨチヨチ歩き。お腹がいっぱいになれば、直ぐに眠くなる。
「ヒナ様、目線下さい!」
床に這いつくばり、ベストショットを撮ろうとするセバス。
このままでは、この二人の玩具にされる!
暫くすると、やっと「本日の撮影会」が終わり、ツバキは動画の編集をしに神社へ戻り、セバスが私のご飯を用意しに台所へと向かった。
今しかない!
「(私のアイテムポーチは‥‥あった!)
部屋の窓際、台の上に置いてあるのが見えた。
「(うわっ! 塔みたい!)」
以前は私の腰程の高さだったが、今の私には巨大だ。
「(よし、行くぞ!)」
爪を引っ掛けながらカーテンをよじ登り、なんとかアイテムポーチまでたどり着いた。
「ムフ~(ふぅ、やってやったぜ)」
ポーチの中身を確認するが、目当ての物が無い⁉ まさか、消‥‥いや、落ち着け! このポーチは私にしか使えないんだから、もしかしたら別の場所にあるかもしれない。
「お探しのものは、こちらですか?」
「ひっ⁉ ちぇ、ちぇばちゅ‥‥」
うぅ、舌っ足らず!
いつもの様に、突然にゅっと現れたセバスが、小さなクッションを差し出してきた。そして、そのクッションの上には五つの種が置かれていた。
「ヒナ様が光りとなった後、皆、種に戻りました」
そっと種を撫でた。
ニャ種は育てた者の従者となるが、主が死ぬと種になり、新たな主を待つ。
「では、参りましょうか」
それからセバスが庭に穴を掘ってくれたので、種を一粒ずつ植えていく。
「(魔法、使えるのかな?)」
試しに水の球を出してみると、意外とすんなりできた。
しかし、まだ身体が小さいせいか、水球五つで寝落ちしてしまったのだった。
毎日水やりをして、双葉が芽吹く頃には寝落ちしなくなっていた。
そして、ついに収穫の時が来た。
「ん~‥‥」
茎の根本を両前足で抱え、力いっぱい上へと引っ張る。
この日の為に、後ろ脚で立つ練習を頑張った。
「そ‥‥‥ぉい‼ ぎゃ!」
スポン! と抜けたは良いが、勢い余ってそのまま後ろにひっくり返ってしまった。
「ミ‥‥ニャー!」
「ぶふっ⁉」
顔面にモフモフが降って来た! 頭に抱きつかれる。あ、ちょっと爪が痛い。
「コマ、また会えたね」
私がそう言うと、やっと私の頭を放して、コマが顔を見せてくれた。
その瞳いっぱいに涙を溜め、頭を撫でてあげると、ポロポロと雫が溢れた。
「ふふ、今じゃコマの方が大きいね」
お魚のクッキーを食べれば、私を抱えられるくらいには大きくなるし、言葉も喋られるようになるんだよね。
落ち着いたコマに手伝ってもらいながら、キジ、ミケ、サシ、ニビを収穫。
なんとか無事、全員揃った。
「おやおや」
セバスが居間に向かうと、そこには見慣れた大きさになった五匹に囲まれるようにして眠る小さなヒナの姿があった。
直ぐ側にはお魚のクッキーの鉢植え。
セバスがどこからともなく取り出した大きなブランケットを、そっとヒナ達に掛ける。
ヒナの性格から、ツバキと自分の構いっぷりに若干引いているのは分かっていた。それでも、なんだかんだ言いつつ付き合ってくれるヒナに、つい甘えてしまう。
「さて、そろそろしびれを切らしそうですねぇ」
セバスは小さなため息を吐き、そっと部屋から出ると、通信用イヤーカフスを取り出した。
*
「ヒナ! ヒナ~!」
「ぐふっ‥‥ちょ、ま」
ぐりぐりと頬ずりをされ、首が曲がっちゃいけない方に曲がりそうだ。
いくら猫の身体が「液体か?」と思うくらいに柔らかくとも、苦しいものは苦しい。
「それ以上したら、ヒナがまた転生してしまうぞ」
止めてくれた声は、リシュナだ。
私からすると百年程の「お久しぶり」なのだが、彼女からすると数百年だ。
美しい女帝だった彼女も、美しさはそのままで落ち着いた老女に‥‥そこまで考えて、バッチリ彼女と目が合った。にっこりと微笑むリシュナの後ろに、古龍の姿が見えた気がした。
「あ、ご、ごめん! つい、嬉しくて‥‥」
慌てて顔を離してくれた青年は、クロだ。
私が最後に見た時より、若干大人っぽくなったかな。リシュナの息子だけあって、かなりの美形に育っている。
「大丈夫、大丈夫」
クロとは別の手が、私の頭をそっと撫でた。
「随分と小さくなったな」
「お久しぶり、ジェフさん」
クロのお兄さん。
こっちは、色気がプラスされたような?
「ジェフは、お前さんが逝ってから塞ぎ込んでなぁ。俺は一生結婚などしないと」
「母上!」
「本当の事じゃろて」
相変わらずな会話に、ちょっとホッとする。
「あ・る・じー!」
「へ?」
皆が集まる食堂の前、土煙を上げて走り込んで来たのは、ポチだ!
「お戻りと聞き、はせ惨事ました!」
「ヒナ~!」
しかも、ポチの背中にはナーブが乗っている!
ナーブの樹は変わらず島にあるが、私が逝った後、二人で世界を巡る旅に出たとセバスから聞いていた。樹齢千年を超え、ナーブは樹から離れても大丈夫になったらしい。と言うか、私が逝った時点でポチとの契約は切れている。
「私の主は、主だけですので!」
縁側に前足を掛け、ブンブンと千切れんばかりに尻尾を振るポチ。そして、その頭の上にナーブがよじ登る。
「分かった。また、よろしくね」
「はい!」
「は~い!」
それから皆でご飯を食べ、懐かしい話や最近の事などに花を咲かせた。
リシュナとジェフさんが帰った(リシュナは最後まで島に残るとごねていたけど)後、クロのお膝の上で眠気と戦っております。
「ふふ、本当にちっちゃい」
「一応‥‥獣人らしいよぉ」
「そうなんだ。どんな姿のヒナも大好きだけど、やっぱりその姿が一番可愛い」
「可愛いって‥‥こんな‥おばあちゃんに‥‥」
噛み殺しきれなかった欠伸が出てしまった。ちょっともう、限界です。
「今は僕の方が年上‥‥って、寝ちゃったか」
クロがそっと、安心しきった顔で眠るヒナの肉球を指先でプニプニと触った。
生まれてからずっと守ってくれた大きな手。
「今度は、僕が守るからね」
そう呟いたのが聞こえたのか、眠っているヒナが「はいはい、楽しみにしてるねぇ」と言わんばかりに、へにゃりと微笑んだ。
*
朝日が木々の間から差し込み、地面に光の粒を落とす。
「随分そだったね!」
セバスに抱っこされていても枝に届かない程に育ったのは、島に来たばかりの頃に植えた果樹だ。
「全て樹齢千年超えですから。脚立も届きませんので、いっそ階段でも作った方が良いかもしれません」
今でも立派に実を成しているらしい。時折クロやジェフさんが来て、世話と収穫をしてくれていたとセバスが教えてくれた。
立派な森になった果樹園を抜けると、広く開けた花畑に出た。
その花畑の真ん中に並ぶ、皆のお墓。
セバスが私と、抱えていた花束を地面に下ろしてくれた。
花束から一本一本取り出し、それぞれの墓石の前に供えて行く。
「あれ? 私のお墓は?」
自分のお墓は? と聞くのもおかしな話だけど、一応一度死んでるしね。
「作りませんでした。必ずお帰りになると信じておりましたので」
家の中は、私が逝ったそのままだった。壁に飾られた写真や、コマ達の玩具。定期的に掃除されていたであろうそれらは、新たな主を迎えるといった感じではなかった。
「まったく‥‥待ってる間に島が落ちてたらどうするんだか」
「そう言えば、そうですね」
「おい」
完璧執事のセバスだが、偶に肝心な所がすっぽ抜けている。やれやれだ。
並ぶ墓石の真ん中の二つ。ジローとクレスの名が刻まれている。
懐かしさと、少しの寂しさが胸に広がる。
そんな私を察したのか、セバスが微妙に嫌そうな顔をした。
「また会えるかもしれませんね」
「え?」
セバスがそんな事言うとは!
「虫と言うのは、しつこいですからね」
「虫‥‥」
相変わらずの、害虫扱い。
「ヒナ様を追って転生するくらい、しそうですねぇ‥‥」
セバスは自分で言っておいて、ものすごく嫌そうに眉間に皺を寄せた。
「あははは! そしたら、またどこかで出会えるかもね」
それはそれで、楽しいかもしれない。また皆で大騒ぎだろうけど。
せっかく新しく始まった猫生だ。のんびり楽しく、生きますか!
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