推測と仮眠と

六弥太オロア

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  無を以て追跡と

13.

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浅黒い肌。
それも、ドームに入って最初に見た。
というか、接触していたのだ。



今思うと、手掛かりをと思って尋ねた誰も彼も、『浅黒い』というワードを口に出さず、しかし他の特徴は述べていたということだった。それを今、イブが言った。
自分の欲しい情報がここになって出てきたと同時に「今かよ」という思い。

特徴というのは見る人によって変わるということなのかもしれない。
ようやく自分にとって、『偲ぶ会に相応しくない』かつ自分に『相応しいもの』が得られた。



だがベンチから腰を上げられずにいる。






おそらく数登すとうは、手に金の香炉を持って自分の前にやって来た時から、ずっと香炉と共に移動していて、そして自分たちが追って来ることも分かっていたということなのだろう。

だが目的はなんだ?

レブラと盗みを共にする意味は? 共謀している?






「その葬儀屋は、何か持っていませんでしたか?」

釆原うねはらは尋ねた。

ルイスとイブはきょとんとする。

「何かって言うと……」

「レブラが懇意にしていた師の美野川嵐道みのかわらんどうを偲ぶ会が、いま瀬戸宇治せとうじドームで行われているということは、あなた方もあらかじめご存知ですよね」

ルイスとイブは顔を見合わせる。

「その、何か持っていたというと……」

そうルイスが言った。

「ドームの中で金の香炉が盗まれましてね、おそらくそれが今ドーム外を移動中なんですよ」

「盗まれた」

「釆原さんは、その、それをレブラが持っているって言いたいんですか? 確かに、レブラは派手なものに眼がなかったけれど……。でも……」

「どちらかと言えば、自分が考えるに、数登の方が持っている可能性が高いように思えましてね」

釆原が言って、ルイスは考え込んだ。

イブが言う。

「何か持っていたといえば持っていたかもしれないけれど、私たちにも香炉かどうかは分からなかったです。何だか小さい包みだったかもしれません」






ルイスとイブと別れ、釆原と僚稀は移動。
土地といっても開発途中のような?
捜査員が追ってきているのも分かるが、だいぶ距離はあった。

ルイスとイブは方向転換。
釆原と僚稀はひたすら追う。






人物の影。
あまり距離を詰めないように進む。



十月の午後。辺りのオレンジが強い色彩。
前方に二人。並んで歩いている。



ドームで見たやつだ。

釆原は思った。
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