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「鳴」を取る一人
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杵屋依杏は今、列のしんがりに居る。
ので、僧侶の岩撫衛舜は、少々骨折るように言った。
先頭付近なので。
「知っていますって、なんであなたが?」
「あたし、あの」
本当は、刑事たちに近づくのは憚られたところだったが。
この際なので、依杏も先頭のほうへ回り込む。
「高校で、部活をやっていまして」
「それと、染ヶ山の出土品?」
と岩撫は眼をぱちくり。
「部活で? 随分風変りですね」
「出土品とか、そういうのに興味のある部活でして……」
「へえ。なんていう部活?」
「古美術建物研究会。です。ネーミングセンス的には気にしないで、いただきたいんですが」
刑事の怒留湯基ノ介。
「出土品は、地下で出た遺体と。何かつながりがあったりするの?」
「いえそういうんじゃあ、ないと思いますね。私は、ですが」
と岩撫。
「ただ、地下の宝物殿となら関わりがあります。そこは確実です。出土品を納めている場所が、宝物殿ですから」
「ふうん」
と怒留湯。
本堂に進んで行く一行だったが、本堂裏手の話は全く出なかった。
その点、刑事より「慈満寺の知識」としては上を行くであろう、郁伽先輩のほうが。
もしかすると、今回の遺体が出た件に関して。
詳しかったり、して。
とか、依杏は思った。
ただ、八重嶌郁伽は病院行きになり。
その前にも秘仏の話とか、オカルトとか。
他にもいろいろ話題は出たが。
地下で遺体が出る件と繋がるのか?
と言ったら、どれもこれも繋がらない。
ついでに、依杏自身が気絶した理由についても。
その現場になった本堂に、近づきつつあり。
今、中には遺体がある。
人間の遺体だ。
数登珊牙は、葬儀屋である。
彼は。遺体には慣れているだろうな。
と、依杏は思い。
私には、到底無理。
彼は、何を思うのか。
あとは刑事に、釆原凰介さんは記者という面々。
ここにいる全員、遺体に慣れていそう。
慣れていないのは、私だけである。
とか依杏は思う。
岩撫は言った。
「数登さん。今、あなたの部屋はどうなってますかね」
数登は顔を上げたが、分からない。
という様子。
「いや、突然でしたからね」
と岩撫。
茶封筒の件。
数登はいずれにしても、鐘搗深記子に勘当を食らったわけで。
泊まりで仕事をする面々というのは、アルバイト以外にも慈満寺には居るのかもしれない。
数登さんが、その一人か。
依杏は聞きながら思った。
「その辺は、私も手を回してみましょうかね。深記子さんへ」
「有難い」
と数登。
「部屋はともあれ、引き続き」
「ええ。分かってますよ。独自調査? の点もね」
と岩撫。
ので、僧侶の岩撫衛舜は、少々骨折るように言った。
先頭付近なので。
「知っていますって、なんであなたが?」
「あたし、あの」
本当は、刑事たちに近づくのは憚られたところだったが。
この際なので、依杏も先頭のほうへ回り込む。
「高校で、部活をやっていまして」
「それと、染ヶ山の出土品?」
と岩撫は眼をぱちくり。
「部活で? 随分風変りですね」
「出土品とか、そういうのに興味のある部活でして……」
「へえ。なんていう部活?」
「古美術建物研究会。です。ネーミングセンス的には気にしないで、いただきたいんですが」
刑事の怒留湯基ノ介。
「出土品は、地下で出た遺体と。何かつながりがあったりするの?」
「いえそういうんじゃあ、ないと思いますね。私は、ですが」
と岩撫。
「ただ、地下の宝物殿となら関わりがあります。そこは確実です。出土品を納めている場所が、宝物殿ですから」
「ふうん」
と怒留湯。
本堂に進んで行く一行だったが、本堂裏手の話は全く出なかった。
その点、刑事より「慈満寺の知識」としては上を行くであろう、郁伽先輩のほうが。
もしかすると、今回の遺体が出た件に関して。
詳しかったり、して。
とか、依杏は思った。
ただ、八重嶌郁伽は病院行きになり。
その前にも秘仏の話とか、オカルトとか。
他にもいろいろ話題は出たが。
地下で遺体が出る件と繋がるのか?
と言ったら、どれもこれも繋がらない。
ついでに、依杏自身が気絶した理由についても。
その現場になった本堂に、近づきつつあり。
今、中には遺体がある。
人間の遺体だ。
数登珊牙は、葬儀屋である。
彼は。遺体には慣れているだろうな。
と、依杏は思い。
私には、到底無理。
彼は、何を思うのか。
あとは刑事に、釆原凰介さんは記者という面々。
ここにいる全員、遺体に慣れていそう。
慣れていないのは、私だけである。
とか依杏は思う。
岩撫は言った。
「数登さん。今、あなたの部屋はどうなってますかね」
数登は顔を上げたが、分からない。
という様子。
「いや、突然でしたからね」
と岩撫。
茶封筒の件。
数登はいずれにしても、鐘搗深記子に勘当を食らったわけで。
泊まりで仕事をする面々というのは、アルバイト以外にも慈満寺には居るのかもしれない。
数登さんが、その一人か。
依杏は聞きながら思った。
「その辺は、私も手を回してみましょうかね。深記子さんへ」
「有難い」
と数登。
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「ええ。分かってますよ。独自調査? の点もね」
と岩撫。
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