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第一章
3-7 平兵士は窮地へ陥る
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オーガ、というモンスターについて説明をしておこう。
全長は2mを軽く越え、頭には角があり、緑色の肌をしている。さらに上位種などもいるが、小鬼どもの親玉、という認識が正しいだろう。
本来ならば、オーガがゴブリンを率いて、ゴブリンがコブリンを捨て駒にする。それが、彼らの戦い方だ。
知性についだが、オーガはゴブリンよりも頭が良いとは言えない。ただ、圧倒的に身体能力が上の存在であり、戦闘本能が強かったった。
現在、オーガ三体と複数のゴブリンと、山賊たちが戦っている。炎の中から出ようとする個体を、炎の外から攻撃する、という方法をとっていた。
「わたしは壁に集中するわ。壊されそうになったら魔法を使う。絶対に通さないから安心してちょうだい!」
「自分は勇者様の護衛をする。正面は任せろ。左右は頼んだ」
「ラールラララララ!」
「バッカ野郎。突撃しろって言われてねぇだろ」
突撃しかけた山賊の一人が、頭を叩かれ止められる。もしかしたら新兵なのかもしれない。
どこか温かい気持ち見ていたのだが、「パチリ」と音が聞こえ、そのすぐ後の地響きで顔を上げた。
三体のオーガたちが、地面に棍棒を打ち付け、炎を潰していく。消しているのではない。潰し、散らし、結果として消えている部分もある、という乱雑さだ。
「足だ! オーガは足を狙え! 倒れればこっちのもんだ!」
確かにオーガ相手には基本戦術だろう。
しかし、かなり厳しい状況と言える。ゴブリンの数は減っているが、オーガはほぼ無傷。頑強な体は魔法も矢も通さず――。
「《アクア・ドロップ》と《アース》からの《マッド・ジャマー》!」
状況を変えようとしていたオーガの足が、泥の中へずぶりと埋まる。彼らほどの筋力があれば抜け出すことは可能。だが、簡単なことでもないようだ。
俺は振り向き、勇者様へ厳しい目を向けた。
「ラックスさん? お腹でも痛いの?」
「違います。怒っているんです」
「なにかあったの?」
まるで理解していないのか、勇者様はキョトンとした表情。俺はさらに顔を険しくした。
「壁を見ている、と言っていましたよね?」
「えぇ、でも大丈夫そうだから、援護をするべきだと判断したのよ。いい仕事をしたと思わない?」
「思います。ですが、正しいとは言えません」
「……どういうこと?」
勇者様は実戦経験が乏しい。だからこそ、俺は心を鬼にして言わなければならないのだ。本当に辛いが、それも仲間としての務めだろう。
「確かに形勢は優位になりましたが、不利だったわけではありません。でしたら、魔力を温存しておくことが正しいです。ついこの間、ご自分が倒れられたのを忘れたんですか?」
彼女は賢い。だから言葉の意味を理解し、反省してくれる。一時的に怒った風に言えば、それで終わる話だ。
そう思っていたのに、勇者様はムッとした表情を見せた。
「わたしだってちゃんと考えてやっているわ。なるべく怪我人を出したくないという思いもあった
し、魔力量だって考えている。それなのに、そういう言い方をされるのは気分が良くないわ」
分かってくれると思っていた。だが、分かってもらえなかった。
それはまだお互いへの理解が……ようするに、俺はムッとした。
「確かにミサキお嬢様はすごい方です! しかし、いまだ経験不足なことは事実! ここは自分の意見をちゃんと聞いてください!」
「聞いているわよ! でも、過保護すぎると言っているの! わたしにはわたしの考えがあり、無理をしたとは思っていないわ!」
「もっと先の展開を考えて動かなければならないのです!」
「はいはい、そうですね。どうせわたしは戦うことに乗り気じゃなかったし、頼りにならないのよね!」
「そのことを責めたこともなければ、今後も責めるつもりはありません! 頼りにだってしています! ただ、なにかあれば自分が必ずあなたを守りますが、余裕をもった行動をとりましょう、と言っているんですよ!」
「……」
ここまで言えば分かってくれたか!? 戦闘中に声を荒げてしまったことは良くなかったが、必要なことでもあった。
ふぅ、と小さく深呼吸をしてから勇者様を見る。彼女はなぜか真っ赤になっている顔を。両手で覆っていた。
「いや、そうね、うん、分かった。わたしが良くなかったわ。ごめんなさい。ちゃんと余力を残すわ」
「え、えぇ、分かってくれればいいんです」
急に素直になられて戸惑っていると、山賊の一人が肩に手を乗せる。
「あんちゃんは罪な男だな。誤解を招くタイプだ」
「は? 誤解? なんのことだ?」
「えぇ、わたしもそう思うわ。いるのよね、こういう人。善意全開で伝えてくるの。自分がなにを言ったかとか、あまり考えていないのよね。……はぁ、あっついわぁ」
「「わかるわかる」」
俺には分からないのだが、山賊たちには分かるらしい。
『わかるわかる』
妖精さんにも分かるようだ。
ただ俺だけが分からず、一人取り残されたような気持ちだった。寂しい。
戦況は良い。山賊たちは統率がとれており、泥沼地帯を抜け出そうとしているオーガに飛び掛かり、そのまま仕留めてしまった。オーガは残り二体。
そしてそのオーガの遺体や、味方の魔法で足場を作り、不自由な動きしかできない敵を削っていく。
「この世界の山賊って、あんなに強いの?」
驚いた様子の勇者様へ、笑顔で答える。
「あ、あんなの全然大したことないですから! 王国兵はもっと強いですよ! 強兵舐めんなよって感じですし!」
「つまり、強いってことね」
その通りなので否定し辛いが、敢えて口には出さない。
恐らくだが、彼らは特別な訓練を受けている。しかし、一体どこで? 不思議でしょうがなかった。
このまま山賊たちに戦闘を任せ、自分たちは壁の維持。
予備戦力として待機しているだけかなぁ……と思っていたのだが、勇者様に腕を引っ張られた。
「どうかしました?」
「なにか、変な音がするのよ。ほら、この辺り」
言われた場所に立てば、確かに妙な音がする。殴っているような、削っているような、砕いているような。
しかも、徐々に近づいてきている。……近づいて?
ようやくそこで、ハッと気付いた。
「ここにも壁――間に合わない! ミサキお嬢様を先頭に、全員下がれ! 殿は俺がやる!」
「え? え?」
「どした?」
「下がる? 壁はどうすんだ?」
「いいから下がれ!」
ガラッと音がしてなにかが崩れ落ちる。恐る恐る目を向ければ、小さく空いた穴の先に、光る眼があった。
「横穴を掘っていたの!? ま、魔法でえっと、その、間に合わないわ! 撤退よ!」
マズい状況だと理解してくれたらしく、その場の全員が撤退を始める。俺も気休めに魔法で壁を作って下がったのだが、一撃の元に粉砕された。オーガ、ヤバイ。
「バカ野郎! 細道なら、そこを抑えるべきだろ!」
「……あ」
すでに手遅れであるが、山賊の頭が言った通りだ。
一体ずつ通るほどの穴が開いたのであれば、出て来たところを囲んで一体ずつ始末するべきだった。
失敗、また失敗。勇者様に偉そうな口を叩きながら、失敗ばかりを重ねている。所詮、平兵士。勇者様の仲間だなどと恥ずかしくて言えやしない。
歯痒く思い、強く噛み締める。できるだけのことをやっているつもりなのに、なにもできていない。
あの時だってそうだ。俺が勇者様の異変に気付いていれば、オルベリアを打ち取ることだって可能だったかもしれない。
そんなことを考えてしまったからだろうか。気付けば足は止まっており、体は振り向いていた。
「ラックスさん!?」
「時間を稼ぎます! 体勢を立て直してください!」
「一人じゃ無茶よ!」
「分かってます! だから、援護をお願いします!」
オーガは一体。だが、その攻撃は防げない。しかし、ゴブリンならば相手取れる。
うまくゴブリンたちをオーガの前に誘導し、戦闘を行う。俺だって訓練を受けて来た。大物を倒せなくとも、ゴブリンの数体ならば戦えるはずだ。
一匹、二匹、三匹と増えていくゴブリンたちの相手をしながら下がる。
なによりもオーガとの距離を重視。やつの攻撃さえ食らわなければ戦える。
『しまった! 横だ!』
横? と左を見る。右から音がして、咄嗟に盾を出したが、気付けば宙を舞っていた。
地面に落ち、混乱したまま考える。
盾は壊れた。剣は失っている。右の壁からオーガが現れた。穴は一つでは無かったらしい。
ゴボリと血を吐き出し、籠手で拭う。まだ鎧とこの身がある。なぜ、自分の力の無さを、今さら恥じたのか。
思えば、勇者様の行動に苦言をしたときもそうだ。
彼女は勇者で、その行動を補佐すると決めていたのに、忠臣とでも言わんばかりに具申をした。それも感情を制御できていなかったからだ。
『精神干、すま、ちか、会話』
ぷつり、と妖精さんの声が切れる。これは前にも経験したことがあった。どうやら妖精さんは、長時間話すことができないらしく、限界を来すと、こうなってしまうのだ。
――では、状況を確認しよう。
地面は泥沼。目の前には二体のオーガと複数のゴブリン。
どうやら絶体絶命の状況に追いやられたようだった。
全長は2mを軽く越え、頭には角があり、緑色の肌をしている。さらに上位種などもいるが、小鬼どもの親玉、という認識が正しいだろう。
本来ならば、オーガがゴブリンを率いて、ゴブリンがコブリンを捨て駒にする。それが、彼らの戦い方だ。
知性についだが、オーガはゴブリンよりも頭が良いとは言えない。ただ、圧倒的に身体能力が上の存在であり、戦闘本能が強かったった。
現在、オーガ三体と複数のゴブリンと、山賊たちが戦っている。炎の中から出ようとする個体を、炎の外から攻撃する、という方法をとっていた。
「わたしは壁に集中するわ。壊されそうになったら魔法を使う。絶対に通さないから安心してちょうだい!」
「自分は勇者様の護衛をする。正面は任せろ。左右は頼んだ」
「ラールラララララ!」
「バッカ野郎。突撃しろって言われてねぇだろ」
突撃しかけた山賊の一人が、頭を叩かれ止められる。もしかしたら新兵なのかもしれない。
どこか温かい気持ち見ていたのだが、「パチリ」と音が聞こえ、そのすぐ後の地響きで顔を上げた。
三体のオーガたちが、地面に棍棒を打ち付け、炎を潰していく。消しているのではない。潰し、散らし、結果として消えている部分もある、という乱雑さだ。
「足だ! オーガは足を狙え! 倒れればこっちのもんだ!」
確かにオーガ相手には基本戦術だろう。
しかし、かなり厳しい状況と言える。ゴブリンの数は減っているが、オーガはほぼ無傷。頑強な体は魔法も矢も通さず――。
「《アクア・ドロップ》と《アース》からの《マッド・ジャマー》!」
状況を変えようとしていたオーガの足が、泥の中へずぶりと埋まる。彼らほどの筋力があれば抜け出すことは可能。だが、簡単なことでもないようだ。
俺は振り向き、勇者様へ厳しい目を向けた。
「ラックスさん? お腹でも痛いの?」
「違います。怒っているんです」
「なにかあったの?」
まるで理解していないのか、勇者様はキョトンとした表情。俺はさらに顔を険しくした。
「壁を見ている、と言っていましたよね?」
「えぇ、でも大丈夫そうだから、援護をするべきだと判断したのよ。いい仕事をしたと思わない?」
「思います。ですが、正しいとは言えません」
「……どういうこと?」
勇者様は実戦経験が乏しい。だからこそ、俺は心を鬼にして言わなければならないのだ。本当に辛いが、それも仲間としての務めだろう。
「確かに形勢は優位になりましたが、不利だったわけではありません。でしたら、魔力を温存しておくことが正しいです。ついこの間、ご自分が倒れられたのを忘れたんですか?」
彼女は賢い。だから言葉の意味を理解し、反省してくれる。一時的に怒った風に言えば、それで終わる話だ。
そう思っていたのに、勇者様はムッとした表情を見せた。
「わたしだってちゃんと考えてやっているわ。なるべく怪我人を出したくないという思いもあった
し、魔力量だって考えている。それなのに、そういう言い方をされるのは気分が良くないわ」
分かってくれると思っていた。だが、分かってもらえなかった。
それはまだお互いへの理解が……ようするに、俺はムッとした。
「確かにミサキお嬢様はすごい方です! しかし、いまだ経験不足なことは事実! ここは自分の意見をちゃんと聞いてください!」
「聞いているわよ! でも、過保護すぎると言っているの! わたしにはわたしの考えがあり、無理をしたとは思っていないわ!」
「もっと先の展開を考えて動かなければならないのです!」
「はいはい、そうですね。どうせわたしは戦うことに乗り気じゃなかったし、頼りにならないのよね!」
「そのことを責めたこともなければ、今後も責めるつもりはありません! 頼りにだってしています! ただ、なにかあれば自分が必ずあなたを守りますが、余裕をもった行動をとりましょう、と言っているんですよ!」
「……」
ここまで言えば分かってくれたか!? 戦闘中に声を荒げてしまったことは良くなかったが、必要なことでもあった。
ふぅ、と小さく深呼吸をしてから勇者様を見る。彼女はなぜか真っ赤になっている顔を。両手で覆っていた。
「いや、そうね、うん、分かった。わたしが良くなかったわ。ごめんなさい。ちゃんと余力を残すわ」
「え、えぇ、分かってくれればいいんです」
急に素直になられて戸惑っていると、山賊の一人が肩に手を乗せる。
「あんちゃんは罪な男だな。誤解を招くタイプだ」
「は? 誤解? なんのことだ?」
「えぇ、わたしもそう思うわ。いるのよね、こういう人。善意全開で伝えてくるの。自分がなにを言ったかとか、あまり考えていないのよね。……はぁ、あっついわぁ」
「「わかるわかる」」
俺には分からないのだが、山賊たちには分かるらしい。
『わかるわかる』
妖精さんにも分かるようだ。
ただ俺だけが分からず、一人取り残されたような気持ちだった。寂しい。
戦況は良い。山賊たちは統率がとれており、泥沼地帯を抜け出そうとしているオーガに飛び掛かり、そのまま仕留めてしまった。オーガは残り二体。
そしてそのオーガの遺体や、味方の魔法で足場を作り、不自由な動きしかできない敵を削っていく。
「この世界の山賊って、あんなに強いの?」
驚いた様子の勇者様へ、笑顔で答える。
「あ、あんなの全然大したことないですから! 王国兵はもっと強いですよ! 強兵舐めんなよって感じですし!」
「つまり、強いってことね」
その通りなので否定し辛いが、敢えて口には出さない。
恐らくだが、彼らは特別な訓練を受けている。しかし、一体どこで? 不思議でしょうがなかった。
このまま山賊たちに戦闘を任せ、自分たちは壁の維持。
予備戦力として待機しているだけかなぁ……と思っていたのだが、勇者様に腕を引っ張られた。
「どうかしました?」
「なにか、変な音がするのよ。ほら、この辺り」
言われた場所に立てば、確かに妙な音がする。殴っているような、削っているような、砕いているような。
しかも、徐々に近づいてきている。……近づいて?
ようやくそこで、ハッと気付いた。
「ここにも壁――間に合わない! ミサキお嬢様を先頭に、全員下がれ! 殿は俺がやる!」
「え? え?」
「どした?」
「下がる? 壁はどうすんだ?」
「いいから下がれ!」
ガラッと音がしてなにかが崩れ落ちる。恐る恐る目を向ければ、小さく空いた穴の先に、光る眼があった。
「横穴を掘っていたの!? ま、魔法でえっと、その、間に合わないわ! 撤退よ!」
マズい状況だと理解してくれたらしく、その場の全員が撤退を始める。俺も気休めに魔法で壁を作って下がったのだが、一撃の元に粉砕された。オーガ、ヤバイ。
「バカ野郎! 細道なら、そこを抑えるべきだろ!」
「……あ」
すでに手遅れであるが、山賊の頭が言った通りだ。
一体ずつ通るほどの穴が開いたのであれば、出て来たところを囲んで一体ずつ始末するべきだった。
失敗、また失敗。勇者様に偉そうな口を叩きながら、失敗ばかりを重ねている。所詮、平兵士。勇者様の仲間だなどと恥ずかしくて言えやしない。
歯痒く思い、強く噛み締める。できるだけのことをやっているつもりなのに、なにもできていない。
あの時だってそうだ。俺が勇者様の異変に気付いていれば、オルベリアを打ち取ることだって可能だったかもしれない。
そんなことを考えてしまったからだろうか。気付けば足は止まっており、体は振り向いていた。
「ラックスさん!?」
「時間を稼ぎます! 体勢を立て直してください!」
「一人じゃ無茶よ!」
「分かってます! だから、援護をお願いします!」
オーガは一体。だが、その攻撃は防げない。しかし、ゴブリンならば相手取れる。
うまくゴブリンたちをオーガの前に誘導し、戦闘を行う。俺だって訓練を受けて来た。大物を倒せなくとも、ゴブリンの数体ならば戦えるはずだ。
一匹、二匹、三匹と増えていくゴブリンたちの相手をしながら下がる。
なによりもオーガとの距離を重視。やつの攻撃さえ食らわなければ戦える。
『しまった! 横だ!』
横? と左を見る。右から音がして、咄嗟に盾を出したが、気付けば宙を舞っていた。
地面に落ち、混乱したまま考える。
盾は壊れた。剣は失っている。右の壁からオーガが現れた。穴は一つでは無かったらしい。
ゴボリと血を吐き出し、籠手で拭う。まだ鎧とこの身がある。なぜ、自分の力の無さを、今さら恥じたのか。
思えば、勇者様の行動に苦言をしたときもそうだ。
彼女は勇者で、その行動を補佐すると決めていたのに、忠臣とでも言わんばかりに具申をした。それも感情を制御できていなかったからだ。
『精神干、すま、ちか、会話』
ぷつり、と妖精さんの声が切れる。これは前にも経験したことがあった。どうやら妖精さんは、長時間話すことができないらしく、限界を来すと、こうなってしまうのだ。
――では、状況を確認しよう。
地面は泥沼。目の前には二体のオーガと複数のゴブリン。
どうやら絶体絶命の状況に追いやられたようだった。
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