47 / 51
最終章
6-3 混沌とした状況を、さらに混沌とさせるもの
しおりを挟む
魔王城の一室で、困惑したまま言う。
「なんなのよ、これ」
少しでも自分を落ち着かせようと、この数日で起きたことを何度も思い返していた。
シルド=パーガトリーを倒した後、両陣営の軍は撤退した。
人間側は優勢な状況で下がることに異を唱えたが、ヘクトル様が一睨みしたら誰も口を開くことは無かった。ヘクトル様はとても怖いようだ。
それからわたしたちは、ラックスさんが有翼人に攫われたのであろうことは分かっていたので、取り返す算段を立てていた。
ラックスさんとエルは繋がっており、彼が浮遊大陸にいることは分かっていたのだが……、取り戻す方法についての会議は難航した。まず、どうやって行くか、ということが問題となったのだ。
そしてそれを考えているうちに、二人の繋がりがほぼ断ち切られる。なにか起きたことは明白であり、空を飛べる少数での強襲作戦を考えていた。
しかし、ここでさらに大きな問題が起きる。
――浮遊大陸が落ちたのだ。
誰も想定などできない展開。エルやベーヴェどころでなく、あの何事にも動じないヘクトル様までも愕然としていたくらいだ。
そして、ここから次々と問題が続いていく。
まず、魔貴族が殺された。一人や二人ではない。エルの体を保有していた全ての魔貴族が、だ。
しかも殺した相手は、空から降って来たとか、すぐに飛び去ったとか、訳が分からない情報しかない。
良かったことは、労せずしてエルの体が全て取り戻せそう、ということだろうか。わたしたちにとっては都合の良いことだ。
このとき、少しだけ考えた。もしかしたら謎の存在はラックスさんで、わたしたちのために動いてくれているのでは? と。
だが、その考えは次に届いた報告で消え去った。
「アグラ様が重傷を負いました。命に別状はありませんが、その……」
「ハッキリ告げよ」
エルの鋭い眼光で見られ、報告を行っていた魔族が体を震わせる。だが、ゆっくりと続きを述べた。
「意識が朦朧としているのか、なにも食べず、飲まず、動かず、語りません」
「……分かった。無理にでも、ここへ連れて来い」
「はっ」
事態の展開についていけず、頭を抱える。ただラックスさんを助けに行きたかっただけなのに、それを上回るなにかが起きていた。
顔を両手で覆いながら、落ち着け、落ち着け、と自分へ言い聞かせる。だが混乱が収まることはなく、叫びだしたい気持ちのままでいた。
ソファへ腰かけていたヘクトル様が、ツイッと顔を動かす。
「ベーヴェ。一つ聞きたいのだが、アグラという魔貴族は確か、魔王軍の大将軍ではなかったか?」
「……えぇ、そうです。あらゆる将軍たちの上に立っていた大将軍であり、魔王軍のナンバースリーです」
え? アグラさんってそんなにすごい人だったの?
驚きながら話を聞いていると、ベーヴェが苦渋の表情で言った。
「姉上、自分に次ぐ実力者です。魔剣ツヴァンツィヒを所有しており、相手が有翼人であろうと遅れはとりません」
つまり、それは――。
「相手はアグラ大将軍に勝利する実力者であり、力を取り戻したベーヴェと、これから力を取り戻す魔王エルをも越える力を持っているかもしれない、ということでいいかな?」
「姉上より強い者などはいない!」
ベーヴェが激高する。それは、エルへの絶対の信頼であり、彼にとっての柱でもあったのだろう。
触れてはならないと思ったのか、ヘクトル様もそれ以上は追及しなかった。
「アグラ様をお連れしました」
「入れ」
二人の会話に参加せず沈黙を保っていたエルが、アグラさんの入室を許可する。
だがその姿を見て、わたしは背筋が冷たくなった。
肩を借りて歩き、ソファへ座る。だがそのまま顔を上げることもなく、瞳にも光が無い。前に会った、自信に満ち溢れていた彼女の姿は、面影すらなかった。
エルは彼女へ近づき、その頬へ優しく触れた。
「アグラ。吾だ。何があった」
「……」
「答えてくれ、友よ。……頼む」
それは、なにかを聞き出そうとしているというよりも、声を聞かせてほしいと懇願しているように見えた。
長い付き合いであり、信頼できる相手だと言っていた。
彼女にとってアグラは、親友と呼べる相手なのだろう。心配するのは当然だ。
想いが届いたのか、答えようと思ったのか。顔を伏せたまま、アグラは静かに口を開いた。
「負けた。完膚無きまでに」
「……相手は何人だ?」
「やめろ、エル。そういう次元の話ではない。私は全力で戦った。なんなら奇襲を仕掛け、有利な状況でありながらも敗北した。……そして、見逃されたんだ。生き残ったのではない。ただ殺すのではなく、メッセンジャーとするためだけに、生かされたのだ」
「そんなはずが――」
「雑魚、だと」
空虚な瞳で、乾いた声で、アグラさんが笑う。
「負けたことが無かったとは言わない。だが、誰が相手であろうと、必ず負けるなどということはない。1%でも勝つ可能性はある。そういった自信が、私の誇りだった。彼の魔王にすら一方的に蹂躙されないというのが、私の唯一の支えだったのだ」
「アグラ……」
「だが、負けた。負けたのだよ、私は。……『災厄』と名乗ったあれに、私は勝てない。千回戦おうと、千年修業をしようと、決して届かない。必ず殺すと虚勢を張ったが、冷静になった今ならばハッキリと分かる。あれは、誰にも倒せぬよ」
ポツリ、ポツリと、アグラは『災厄』の情報を述べる。聞けば聞くほど、チート能力を盛り合わせ、さらにまだなにかを隠しているような、隠しボスのような存在だった。
だがそれを聞き、闘志を漲らせた人がいた。
「――面白い。僕が戦おう」
目を爛々と輝かせているヘクトル様に、アグラは冷ややかな目を向ける。
「やめておけ。勝てぬ」
「敵である。しかも、強敵である。……それだけで、戦う理由は十分だ」
止めることはできない。そもそも、この場で最強の人物だ。やると言い出せば、止められる人がいなかった。……一人を除いて。
全員の視線が、わたしに集まる。なにを言いたいのかは、言わずとも分かっていた。
「うぅぅ……。あの、ヘクトル様」
「なんでしょうか」
「その、『災厄』は倒さないといけません。ですが、一人で戦うのはダメです。なんか世界がヤバい感じですし、エルが体を取り戻し、ラックスさんを助け出してからにしましょう」
「……」
ヘクトル様は眉根を寄せ、口も尖らせていた。敵に飢えているのだろう。戦わせてもらえないことが不満だと、全身で表していた。
なにか妥協案をと考え、わたしはたどたどしく言葉を紡ぐ。
「あの、それなら、こういうのはどうでしょうか」
「どういうのですか?」
「最初はヘクトル様が一対一で戦ってください。でも勝てなさそうだと判断したら、我々も介入します」
「ふむ」
「あの、勝てるならいいです。でも勝てないと分かったら、死なないようにしてください。ヘクトル様は、こちらの最高戦力の一人です。いてくれないと困ります」
「困ります、か。……そこら辺が落としどころですかね。了承しました」
思っていたよりも簡単に受け入れてくれたと、一人安心する。
しかし、事態はさらに急展開を告げた。
「失礼いたします!」
「何事ですか」
答えたベーヴェに対し、ノックも忘れて入ってきた兵士が言う。
「浮遊大陸より有翼人が来ております。『災厄』を討つため、手を結びたい。魔王様へ伝えてほしい、とのことです!」
エルとベーヴェの気が張りつめ、室内がピリッとする。
もうわたしの頭はパンクしそうで、こんなときにこそラックスさんがいてほしいと、少し泣きそうになっていた。
「なんなのよ、これ」
少しでも自分を落ち着かせようと、この数日で起きたことを何度も思い返していた。
シルド=パーガトリーを倒した後、両陣営の軍は撤退した。
人間側は優勢な状況で下がることに異を唱えたが、ヘクトル様が一睨みしたら誰も口を開くことは無かった。ヘクトル様はとても怖いようだ。
それからわたしたちは、ラックスさんが有翼人に攫われたのであろうことは分かっていたので、取り返す算段を立てていた。
ラックスさんとエルは繋がっており、彼が浮遊大陸にいることは分かっていたのだが……、取り戻す方法についての会議は難航した。まず、どうやって行くか、ということが問題となったのだ。
そしてそれを考えているうちに、二人の繋がりがほぼ断ち切られる。なにか起きたことは明白であり、空を飛べる少数での強襲作戦を考えていた。
しかし、ここでさらに大きな問題が起きる。
――浮遊大陸が落ちたのだ。
誰も想定などできない展開。エルやベーヴェどころでなく、あの何事にも動じないヘクトル様までも愕然としていたくらいだ。
そして、ここから次々と問題が続いていく。
まず、魔貴族が殺された。一人や二人ではない。エルの体を保有していた全ての魔貴族が、だ。
しかも殺した相手は、空から降って来たとか、すぐに飛び去ったとか、訳が分からない情報しかない。
良かったことは、労せずしてエルの体が全て取り戻せそう、ということだろうか。わたしたちにとっては都合の良いことだ。
このとき、少しだけ考えた。もしかしたら謎の存在はラックスさんで、わたしたちのために動いてくれているのでは? と。
だが、その考えは次に届いた報告で消え去った。
「アグラ様が重傷を負いました。命に別状はありませんが、その……」
「ハッキリ告げよ」
エルの鋭い眼光で見られ、報告を行っていた魔族が体を震わせる。だが、ゆっくりと続きを述べた。
「意識が朦朧としているのか、なにも食べず、飲まず、動かず、語りません」
「……分かった。無理にでも、ここへ連れて来い」
「はっ」
事態の展開についていけず、頭を抱える。ただラックスさんを助けに行きたかっただけなのに、それを上回るなにかが起きていた。
顔を両手で覆いながら、落ち着け、落ち着け、と自分へ言い聞かせる。だが混乱が収まることはなく、叫びだしたい気持ちのままでいた。
ソファへ腰かけていたヘクトル様が、ツイッと顔を動かす。
「ベーヴェ。一つ聞きたいのだが、アグラという魔貴族は確か、魔王軍の大将軍ではなかったか?」
「……えぇ、そうです。あらゆる将軍たちの上に立っていた大将軍であり、魔王軍のナンバースリーです」
え? アグラさんってそんなにすごい人だったの?
驚きながら話を聞いていると、ベーヴェが苦渋の表情で言った。
「姉上、自分に次ぐ実力者です。魔剣ツヴァンツィヒを所有しており、相手が有翼人であろうと遅れはとりません」
つまり、それは――。
「相手はアグラ大将軍に勝利する実力者であり、力を取り戻したベーヴェと、これから力を取り戻す魔王エルをも越える力を持っているかもしれない、ということでいいかな?」
「姉上より強い者などはいない!」
ベーヴェが激高する。それは、エルへの絶対の信頼であり、彼にとっての柱でもあったのだろう。
触れてはならないと思ったのか、ヘクトル様もそれ以上は追及しなかった。
「アグラ様をお連れしました」
「入れ」
二人の会話に参加せず沈黙を保っていたエルが、アグラさんの入室を許可する。
だがその姿を見て、わたしは背筋が冷たくなった。
肩を借りて歩き、ソファへ座る。だがそのまま顔を上げることもなく、瞳にも光が無い。前に会った、自信に満ち溢れていた彼女の姿は、面影すらなかった。
エルは彼女へ近づき、その頬へ優しく触れた。
「アグラ。吾だ。何があった」
「……」
「答えてくれ、友よ。……頼む」
それは、なにかを聞き出そうとしているというよりも、声を聞かせてほしいと懇願しているように見えた。
長い付き合いであり、信頼できる相手だと言っていた。
彼女にとってアグラは、親友と呼べる相手なのだろう。心配するのは当然だ。
想いが届いたのか、答えようと思ったのか。顔を伏せたまま、アグラは静かに口を開いた。
「負けた。完膚無きまでに」
「……相手は何人だ?」
「やめろ、エル。そういう次元の話ではない。私は全力で戦った。なんなら奇襲を仕掛け、有利な状況でありながらも敗北した。……そして、見逃されたんだ。生き残ったのではない。ただ殺すのではなく、メッセンジャーとするためだけに、生かされたのだ」
「そんなはずが――」
「雑魚、だと」
空虚な瞳で、乾いた声で、アグラさんが笑う。
「負けたことが無かったとは言わない。だが、誰が相手であろうと、必ず負けるなどということはない。1%でも勝つ可能性はある。そういった自信が、私の誇りだった。彼の魔王にすら一方的に蹂躙されないというのが、私の唯一の支えだったのだ」
「アグラ……」
「だが、負けた。負けたのだよ、私は。……『災厄』と名乗ったあれに、私は勝てない。千回戦おうと、千年修業をしようと、決して届かない。必ず殺すと虚勢を張ったが、冷静になった今ならばハッキリと分かる。あれは、誰にも倒せぬよ」
ポツリ、ポツリと、アグラは『災厄』の情報を述べる。聞けば聞くほど、チート能力を盛り合わせ、さらにまだなにかを隠しているような、隠しボスのような存在だった。
だがそれを聞き、闘志を漲らせた人がいた。
「――面白い。僕が戦おう」
目を爛々と輝かせているヘクトル様に、アグラは冷ややかな目を向ける。
「やめておけ。勝てぬ」
「敵である。しかも、強敵である。……それだけで、戦う理由は十分だ」
止めることはできない。そもそも、この場で最強の人物だ。やると言い出せば、止められる人がいなかった。……一人を除いて。
全員の視線が、わたしに集まる。なにを言いたいのかは、言わずとも分かっていた。
「うぅぅ……。あの、ヘクトル様」
「なんでしょうか」
「その、『災厄』は倒さないといけません。ですが、一人で戦うのはダメです。なんか世界がヤバい感じですし、エルが体を取り戻し、ラックスさんを助け出してからにしましょう」
「……」
ヘクトル様は眉根を寄せ、口も尖らせていた。敵に飢えているのだろう。戦わせてもらえないことが不満だと、全身で表していた。
なにか妥協案をと考え、わたしはたどたどしく言葉を紡ぐ。
「あの、それなら、こういうのはどうでしょうか」
「どういうのですか?」
「最初はヘクトル様が一対一で戦ってください。でも勝てなさそうだと判断したら、我々も介入します」
「ふむ」
「あの、勝てるならいいです。でも勝てないと分かったら、死なないようにしてください。ヘクトル様は、こちらの最高戦力の一人です。いてくれないと困ります」
「困ります、か。……そこら辺が落としどころですかね。了承しました」
思っていたよりも簡単に受け入れてくれたと、一人安心する。
しかし、事態はさらに急展開を告げた。
「失礼いたします!」
「何事ですか」
答えたベーヴェに対し、ノックも忘れて入ってきた兵士が言う。
「浮遊大陸より有翼人が来ております。『災厄』を討つため、手を結びたい。魔王様へ伝えてほしい、とのことです!」
エルとベーヴェの気が張りつめ、室内がピリッとする。
もうわたしの頭はパンクしそうで、こんなときにこそラックスさんがいてほしいと、少し泣きそうになっていた。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』
放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。
「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」
身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。
冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。
「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」
得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。
これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。
SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~
草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。
レアらしくて、成長が異常に早いよ。
せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。
出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした
たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。
死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる