27 / 105
第二章
27:銀貨一枚の繋がり
しおりを挟む
浅いところとはいえ、魔樹の森は薄暗く不気味な場所だった。
冷たく湿った空気が頬を撫で、鳥や獣、虫の音の他に得体の知れない唸り声が響いてくる。
ノーラは小さい頃に何度か来た事があるが、父という頼れる存在なき今は緊張感が段違いだった。
「いかにも何か出てきそうな場所だな」
「実際に色々いますからね。例えば小竜はじっと動かず岩や地面に擬態して、獲物が来たら飛びかかるという習性が――」
「ノーラちゃん危ない!」
「へっ!?」
ジエットがノーラの前に躍り出るや、突然飛びかかってきた小竜を素手で受け止めた。
素早く首に腕を回し、背中に乗って全身で絞め上げる。
「大丈夫? ケガしてない?」
「あ、はい……大丈夫です……」
ずれた眼鏡を指で整え、ノーラは目の前の光景をまじまじと見る。
背中からミシミシと音を立て、小竜が泡を噴いている。体格で勝っているはずなのに、力はジエットに分があるようだ。
やがて絞め落とした小竜をドシャリと下ろし、ジエットは額の汗を拭った。
「ふぅ……危なかったね」
「さすが熊獣人のハーフですね……。あんな一瞬で小竜を組み伏せるなんて……」
「でもちょっとかわいそうな事したかなぁ。尻尾をもらうだけでもよかったんだけど」
知らぬ間に取れていた尻尾は少し離れたところで跳ね回っている。なまじ大きいだけに蛇がのたうち回っているようで気味が悪い。
「先に襲ってきたのはこいつだ。俺達の命を奪おうとしたんだから、当然奪われる覚悟もすべきだろう」
「レンさんの言う通りです。やらなきゃこちらがやられていましたし、小竜は農村などで人を襲う事もある危険な魔獣なので」
ノーラは皮のポーチから小さなナイフを取り出し、火球の魔法を付与する。そして小竜の腹に突き立てた。高熱の刃により血液がこぼれる事なく蒸発し、焼けた肉をスルスルと裂いていく。
「手際がいいな」
「昔お父さんの手伝いで魔獣の解体をしていましたから。今回の個体は過去にも自切した経験があるみたいですね。尻尾に骨がありません」
話しながら引き締まった小竜の腹と尻尾の肉を開き、それぞれから親指ほどの核石を刃先でえぐり出す。
「取れました」
「おお、結構大きいな!」
「砂蟲何十匹分あるかなぁ?」
「砂蟲換算はやめてくれ……」
ウニョウニョを思い出したのか錬はげっそりした顔でうなだれる。
「皮や肉も売る事はできますが、どうしますか?」
「持って行けるなら行きたいが……生臭くならないか?」
「血抜きして断面を焼けば半日くらいは大丈夫です」
「なるほど、そういう事なら持てる分だけ持って帰るか」
その時、ワンドの男子生徒が森の奥へ向けて手を動かしているのが遠目に見えた。
奥へ連れて行け、という合図だ。
冷や汗がぶわっと溢れ、焦燥感により鼓動が激しくなる。
そんなノーラの感情などつゆ知らず、錬は持ってきた魔石回路に小竜の核石を組み込み、ジエットは試し撃ちで粉々に砕けた岩を見て拍手している。
彼らを罠にはめなければ、たちまち生活苦に陥り母が奴隷になってしまう。
理屈で考えれば、カインツ達に従うしかない。そうする事でしか家族を守る術がない。
(……考え方を変えよう)
焦燥を吐き出すように、ノーラは深く重いため息をついた。
元々、ノーラは家庭教師を頼まれただけなのだ。二人とは友人でもなければ仲間でもない。
(銀貨一枚で繋がるだけの関係。そう思えば罪悪感も少しは減って、お母さんを守れる……)
迷いを振り切ろうと歩き出した時、ふと二人の視線がノーラへ向いている事に気付いた。
「これで自由研究会が存続できそうだ。助かったよ」
「ノーラちゃんのお母さんにも恩返しできるね!」
「……!」
彼らの言葉を受けて、ノーラは唇を噛み締めた。
ここで錬達を差し出したところで、現状は何も変わらない。カインツらに弱みを握られたまま、事あるごとに脅され続けるだけだ。だったら二人を巻き込む事はない。王都に住めなくなるというのなら、母を連れてどこか遠くへ逃げてしまえばいい。
(なのにあたし……どうしてこんな……っ)
どうしようもない悔しさと無力感に苛まれ、不意に足が止まった。
「どうしたの?」
小首を傾げて尋ねるジエット。けれどその優しげな顔を直視する事ができず、彼女に背を向けて走り出した。
「ノーラちゃんっ!?」
何もかもが嫌になり、ノーラは森の奥へと駆けてゆく。
いっそこのまま消えてしまえばいいのにと――
***
鉱山労働のおかげで、錬の体力はかなり付いている。
おかげで慣れない森の中であってもさほど時間をかけずノーラに追い付く事ができた。
「危ないだろ、魔獣がいるかもしれないんだぞ?」
「……」
「いきなり走り出してどうしたんだ?」
「……」
返されるのは沈黙ばかり。地べたに座り込んだノーラの瞳からはハイライトが消え、まるで世界の終わりと言わんばかりに虚ろにうなだれていた。
「何があったの?」
後から付いてきたジエットが尋ねてくる。
「今聞いてるところだ。ジエットは魔獣が襲って来ないよう警戒しててくれるか?」
「あ、うん……わかった」
状況を察したようで、ジエットは素直に周囲に目を光らせてくれる。
「隣、座るぞ?」
一人分の隙間を空けて、錬は岩に腰掛ける。すると彼女はぽつりと声を漏らした。
「……これは罠です」
「罠?」
「あなた達はカインツ様と取り巻きのワンド達に目を付けられているんです。あの人達はあたしのお母さんを人質にして、レンさんとジエットさんを探るよう脅してきました。この先に進めばどんな目にあわされるかわかりませんよ……」
「まぁ、そんな事だろうとは思ってたよ」
ここ数日ノーラの様子がおかしかったから、錬も予想はしていた事だ。そしてそれを明かした以上、もうカインツに組みするつもりはないのだろう。
「あたし……汚い人間なんです……」
「そんな事はない。母親を人質にされてたんだ、誰だって悩むさ」
なだめるように諭すが、けれどノーラは地面に目を落としたままだった。
「……レンさんは、あたしのお父さんが誰か知っていますか?」
「いや。有名人なのか?」
「シャルドレイテ侯爵様の弟です」
「……それってカインツの?」
ノーラは小さくうなずいた。
「カインツ様とは血の繋がり上、いとこになります」
「でも君は平民じゃ?」
「平民ですよ。爵位を継げるのは長子だけなので。それでもお父さんは優秀な魔法使いでしたから、王宮仕えの道もあったとか。お母さんと出会ったのはちょうどその話が持ち上がった頃だそうです」
話しながら彼女は木漏れ日の差す木々を仰いだ。
「当時、奴隷だったお母さんは虐待同然の扱いを受けていたみたいで、お父さんはそれが許せなくてお金を払って引き取ったと言ってました。それで主人と使用人として交流を深めていくうちに結婚を決意し、周囲の猛反対を押し切って一緒になったんです」
「奴隷と結婚できるのか?」
「できますよ。主人は奴隷に対する全権を持っていますから。ただ、魔力至上主義のこの世の中では、奴隷と結婚すれば出世の道は閉ざされます。そのため王宮仕えの話は立ち消え、侯爵様とも仲違いし、魔獣討伐や隊商の護衛などのハンター業で日銭を稼ぐ羽目になったんです」
「魔力至上主義か……」
以前にも聞いた言葉だ。
魔力を持つ者を至上とし、持たぬ者を亜人と蔑む主義思想。転生して以来ずっと錬を苦しめ、そして打ち倒すべき宿敵ともいえる。
「それでも五年前まではさほど問題もありませんでした。なんだかんだでシャルドレイテ家とも和解しましたし、お父さんがカインツ様の師を引き受けた事で、あたしも時折ごあいさつする程度には顔なじみになれたんです。だけど――」
ノーラは拳をぎゅっと握り締めた。
「シャルドレイテ家主催の親睦会で、お父さんは毒殺されたんです……」
「毒殺……」
物騒な言葉に一瞬、錬のこめかみに冷や汗が伝った。
「誰が毒殺したかは未だにわかっていません。でもカインツ様は、あたしのお母さんがやったと信じているみたいです」
「信じてるって……君のお母さんが夫を毒殺して何の得が?」
「お父さんが毒殺された時、シャルドレイテ侯爵様と和解した証として、果実酒のグラスを交換していたんです」
その説明を聞いて、錬は何となく状況がわかった気がした。
「交換という事は、狙われたのは侯爵の方……。つまり君のお母さんは侯爵を毒殺して、いずれ夫やノーラさんを跡継ぎにしようと目論んでいた――と思われた?」
ノーラはうなずいた。
シャルドレイテ侯爵が死に、カインツもいなくなれば、ノーラの父が侯爵を継ぐ事になる。そうなればいかに魔力なしの元奴隷といえど、ノーラの母の地位と生活は安泰になるだろう。
錬は以前家にお邪魔した時のノーラの母を思い出す。
日々の生活苦にもめげず、人当たりの良い人物だった。少なくとも権力を追い求めるような貪欲さは感じられなかった。
「とてもそんな事しそうにない人だったが……」
「はい……。だからあたしはお母さんを庇ったんです。証拠もないのに濡れ衣を着せないで、と……」
ノーラは悔しげに唇を噛み、目にうっすらと涙を浮かべる。
「それ以来、あたしとお母さんはカインツ様に目の敵にされるようになりました。お母さんは侯爵様を暗殺しようとした上に尊敬する師を死なせた憎き亜人、あたしはその亜人を利用して侯爵の座を奪い取ろうとした落ちこぼれとして」
彼女の頬に一筋の涙が伝い落ちた。
「大貴族に目を付けられた平民と、仲良くしようなんて酔狂な人はそうそういません。だから学園ではずっとひとりぼっちでした。でもレンさんやジエットさんが編入してくれたおかげで、あたしは救われたんです」
「そうだな。俺達も同じだ」
「そうじゃないんです……!」
ノーラは大きくかぶりを振った。
泣き笑いの顔で思い詰めるように眉を寄せ、肩を震わせている。
「以前の魔法試験で失敗した後、あなた達の番が最後で、心底ホッとしてたんです……! あたしは皆の前で恥をかいたけど、自分よりもっと下の人達がいる。あなた達が盛大に失敗してくれたら! あたしの失敗を覆い隠すほど皆に笑われてくれたら! そんな風に思ってたんです……っ!!」
止めどなく涙を溢れさせ、彼女は悲痛に叫ぶ。
「文字も読めない憐れな奴隷達に、勉強を教えて、優しく接して、あたしは差別しない善人なんだって悦に浸って……。そのくせお母さんの事は何もかも捨てて庇ったのに、あなた達の監視を強要された時は仕方ないと諦めて……。本当に差別していないなら、あたしはお母さんを連れて王都から逃げればよかったんです。家を売って、魔法学園なんてやめて、王宮仕えも諦めれば、生きていく事もできたはず。それで気付いたんです。あたしは自分のちっぽけなプライドを守るために、奴隷のあなた達を生贄にしようとしていた事に……。心のどこかで魔力なしを差別していた事に……! あたしはそんな汚い人間なんです……!! あなた達の前にいる資格もない卑怯者なんです……っ!!」
「ノーラさん……」
涙で顔をぐしゃぐしゃにして嗚咽を漏らすノーラ。
それから何を思ったか眼鏡を上げて目元を拭い、ポケットに手を突っ込む。そこから小さな皮袋を取り、銀貨を一枚を差し出してきた。
「これ、返します……」
「何の金だ?」
「家庭教師代です。あたしにはこれを受け取る資格がありませんから……」
ノーラの指先は震えている。この金で手打ちにしてくれと頼んでいるのだろう。
しかし錬はジエットに目配せし、首を横に振った。
「受け取らないぞ」
「どうしてですか……?」
「俺達が君にどう思われていようと、勉強を教えてもらったのは事実だ。だったらそれは君が受け取るべき正当な対価だ」
平民にとって銀貨一枚はそれなりに大金といえる。ましてや彼女は日々極貧に喘ぐ苦学生だ。家庭教師を請け負ってからおよそ二週間。使う機会などいくらでもあったろうに、罪悪感から手を付けられなかったのだろう。
「この際だから君には教えておこう。俺達は、君らが魔法具と呼ぶ機械の力で、奴隷制度を廃止させるつもりだ」
「奴隷制度の廃止……? そんなの無理に決まって……」
「できるさ」
錬は断言した。
「俺は一から魔法具を作ったんだぞ? 奴隷制度をなくす事だってできるだろ。偉そうな王族や貴族を押し退けて、奴隷の俺達が法制度を変える! 達成したらさぞかし痛快だろうな」
「私なんてこの国の第七王女だしね!」
「王女……様……? ジエットさんが?」
「うん。私の本名はジエッタニア=リィン=ヴァールハイト。七年前に死んだと思われてるみたいだけど、実は生きてたんだよ!」
ジエットもこれ見よがしに主張している。
案の定、ノーラは驚きのあまり半開きの口で目を瞬かせていた。
「それ言っちゃって良かったのか?」
「ノーラちゃんならいいよ。というかレンだって奴隷制度廃止の事を言ったじゃない」
「それもそうだな」
ジエットと一緒に笑い合う。
「そういうわけだ。ノーラさん行こうか」
「……わかりました。森の外まで案内します」
「いや、このまま奥へ行く」
「えっ!? で、でもそれじゃ罠が……」
「罠があるとわかってるんだから、こっちも準備できるさ」
錬は魔石銃を振ってみせる。
魔樹の森に行くとなった事で、再設計した新型だ。基本構造は同じだが、連射機能が新たに追加されている。
「危ないですよ。ケガでは済まない可能性だって……」
「まぁそうだな」
たしかに魔石銃は強力だが、カインツ達はすでにその存在を知っているのだ。何らかの対策を打っているのは間違いない。
ノーラは錬のガウンを摘まみ、瞳を潤ませて顔を伏せる。
「逃げてください……。あたしが余計な事をしたせいで、二人に傷付いて欲しくないんです……」
「ここで逃げたって嫌がらせが先延ばしになるだけだ。だったらあらかじめわかっている今このタイミングで対処した方がいい」
「だけど……」
「大丈夫だよ。レンは世界一の魔法使いだからね!」
「魔法使いじゃなくてエンジニアな」
「世界一は否定しないんだ?」
「だって俺以外にエンジニアはいなさそうだし」
二人して軽口を叩き合う。悲壮感などどこにもない。
「……二人とも強いんですね」
少しは気持ちが上向いたのか。ノーラは目元を腫らしながらも笑顔になる。
そして先ほどの銀貨をつまんで見せた。
「あたしは弱い人間です……。あなた達が許してくれても、すぐに自分を許す事はできません。だから家庭教師の代金は、やっぱりもらうわけにはいきません」
「いや、だからそれは君の正当な対価で――」
「はい。ですからこれはもらうのではなく、預かる事にします」
「預かる?」
ノーラはうなずく。
「あたしには、レンさんやジエットさんのそばにいる資格はありません。前向きになろうにも、迷う気持ちの方が大きいです。だけど……奴隷制度の廃止と、お母さんへの恩返し。目指す未来が同じなら、あたしはそれを見てみたい」
ノーラは銀貨を胸に抱く。
暗い森の中でそれは木漏れ日を反射し、彼女の胸元で白くきらめいた。
「だから、雇われた家庭教師としてなら……この先も一緒に前に進めるかなって」
差し出された彼女の手は震えていた。悩んだ上での事なのだろう。
「銀貨一枚で繋がる関係か。まぁ、今はそれで構わないさ」
錬が手を握り返すと、ノーラは嬉しそうに頬を染める。
しかしこれまでと違って視線を逸らさず、彼女は潤む瞳で錬を見上げた。
「雇われた以上、お二人の目標は決して潰させません。行きましょう!」
冷たく湿った空気が頬を撫で、鳥や獣、虫の音の他に得体の知れない唸り声が響いてくる。
ノーラは小さい頃に何度か来た事があるが、父という頼れる存在なき今は緊張感が段違いだった。
「いかにも何か出てきそうな場所だな」
「実際に色々いますからね。例えば小竜はじっと動かず岩や地面に擬態して、獲物が来たら飛びかかるという習性が――」
「ノーラちゃん危ない!」
「へっ!?」
ジエットがノーラの前に躍り出るや、突然飛びかかってきた小竜を素手で受け止めた。
素早く首に腕を回し、背中に乗って全身で絞め上げる。
「大丈夫? ケガしてない?」
「あ、はい……大丈夫です……」
ずれた眼鏡を指で整え、ノーラは目の前の光景をまじまじと見る。
背中からミシミシと音を立て、小竜が泡を噴いている。体格で勝っているはずなのに、力はジエットに分があるようだ。
やがて絞め落とした小竜をドシャリと下ろし、ジエットは額の汗を拭った。
「ふぅ……危なかったね」
「さすが熊獣人のハーフですね……。あんな一瞬で小竜を組み伏せるなんて……」
「でもちょっとかわいそうな事したかなぁ。尻尾をもらうだけでもよかったんだけど」
知らぬ間に取れていた尻尾は少し離れたところで跳ね回っている。なまじ大きいだけに蛇がのたうち回っているようで気味が悪い。
「先に襲ってきたのはこいつだ。俺達の命を奪おうとしたんだから、当然奪われる覚悟もすべきだろう」
「レンさんの言う通りです。やらなきゃこちらがやられていましたし、小竜は農村などで人を襲う事もある危険な魔獣なので」
ノーラは皮のポーチから小さなナイフを取り出し、火球の魔法を付与する。そして小竜の腹に突き立てた。高熱の刃により血液がこぼれる事なく蒸発し、焼けた肉をスルスルと裂いていく。
「手際がいいな」
「昔お父さんの手伝いで魔獣の解体をしていましたから。今回の個体は過去にも自切した経験があるみたいですね。尻尾に骨がありません」
話しながら引き締まった小竜の腹と尻尾の肉を開き、それぞれから親指ほどの核石を刃先でえぐり出す。
「取れました」
「おお、結構大きいな!」
「砂蟲何十匹分あるかなぁ?」
「砂蟲換算はやめてくれ……」
ウニョウニョを思い出したのか錬はげっそりした顔でうなだれる。
「皮や肉も売る事はできますが、どうしますか?」
「持って行けるなら行きたいが……生臭くならないか?」
「血抜きして断面を焼けば半日くらいは大丈夫です」
「なるほど、そういう事なら持てる分だけ持って帰るか」
その時、ワンドの男子生徒が森の奥へ向けて手を動かしているのが遠目に見えた。
奥へ連れて行け、という合図だ。
冷や汗がぶわっと溢れ、焦燥感により鼓動が激しくなる。
そんなノーラの感情などつゆ知らず、錬は持ってきた魔石回路に小竜の核石を組み込み、ジエットは試し撃ちで粉々に砕けた岩を見て拍手している。
彼らを罠にはめなければ、たちまち生活苦に陥り母が奴隷になってしまう。
理屈で考えれば、カインツ達に従うしかない。そうする事でしか家族を守る術がない。
(……考え方を変えよう)
焦燥を吐き出すように、ノーラは深く重いため息をついた。
元々、ノーラは家庭教師を頼まれただけなのだ。二人とは友人でもなければ仲間でもない。
(銀貨一枚で繋がるだけの関係。そう思えば罪悪感も少しは減って、お母さんを守れる……)
迷いを振り切ろうと歩き出した時、ふと二人の視線がノーラへ向いている事に気付いた。
「これで自由研究会が存続できそうだ。助かったよ」
「ノーラちゃんのお母さんにも恩返しできるね!」
「……!」
彼らの言葉を受けて、ノーラは唇を噛み締めた。
ここで錬達を差し出したところで、現状は何も変わらない。カインツらに弱みを握られたまま、事あるごとに脅され続けるだけだ。だったら二人を巻き込む事はない。王都に住めなくなるというのなら、母を連れてどこか遠くへ逃げてしまえばいい。
(なのにあたし……どうしてこんな……っ)
どうしようもない悔しさと無力感に苛まれ、不意に足が止まった。
「どうしたの?」
小首を傾げて尋ねるジエット。けれどその優しげな顔を直視する事ができず、彼女に背を向けて走り出した。
「ノーラちゃんっ!?」
何もかもが嫌になり、ノーラは森の奥へと駆けてゆく。
いっそこのまま消えてしまえばいいのにと――
***
鉱山労働のおかげで、錬の体力はかなり付いている。
おかげで慣れない森の中であってもさほど時間をかけずノーラに追い付く事ができた。
「危ないだろ、魔獣がいるかもしれないんだぞ?」
「……」
「いきなり走り出してどうしたんだ?」
「……」
返されるのは沈黙ばかり。地べたに座り込んだノーラの瞳からはハイライトが消え、まるで世界の終わりと言わんばかりに虚ろにうなだれていた。
「何があったの?」
後から付いてきたジエットが尋ねてくる。
「今聞いてるところだ。ジエットは魔獣が襲って来ないよう警戒しててくれるか?」
「あ、うん……わかった」
状況を察したようで、ジエットは素直に周囲に目を光らせてくれる。
「隣、座るぞ?」
一人分の隙間を空けて、錬は岩に腰掛ける。すると彼女はぽつりと声を漏らした。
「……これは罠です」
「罠?」
「あなた達はカインツ様と取り巻きのワンド達に目を付けられているんです。あの人達はあたしのお母さんを人質にして、レンさんとジエットさんを探るよう脅してきました。この先に進めばどんな目にあわされるかわかりませんよ……」
「まぁ、そんな事だろうとは思ってたよ」
ここ数日ノーラの様子がおかしかったから、錬も予想はしていた事だ。そしてそれを明かした以上、もうカインツに組みするつもりはないのだろう。
「あたし……汚い人間なんです……」
「そんな事はない。母親を人質にされてたんだ、誰だって悩むさ」
なだめるように諭すが、けれどノーラは地面に目を落としたままだった。
「……レンさんは、あたしのお父さんが誰か知っていますか?」
「いや。有名人なのか?」
「シャルドレイテ侯爵様の弟です」
「……それってカインツの?」
ノーラは小さくうなずいた。
「カインツ様とは血の繋がり上、いとこになります」
「でも君は平民じゃ?」
「平民ですよ。爵位を継げるのは長子だけなので。それでもお父さんは優秀な魔法使いでしたから、王宮仕えの道もあったとか。お母さんと出会ったのはちょうどその話が持ち上がった頃だそうです」
話しながら彼女は木漏れ日の差す木々を仰いだ。
「当時、奴隷だったお母さんは虐待同然の扱いを受けていたみたいで、お父さんはそれが許せなくてお金を払って引き取ったと言ってました。それで主人と使用人として交流を深めていくうちに結婚を決意し、周囲の猛反対を押し切って一緒になったんです」
「奴隷と結婚できるのか?」
「できますよ。主人は奴隷に対する全権を持っていますから。ただ、魔力至上主義のこの世の中では、奴隷と結婚すれば出世の道は閉ざされます。そのため王宮仕えの話は立ち消え、侯爵様とも仲違いし、魔獣討伐や隊商の護衛などのハンター業で日銭を稼ぐ羽目になったんです」
「魔力至上主義か……」
以前にも聞いた言葉だ。
魔力を持つ者を至上とし、持たぬ者を亜人と蔑む主義思想。転生して以来ずっと錬を苦しめ、そして打ち倒すべき宿敵ともいえる。
「それでも五年前まではさほど問題もありませんでした。なんだかんだでシャルドレイテ家とも和解しましたし、お父さんがカインツ様の師を引き受けた事で、あたしも時折ごあいさつする程度には顔なじみになれたんです。だけど――」
ノーラは拳をぎゅっと握り締めた。
「シャルドレイテ家主催の親睦会で、お父さんは毒殺されたんです……」
「毒殺……」
物騒な言葉に一瞬、錬のこめかみに冷や汗が伝った。
「誰が毒殺したかは未だにわかっていません。でもカインツ様は、あたしのお母さんがやったと信じているみたいです」
「信じてるって……君のお母さんが夫を毒殺して何の得が?」
「お父さんが毒殺された時、シャルドレイテ侯爵様と和解した証として、果実酒のグラスを交換していたんです」
その説明を聞いて、錬は何となく状況がわかった気がした。
「交換という事は、狙われたのは侯爵の方……。つまり君のお母さんは侯爵を毒殺して、いずれ夫やノーラさんを跡継ぎにしようと目論んでいた――と思われた?」
ノーラはうなずいた。
シャルドレイテ侯爵が死に、カインツもいなくなれば、ノーラの父が侯爵を継ぐ事になる。そうなればいかに魔力なしの元奴隷といえど、ノーラの母の地位と生活は安泰になるだろう。
錬は以前家にお邪魔した時のノーラの母を思い出す。
日々の生活苦にもめげず、人当たりの良い人物だった。少なくとも権力を追い求めるような貪欲さは感じられなかった。
「とてもそんな事しそうにない人だったが……」
「はい……。だからあたしはお母さんを庇ったんです。証拠もないのに濡れ衣を着せないで、と……」
ノーラは悔しげに唇を噛み、目にうっすらと涙を浮かべる。
「それ以来、あたしとお母さんはカインツ様に目の敵にされるようになりました。お母さんは侯爵様を暗殺しようとした上に尊敬する師を死なせた憎き亜人、あたしはその亜人を利用して侯爵の座を奪い取ろうとした落ちこぼれとして」
彼女の頬に一筋の涙が伝い落ちた。
「大貴族に目を付けられた平民と、仲良くしようなんて酔狂な人はそうそういません。だから学園ではずっとひとりぼっちでした。でもレンさんやジエットさんが編入してくれたおかげで、あたしは救われたんです」
「そうだな。俺達も同じだ」
「そうじゃないんです……!」
ノーラは大きくかぶりを振った。
泣き笑いの顔で思い詰めるように眉を寄せ、肩を震わせている。
「以前の魔法試験で失敗した後、あなた達の番が最後で、心底ホッとしてたんです……! あたしは皆の前で恥をかいたけど、自分よりもっと下の人達がいる。あなた達が盛大に失敗してくれたら! あたしの失敗を覆い隠すほど皆に笑われてくれたら! そんな風に思ってたんです……っ!!」
止めどなく涙を溢れさせ、彼女は悲痛に叫ぶ。
「文字も読めない憐れな奴隷達に、勉強を教えて、優しく接して、あたしは差別しない善人なんだって悦に浸って……。そのくせお母さんの事は何もかも捨てて庇ったのに、あなた達の監視を強要された時は仕方ないと諦めて……。本当に差別していないなら、あたしはお母さんを連れて王都から逃げればよかったんです。家を売って、魔法学園なんてやめて、王宮仕えも諦めれば、生きていく事もできたはず。それで気付いたんです。あたしは自分のちっぽけなプライドを守るために、奴隷のあなた達を生贄にしようとしていた事に……。心のどこかで魔力なしを差別していた事に……! あたしはそんな汚い人間なんです……!! あなた達の前にいる資格もない卑怯者なんです……っ!!」
「ノーラさん……」
涙で顔をぐしゃぐしゃにして嗚咽を漏らすノーラ。
それから何を思ったか眼鏡を上げて目元を拭い、ポケットに手を突っ込む。そこから小さな皮袋を取り、銀貨を一枚を差し出してきた。
「これ、返します……」
「何の金だ?」
「家庭教師代です。あたしにはこれを受け取る資格がありませんから……」
ノーラの指先は震えている。この金で手打ちにしてくれと頼んでいるのだろう。
しかし錬はジエットに目配せし、首を横に振った。
「受け取らないぞ」
「どうしてですか……?」
「俺達が君にどう思われていようと、勉強を教えてもらったのは事実だ。だったらそれは君が受け取るべき正当な対価だ」
平民にとって銀貨一枚はそれなりに大金といえる。ましてや彼女は日々極貧に喘ぐ苦学生だ。家庭教師を請け負ってからおよそ二週間。使う機会などいくらでもあったろうに、罪悪感から手を付けられなかったのだろう。
「この際だから君には教えておこう。俺達は、君らが魔法具と呼ぶ機械の力で、奴隷制度を廃止させるつもりだ」
「奴隷制度の廃止……? そんなの無理に決まって……」
「できるさ」
錬は断言した。
「俺は一から魔法具を作ったんだぞ? 奴隷制度をなくす事だってできるだろ。偉そうな王族や貴族を押し退けて、奴隷の俺達が法制度を変える! 達成したらさぞかし痛快だろうな」
「私なんてこの国の第七王女だしね!」
「王女……様……? ジエットさんが?」
「うん。私の本名はジエッタニア=リィン=ヴァールハイト。七年前に死んだと思われてるみたいだけど、実は生きてたんだよ!」
ジエットもこれ見よがしに主張している。
案の定、ノーラは驚きのあまり半開きの口で目を瞬かせていた。
「それ言っちゃって良かったのか?」
「ノーラちゃんならいいよ。というかレンだって奴隷制度廃止の事を言ったじゃない」
「それもそうだな」
ジエットと一緒に笑い合う。
「そういうわけだ。ノーラさん行こうか」
「……わかりました。森の外まで案内します」
「いや、このまま奥へ行く」
「えっ!? で、でもそれじゃ罠が……」
「罠があるとわかってるんだから、こっちも準備できるさ」
錬は魔石銃を振ってみせる。
魔樹の森に行くとなった事で、再設計した新型だ。基本構造は同じだが、連射機能が新たに追加されている。
「危ないですよ。ケガでは済まない可能性だって……」
「まぁそうだな」
たしかに魔石銃は強力だが、カインツ達はすでにその存在を知っているのだ。何らかの対策を打っているのは間違いない。
ノーラは錬のガウンを摘まみ、瞳を潤ませて顔を伏せる。
「逃げてください……。あたしが余計な事をしたせいで、二人に傷付いて欲しくないんです……」
「ここで逃げたって嫌がらせが先延ばしになるだけだ。だったらあらかじめわかっている今このタイミングで対処した方がいい」
「だけど……」
「大丈夫だよ。レンは世界一の魔法使いだからね!」
「魔法使いじゃなくてエンジニアな」
「世界一は否定しないんだ?」
「だって俺以外にエンジニアはいなさそうだし」
二人して軽口を叩き合う。悲壮感などどこにもない。
「……二人とも強いんですね」
少しは気持ちが上向いたのか。ノーラは目元を腫らしながらも笑顔になる。
そして先ほどの銀貨をつまんで見せた。
「あたしは弱い人間です……。あなた達が許してくれても、すぐに自分を許す事はできません。だから家庭教師の代金は、やっぱりもらうわけにはいきません」
「いや、だからそれは君の正当な対価で――」
「はい。ですからこれはもらうのではなく、預かる事にします」
「預かる?」
ノーラはうなずく。
「あたしには、レンさんやジエットさんのそばにいる資格はありません。前向きになろうにも、迷う気持ちの方が大きいです。だけど……奴隷制度の廃止と、お母さんへの恩返し。目指す未来が同じなら、あたしはそれを見てみたい」
ノーラは銀貨を胸に抱く。
暗い森の中でそれは木漏れ日を反射し、彼女の胸元で白くきらめいた。
「だから、雇われた家庭教師としてなら……この先も一緒に前に進めるかなって」
差し出された彼女の手は震えていた。悩んだ上での事なのだろう。
「銀貨一枚で繋がる関係か。まぁ、今はそれで構わないさ」
錬が手を握り返すと、ノーラは嬉しそうに頬を染める。
しかしこれまでと違って視線を逸らさず、彼女は潤む瞳で錬を見上げた。
「雇われた以上、お二人の目標は決して潰させません。行きましょう!」
0
あなたにおすすめの小説
【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。
億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。
彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。
四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?
道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!
気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?
※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。
追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る
夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる