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第三章
51:自動織機の作り方
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貧民達を雇って数日が経った頃。
「本日の売り上げはこうなった」
錬が小さなコインを二枚テーブルに転がすと、ジエットとパムはそろって目を点にした。
額が小さいのではない。何しろテーブルの上にある二枚のコインは小金貨である。
「これ一日で稼いじゃったの……?」
「そうだ。貧民街の皆さんががんばってくれたおかげだな」
新たに雇った人数はおよそ五十人。パム達と合わせれば八十人もの労働力を得られた事になる。
繊維作りは最初こそ手作業だったが、魔石エンジンを貸し出す事で作業能率を上げている。
もちろんそれに対応できるよう紡績機は増やしてある。
現状では七台の紡績機が稼働しており、毎日千本以上の糸を紡いでいるのだ。
「あんちゃん、よくそんなに糸を作れたな……。どんだけイラクサを毟ってきたんだ?」
「それが貧民街には元紡糸ギルドの人が大勢いたからな。羊飼いや農家から羊毛や綿の買い付けを仲介してくれたんだよ。ゴーン商会が取引を全停止して困ってたから、俺達とぜひ取引したいって」
おかげで生産品目を増やす事ができた。紡糸ギルド様々である。
「でも糸の供給が早すぎて、さすがに織る方が追い付いてないみたいだよ。買取価格も下がっちゃったし、紡績機を増やしてもこれ以上の売り上げは見込めないんじゃない?」
「それなら心配ない。次は布を織る機械――自動織機を作る」
「えっ」
ジエットが目を丸くした。
「聞く限りだと布を織るのってかなり複雑そうだけど、どうやるの?」
「こういうのはまず、要素を分解して箇条書きにするんだ」
布を織る手順は次の通りである。
①偶数列の縦糸を上げる。
②できた隙間に横糸を通す。
③横糸を整える。
④偶数列の縦糸を下げる。
⑤奇数列の縦糸を上げる。
⑥できた隙間に横糸を通す。
⑦横糸を整える。
⑧奇数列の縦糸を下げる。
以上の八ステップを繰り返す事で、糸が布になる。
「各ステップを順にこなす装置を作れば、自動で布が仕上がるってわけ」
ふむふむ、とジエットは紙を覗き込む。
「理屈はそうだろうけど、こんなにいっぱいの動作ができるの?」
「もちろんできる。魔石エンジンを複数用意すればいいだけだな」
これまではトルクが必要な力仕事に使っていたため多気筒にしていたが、今回のような用途であれば小型の単気筒魔石エンジンでも充分だろう。
「横糸を通すのはどうやるの?」
「魔石銃で土魔法を撃つ。その衝撃で、糸を巻いた飛び杼を飛ばして縦糸の隙間を潜らせるんだ」
「横糸を整えるのは?」
「オサという櫛みたいな部品を動かして、通した横糸を押さえつける」
「う~ん……」
ジエットは難しい顔でうなる。
「何となく流れはわかるんだけど、ちゃんと順番通りに動かせるかな? タイミングがずれると糸がぐちゃぐちゃになりそう」
「それをコントロールするのが付与魔法スイッチだ」
錬は木目紙と木炭鉛筆を取り、数字を書いて見せる。
「この国では一般的に十進法が使われているようだな。〇から九までの数字があり、九に一を足すと一〇に桁上がりする。これが十進法」
「そうだね」
「でもここでは二進法を使う。〇と一の数字だけがあり、一に一を足すと一〇に桁上がりする。これが二進法」
「どうして二進法を?」
「その方が都合がいいからだ。魔力が流れない状態を〇、魔力が流れる状態を一という風に二つの状態を表せるし、魔力がちょっと流れるみたいな中途半端な状態を使わない事で誤作動を起こしにくいメリットがある」
話しながら、錬は木の板に付与魔法スイッチを二つ組み、その入力と出力をクロスさせる。
「発振器を作ってるの?」
「いや、似てるけど発振はしない。これは双安定マルチバイブレータという回路だ」
「ソウアンテイ……?」
「その名の通り、安定状態が二つある回路だよ。フリップフロップともいう」
「フリップ……?」
「シーソーみたいなもんだ。過去の出力の状態を保持するから、一ビットの記憶装置とも言える」
「……」
ジト目で唸るジエットとパム。何のための装置かわからないようだ。
「まぁ、とりあえず〇か一の状態を一つだけ記憶できるフリップフロップという装置がある事だけは覚えておいてくれ」
呆気にとられる三人をよそに、錬は更にフリップフロップを三つ作る。それらの入出力をすべて一本に繋げば完成だ。
「これでカウンタ回路ができた」
「それは何……?」
「文字通り、数をカウントする装置だ。三ビットだから二の三乗、つまり〇から七までの八つの数字を数えられる。これを使えば、どれかの数字になったら任意の魔法を発動させる、なんて事ができるようになる。ジエット、八つ数えられると何ができる?」
「八つ……あっ」
ジエットは驚いたように口元を押さえた。
「さっきの布を織る八ステップって、もしかして……?」
「そう、このカウンタ回路でコントロールする」
錬は机に魔石銃を置く。
「カウンタ回路は、パルスを入力するごとに記録された数字を一つ加算する。そしてパルスは、新型魔石銃にも使った発振器で生成できる。これを組み合わせれば、八つのステップを順に延々と繰り返す事ができる。あとは各信号を受けた場合の機械の動きを、布を織る動作になるよう設計してやればいい」
「ほへ~……」
気付けば、パムは呆然と先ほどの魔石回路を眺めていた。
「……オマエが何言ってるのかさっぱりわかんねーけど、なんかすごいな!」
「実際に作るのは大変だけどな」
自動織機はこれまで設計した中で最も複雑な機械だ。開発期間はそれなりにかかるだろう。
だがすべてを人が手作業でやっているこの世界において、自動で布を織り続ける機械は他の追随を許さぬほどの価値を生む。
奴隷の労働力を必要としない世界を作るための第一歩となるのだ。
そんな時、ドアの向こうで物音が聞こえた。
「ん? 誰かいるのか?」
「他の勉強会の人じゃない? 東館はそのための建物だし」
人気の少ない三階では珍しい事だが、たしかにそう言われればそうかもしれない。
「まぁいいか。やる事が決まったら、後は単純作業だ。さっさと作ってしまうぞ!」
「おー!」
***
新たな報告が舞い込んだのは、ドルエスト=ゴーン男爵が貴族街で服飾店を視察していた時だった。
「男爵様! 大変でございます!」
「どうした?」
「先日から魔法学園の生徒を雇ってレンという少年奴隷を監視させていたのですが、今度は布を大量生産する魔法具を作っている模様でございまして……!」
「はぁっ!?」
男爵は思わず路上ですっとんきょうな声を上げる。
「そんなバカな話があるか! 布を織るのがどれほど大変だと思っている!?」
糸を紡ぐのに一ヶ月。布を織るのに一週間。それが人の手の限界だ。
魔法具の力でそうした時間をすっ飛ばし、大量の糸や布を流通させるなどあってはならない事態である。
「仰る事はわかりますが、すでに紡糸の魔法具は大量に存在している事がわかっております。もし布を量産する魔法具が完成すれば商会の被害は甚大となりましょう。今度は糸が値上がりし、布が暴落する事態が予想されます……!」
「な、ならば糸の生産を再開だ!」
「無理です! すでに羊毛や綿の取引契約は切ってしまっております!」
「ぐぬぬぬ……ッ!!」
副商会長の言う通りならば、まさに甚大な被害である。なにせゴーン商会は現在、糸の生産を放棄し、布の生産に全力を注いでいるからだ。
もはや彼らを利用して一儲けなどとぬるい対応をしている場合ではない。一刻も早く潰さなくては。
とはいえ何の理由もなく相手の商売を叩き潰せば、貴族達の心証を悪くする。やるにしても相手を潰すに足る建前がなくてはならない。
(となると……あやつらが使えそうだな)
布の価格が暴落するという事は、織布工ギルドもまた打撃を受けるはずだ。
彼らをうまく扇動すれば、手を汚さずして錬を妨害する事も可能だろう。
「……よかろう。ならば織布工ギルドの連中にそれとなく噂を流せ。魔法学園に在学するレンという名の少年奴隷が布価格を暴落させようと目論んでいる、とな」
「御意に!」
「本日の売り上げはこうなった」
錬が小さなコインを二枚テーブルに転がすと、ジエットとパムはそろって目を点にした。
額が小さいのではない。何しろテーブルの上にある二枚のコインは小金貨である。
「これ一日で稼いじゃったの……?」
「そうだ。貧民街の皆さんががんばってくれたおかげだな」
新たに雇った人数はおよそ五十人。パム達と合わせれば八十人もの労働力を得られた事になる。
繊維作りは最初こそ手作業だったが、魔石エンジンを貸し出す事で作業能率を上げている。
もちろんそれに対応できるよう紡績機は増やしてある。
現状では七台の紡績機が稼働しており、毎日千本以上の糸を紡いでいるのだ。
「あんちゃん、よくそんなに糸を作れたな……。どんだけイラクサを毟ってきたんだ?」
「それが貧民街には元紡糸ギルドの人が大勢いたからな。羊飼いや農家から羊毛や綿の買い付けを仲介してくれたんだよ。ゴーン商会が取引を全停止して困ってたから、俺達とぜひ取引したいって」
おかげで生産品目を増やす事ができた。紡糸ギルド様々である。
「でも糸の供給が早すぎて、さすがに織る方が追い付いてないみたいだよ。買取価格も下がっちゃったし、紡績機を増やしてもこれ以上の売り上げは見込めないんじゃない?」
「それなら心配ない。次は布を織る機械――自動織機を作る」
「えっ」
ジエットが目を丸くした。
「聞く限りだと布を織るのってかなり複雑そうだけど、どうやるの?」
「こういうのはまず、要素を分解して箇条書きにするんだ」
布を織る手順は次の通りである。
①偶数列の縦糸を上げる。
②できた隙間に横糸を通す。
③横糸を整える。
④偶数列の縦糸を下げる。
⑤奇数列の縦糸を上げる。
⑥できた隙間に横糸を通す。
⑦横糸を整える。
⑧奇数列の縦糸を下げる。
以上の八ステップを繰り返す事で、糸が布になる。
「各ステップを順にこなす装置を作れば、自動で布が仕上がるってわけ」
ふむふむ、とジエットは紙を覗き込む。
「理屈はそうだろうけど、こんなにいっぱいの動作ができるの?」
「もちろんできる。魔石エンジンを複数用意すればいいだけだな」
これまではトルクが必要な力仕事に使っていたため多気筒にしていたが、今回のような用途であれば小型の単気筒魔石エンジンでも充分だろう。
「横糸を通すのはどうやるの?」
「魔石銃で土魔法を撃つ。その衝撃で、糸を巻いた飛び杼を飛ばして縦糸の隙間を潜らせるんだ」
「横糸を整えるのは?」
「オサという櫛みたいな部品を動かして、通した横糸を押さえつける」
「う~ん……」
ジエットは難しい顔でうなる。
「何となく流れはわかるんだけど、ちゃんと順番通りに動かせるかな? タイミングがずれると糸がぐちゃぐちゃになりそう」
「それをコントロールするのが付与魔法スイッチだ」
錬は木目紙と木炭鉛筆を取り、数字を書いて見せる。
「この国では一般的に十進法が使われているようだな。〇から九までの数字があり、九に一を足すと一〇に桁上がりする。これが十進法」
「そうだね」
「でもここでは二進法を使う。〇と一の数字だけがあり、一に一を足すと一〇に桁上がりする。これが二進法」
「どうして二進法を?」
「その方が都合がいいからだ。魔力が流れない状態を〇、魔力が流れる状態を一という風に二つの状態を表せるし、魔力がちょっと流れるみたいな中途半端な状態を使わない事で誤作動を起こしにくいメリットがある」
話しながら、錬は木の板に付与魔法スイッチを二つ組み、その入力と出力をクロスさせる。
「発振器を作ってるの?」
「いや、似てるけど発振はしない。これは双安定マルチバイブレータという回路だ」
「ソウアンテイ……?」
「その名の通り、安定状態が二つある回路だよ。フリップフロップともいう」
「フリップ……?」
「シーソーみたいなもんだ。過去の出力の状態を保持するから、一ビットの記憶装置とも言える」
「……」
ジト目で唸るジエットとパム。何のための装置かわからないようだ。
「まぁ、とりあえず〇か一の状態を一つだけ記憶できるフリップフロップという装置がある事だけは覚えておいてくれ」
呆気にとられる三人をよそに、錬は更にフリップフロップを三つ作る。それらの入出力をすべて一本に繋げば完成だ。
「これでカウンタ回路ができた」
「それは何……?」
「文字通り、数をカウントする装置だ。三ビットだから二の三乗、つまり〇から七までの八つの数字を数えられる。これを使えば、どれかの数字になったら任意の魔法を発動させる、なんて事ができるようになる。ジエット、八つ数えられると何ができる?」
「八つ……あっ」
ジエットは驚いたように口元を押さえた。
「さっきの布を織る八ステップって、もしかして……?」
「そう、このカウンタ回路でコントロールする」
錬は机に魔石銃を置く。
「カウンタ回路は、パルスを入力するごとに記録された数字を一つ加算する。そしてパルスは、新型魔石銃にも使った発振器で生成できる。これを組み合わせれば、八つのステップを順に延々と繰り返す事ができる。あとは各信号を受けた場合の機械の動きを、布を織る動作になるよう設計してやればいい」
「ほへ~……」
気付けば、パムは呆然と先ほどの魔石回路を眺めていた。
「……オマエが何言ってるのかさっぱりわかんねーけど、なんかすごいな!」
「実際に作るのは大変だけどな」
自動織機はこれまで設計した中で最も複雑な機械だ。開発期間はそれなりにかかるだろう。
だがすべてを人が手作業でやっているこの世界において、自動で布を織り続ける機械は他の追随を許さぬほどの価値を生む。
奴隷の労働力を必要としない世界を作るための第一歩となるのだ。
そんな時、ドアの向こうで物音が聞こえた。
「ん? 誰かいるのか?」
「他の勉強会の人じゃない? 東館はそのための建物だし」
人気の少ない三階では珍しい事だが、たしかにそう言われればそうかもしれない。
「まぁいいか。やる事が決まったら、後は単純作業だ。さっさと作ってしまうぞ!」
「おー!」
***
新たな報告が舞い込んだのは、ドルエスト=ゴーン男爵が貴族街で服飾店を視察していた時だった。
「男爵様! 大変でございます!」
「どうした?」
「先日から魔法学園の生徒を雇ってレンという少年奴隷を監視させていたのですが、今度は布を大量生産する魔法具を作っている模様でございまして……!」
「はぁっ!?」
男爵は思わず路上ですっとんきょうな声を上げる。
「そんなバカな話があるか! 布を織るのがどれほど大変だと思っている!?」
糸を紡ぐのに一ヶ月。布を織るのに一週間。それが人の手の限界だ。
魔法具の力でそうした時間をすっ飛ばし、大量の糸や布を流通させるなどあってはならない事態である。
「仰る事はわかりますが、すでに紡糸の魔法具は大量に存在している事がわかっております。もし布を量産する魔法具が完成すれば商会の被害は甚大となりましょう。今度は糸が値上がりし、布が暴落する事態が予想されます……!」
「な、ならば糸の生産を再開だ!」
「無理です! すでに羊毛や綿の取引契約は切ってしまっております!」
「ぐぬぬぬ……ッ!!」
副商会長の言う通りならば、まさに甚大な被害である。なにせゴーン商会は現在、糸の生産を放棄し、布の生産に全力を注いでいるからだ。
もはや彼らを利用して一儲けなどとぬるい対応をしている場合ではない。一刻も早く潰さなくては。
とはいえ何の理由もなく相手の商売を叩き潰せば、貴族達の心証を悪くする。やるにしても相手を潰すに足る建前がなくてはならない。
(となると……あやつらが使えそうだな)
布の価格が暴落するという事は、織布工ギルドもまた打撃を受けるはずだ。
彼らをうまく扇動すれば、手を汚さずして錬を妨害する事も可能だろう。
「……よかろう。ならば織布工ギルドの連中にそれとなく噂を流せ。魔法学園に在学するレンという名の少年奴隷が布価格を暴落させようと目論んでいる、とな」
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