75 / 105
第四章
75:虜囚の身
しおりを挟む
拘束と目隠しが取られて錬が最初に見たのは石造りの地下牢だった。
魔光石の照明と天窓の夕陽だけが薄暗い室内を照らしている。空気は冷たく湿気を含んでおり、地面は剥き出しの土に石畳を敷いたような粗雑な造りである。およそ清潔感とは程遠い環境だ。
鉄格子の向こうにはテラミス王女と侍女のメリナ、そして禿頭の聖堂騎士団長ゼノンが立っていた。
「どこに連れて行かれるかと思ったら牢屋か……」
「不満かしら?」
「いえ……。それより服だけはわりと良いものを着せてくれるんですね」
今錬が着ているものは、上下ツーピースの白い服だ。装飾はないが着心地は良い。
「最近なぜか衣類の価格が安くなったの。王都で何か技術革新があったという噂だけれど、まさかあなただったりはしないわよね?」
「ああ、紡績機と自動織機の事なら俺が作ったものですね」
「本当にあなたが……?」
「そうですけど」
テラミスは怪訝に眉を寄せる。どうやらカマをかけたつもりだったようだ。
「……まぁいいわ。それよりも約束通り技術提供してもらうわよ」
テラミスが視線で合図すると、メリナが魔石銃を持ってきた。
「まずはこの魔石銃の製法を教えなさい」
「それなら火炎石と二つの魔石を繋いで輪にするだけですよ」
「輪に……?」
「ええ。並びとしては明るい魔石、火炎石、暗い魔石です」
「メリナ! 今すぐ魔石と火炎石を持って来なさい!」
「は、はい!」
慌てて駆け出すメリナを見送り、待つ事数分。
戻ってきた彼女の手にはそれぞれ麻袋が握り締められていた。
「お持ちしました!」
「ゼノン」
「はっ!」
名を呼ばれて騎士団長ゼノンが袋を受け取り、地面に魔石と火炎石をいくつか転がす。
「一応注意しておきますが、明度の差が大きいほど取り出せる魔力は大きくなるので、実験するなら色差の少ないものにした方がいいですよ」
「ふむ……承知した」
ゼノンは忠告通り色差の少ない魔石を選び、火炎石と共に慎重に並べる。
すると輪に対して垂直方向に小さな火花が飛んだ。
「炎が出ましたぞっ!?」
「ほ、本当に……!?」
テラミスとゼノンがそろって驚愕する。メリナも声には出さないが目を見開いていた。
「一体どこでこの知識を得たの……?」
「知識も何も、実体験ですよ。俺は元々バエナルド伯爵のところの鉱山奴隷でしたし」
「たまたまだとでも言うつもり?」
「魔石と火炎石の反応についてはそうですね」
実際、前世の記憶を取り戻したきっかけが魔石と火炎石の爆発事故だったのだ。下手をすればあそこで死んでいたかもしれないが、初手で魔法に関する知見を得られたのは僥倖という他ない。
「……そう。魔石と火炎石で爆発を起こすのはわかったわ。でもこの魔石銃は連発できるようだけれど?」
「あぁ、発振器を組み込んであるんですよ」
「ハッシンキ……?」
「発振現象を起こす装置です。例えば振り子を考えてみてください。重りを吊るした紐を用意して指で押すと、一定周期で振動しますよね? それを魔石の回路でやっていると思ってください」
「……ゼノン、あなたわかる?」
「……いやはや、さすがは大賢者殿でございますなぁ! はっはっは!」
ジト目のテラミスと誤魔化すように笑うゼノンである。
メリナは一歩引いたところから錬をじっと見つめていた。
「まぁいいでしょう……。話は変わるけれど、王立魔法学園では三属性の魔法障壁を展開していたわね。あれはどうやったの?」
「属性を決める石があるんです。火炎石は火、魔獣の核石は土というふうに」
「あともう二つは?」
「わかりません」
「わからないですって……? 三属性魔法を使っていたのだから、少なくともあと一つはわかるはずでしょう?」
「いえ、あれは王宮で入手した魔法具を分解して得たものですから。風属性の石という事以外は何も情報がありませんよ」
その言葉に、テラミスは不愉快そうに目を細めた。
「言っておくけれど、情報の出し惜しみは許さないわよ。質問に答えなければ殺してもいいと、あなたは言ったはずね?」
「俺は事実しか言ってない」
「……」
緊張感を孕んだ沈黙が場を支配した。
誰も何も言おうとしない。敵意に満ちたテラミスの視線を押し返すように、錬も彼女を睨み付ける。ゼノンとメリナの息を呑む声が嫌に耳につく。
やがてテラミスはつまらなさげに髪を払った。
「はぁ……もういいわ。難しい話は他の者に任せるとして、ひとまず魔石銃というのをこちらで作ってみましょう」
「話は終わりですか?」
「ひとまずね。続きはまた後にするわ」
テラミスは疲れたようにもう一度ため息をつき、背を向けて手をひらひらさせる。ゼノンも彼女に続いて地下牢を後にした。
「君は行かないのか?」
錬が声を掛けたのはメリナに対してだ。どういうわけか彼女だけはこの場に残っている。
「説明のためです。あなたの世話役を仰せつかっておりますので」
「世話役?」
「はい。テラミス様の侍女をさせていただいております、メリナと言います。どうぞお見知りおきを」
「はぁ、ご丁寧にどうも……。俺は青木錬です」
「あなたがここにいる間、食事は朝晩二回私が運びます。生活にどうしても必要なものがあれば仰ってください。テラミス様のご許可がいただけたものに限りお渡しします」
生活にどうしても必要なものでもテラミスの許可がなければもらえないようだ。
「そういやトイレは?」
「牢の隅に土があるのでそちらへどうぞ」
言われて見ると、たしかに土が剥き出しの場所がある。穴を掘って埋めろという事なのだろう。
「マジかよ……」
地下牢という時点でろくでもない扱いなのはわかっていたが、さすがに顔が引きつるというものだ。
「説明は以上です。何かご質問はありますか?」
「いや……」
「では一旦私は出ます。不定期に見回りに来ますので、何かあればその時にどうぞ」
メリナにより地下牢の扉が閉められる。
その重く軋む不快な金属音を耳にして、錬はため息をついた。
(さて、どうするかな)
地べたに座って牢の中を見回し、トイレと言われた土を少し掘ってみる。
すると土気色をした人差し指大の芋虫が数匹顔を出した。
砂蟲だ。
「……お前、こんなところにもいたんだな」
薄気味悪い見た目にドン引きするが、しかしこれは好都合でもある。
牢を照らすため壁に掛けられた魔光石のランタン、砂蟲、鉄格子、そして天窓から見える外の景色。
足りないものは多いが、工夫すればできるかもしれない。
そう――魔石銃の作製である。
(待ってろジエット……必ずここから脱獄してやる!)
天窓から見える夕焼け空を仰ぎ見て、錬は拳を固めた。
魔光石の照明と天窓の夕陽だけが薄暗い室内を照らしている。空気は冷たく湿気を含んでおり、地面は剥き出しの土に石畳を敷いたような粗雑な造りである。およそ清潔感とは程遠い環境だ。
鉄格子の向こうにはテラミス王女と侍女のメリナ、そして禿頭の聖堂騎士団長ゼノンが立っていた。
「どこに連れて行かれるかと思ったら牢屋か……」
「不満かしら?」
「いえ……。それより服だけはわりと良いものを着せてくれるんですね」
今錬が着ているものは、上下ツーピースの白い服だ。装飾はないが着心地は良い。
「最近なぜか衣類の価格が安くなったの。王都で何か技術革新があったという噂だけれど、まさかあなただったりはしないわよね?」
「ああ、紡績機と自動織機の事なら俺が作ったものですね」
「本当にあなたが……?」
「そうですけど」
テラミスは怪訝に眉を寄せる。どうやらカマをかけたつもりだったようだ。
「……まぁいいわ。それよりも約束通り技術提供してもらうわよ」
テラミスが視線で合図すると、メリナが魔石銃を持ってきた。
「まずはこの魔石銃の製法を教えなさい」
「それなら火炎石と二つの魔石を繋いで輪にするだけですよ」
「輪に……?」
「ええ。並びとしては明るい魔石、火炎石、暗い魔石です」
「メリナ! 今すぐ魔石と火炎石を持って来なさい!」
「は、はい!」
慌てて駆け出すメリナを見送り、待つ事数分。
戻ってきた彼女の手にはそれぞれ麻袋が握り締められていた。
「お持ちしました!」
「ゼノン」
「はっ!」
名を呼ばれて騎士団長ゼノンが袋を受け取り、地面に魔石と火炎石をいくつか転がす。
「一応注意しておきますが、明度の差が大きいほど取り出せる魔力は大きくなるので、実験するなら色差の少ないものにした方がいいですよ」
「ふむ……承知した」
ゼノンは忠告通り色差の少ない魔石を選び、火炎石と共に慎重に並べる。
すると輪に対して垂直方向に小さな火花が飛んだ。
「炎が出ましたぞっ!?」
「ほ、本当に……!?」
テラミスとゼノンがそろって驚愕する。メリナも声には出さないが目を見開いていた。
「一体どこでこの知識を得たの……?」
「知識も何も、実体験ですよ。俺は元々バエナルド伯爵のところの鉱山奴隷でしたし」
「たまたまだとでも言うつもり?」
「魔石と火炎石の反応についてはそうですね」
実際、前世の記憶を取り戻したきっかけが魔石と火炎石の爆発事故だったのだ。下手をすればあそこで死んでいたかもしれないが、初手で魔法に関する知見を得られたのは僥倖という他ない。
「……そう。魔石と火炎石で爆発を起こすのはわかったわ。でもこの魔石銃は連発できるようだけれど?」
「あぁ、発振器を組み込んであるんですよ」
「ハッシンキ……?」
「発振現象を起こす装置です。例えば振り子を考えてみてください。重りを吊るした紐を用意して指で押すと、一定周期で振動しますよね? それを魔石の回路でやっていると思ってください」
「……ゼノン、あなたわかる?」
「……いやはや、さすがは大賢者殿でございますなぁ! はっはっは!」
ジト目のテラミスと誤魔化すように笑うゼノンである。
メリナは一歩引いたところから錬をじっと見つめていた。
「まぁいいでしょう……。話は変わるけれど、王立魔法学園では三属性の魔法障壁を展開していたわね。あれはどうやったの?」
「属性を決める石があるんです。火炎石は火、魔獣の核石は土というふうに」
「あともう二つは?」
「わかりません」
「わからないですって……? 三属性魔法を使っていたのだから、少なくともあと一つはわかるはずでしょう?」
「いえ、あれは王宮で入手した魔法具を分解して得たものですから。風属性の石という事以外は何も情報がありませんよ」
その言葉に、テラミスは不愉快そうに目を細めた。
「言っておくけれど、情報の出し惜しみは許さないわよ。質問に答えなければ殺してもいいと、あなたは言ったはずね?」
「俺は事実しか言ってない」
「……」
緊張感を孕んだ沈黙が場を支配した。
誰も何も言おうとしない。敵意に満ちたテラミスの視線を押し返すように、錬も彼女を睨み付ける。ゼノンとメリナの息を呑む声が嫌に耳につく。
やがてテラミスはつまらなさげに髪を払った。
「はぁ……もういいわ。難しい話は他の者に任せるとして、ひとまず魔石銃というのをこちらで作ってみましょう」
「話は終わりですか?」
「ひとまずね。続きはまた後にするわ」
テラミスは疲れたようにもう一度ため息をつき、背を向けて手をひらひらさせる。ゼノンも彼女に続いて地下牢を後にした。
「君は行かないのか?」
錬が声を掛けたのはメリナに対してだ。どういうわけか彼女だけはこの場に残っている。
「説明のためです。あなたの世話役を仰せつかっておりますので」
「世話役?」
「はい。テラミス様の侍女をさせていただいております、メリナと言います。どうぞお見知りおきを」
「はぁ、ご丁寧にどうも……。俺は青木錬です」
「あなたがここにいる間、食事は朝晩二回私が運びます。生活にどうしても必要なものがあれば仰ってください。テラミス様のご許可がいただけたものに限りお渡しします」
生活にどうしても必要なものでもテラミスの許可がなければもらえないようだ。
「そういやトイレは?」
「牢の隅に土があるのでそちらへどうぞ」
言われて見ると、たしかに土が剥き出しの場所がある。穴を掘って埋めろという事なのだろう。
「マジかよ……」
地下牢という時点でろくでもない扱いなのはわかっていたが、さすがに顔が引きつるというものだ。
「説明は以上です。何かご質問はありますか?」
「いや……」
「では一旦私は出ます。不定期に見回りに来ますので、何かあればその時にどうぞ」
メリナにより地下牢の扉が閉められる。
その重く軋む不快な金属音を耳にして、錬はため息をついた。
(さて、どうするかな)
地べたに座って牢の中を見回し、トイレと言われた土を少し掘ってみる。
すると土気色をした人差し指大の芋虫が数匹顔を出した。
砂蟲だ。
「……お前、こんなところにもいたんだな」
薄気味悪い見た目にドン引きするが、しかしこれは好都合でもある。
牢を照らすため壁に掛けられた魔光石のランタン、砂蟲、鉄格子、そして天窓から見える外の景色。
足りないものは多いが、工夫すればできるかもしれない。
そう――魔石銃の作製である。
(待ってろジエット……必ずここから脱獄してやる!)
天窓から見える夕焼け空を仰ぎ見て、錬は拳を固めた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。
億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。
彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。
四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?
道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!
気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?
※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。
追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る
夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件
エース皇命
ファンタジー
前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。
しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。
悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。
ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。
42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。
町島航太
ファンタジー
かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。
しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。
失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。
だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる