召喚勇者の俺が剣聖かラスボスを敵に回した時の生還法を述べよ。ただし俺はレベル1とする!

えいちだ

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第三章

23:獄中にて

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「ここで大人しくしていろ」
 衛兵に背中を押され、俺はよろめいた。
 薄暗い石造りの地下室に格子戸の閉まる音が鳴り響く。
「沙汰は後ほど言い渡すそうだ。くれぐれも騒ぐなよ」
「待ってくださいよ! 俺は何もしてないぞ!?」
 冷えた鉄格子をつかんで叫ぶが、衛兵は振り返りもせず歩いて行った。
「マジかよ……」
 独り残され、俺はずるずると音を立てて座り込んだ。
 ラーティやセリムとは別々の場所に閉じ込められたらしく、周りには人の気配がない。
 聖剣ヴォルケインがあれば鉄格子くらい斬れたかもしれないが、もちろん荷物も全部没収だ。
「どうすっかなぁ……」
 考えていた時、どこからか足音が響いた。
 足音は徐々に近付き、俺の部屋の前で立ち止まる。
「誰か来たのか……?」
「わたくしですよ、イサム様」
 ひそひそ声でささやくように言ったのはラーティだった。
 唇に指を当てて声を落とせとジェスチャーしている。
「どうしてここに?」
「助けに来ました」
「助けに……? そりゃありがたいけど、そっちは大丈夫だったのか?」
「いえ、先ほどまで牢の中でした。ですがこの程度で聖女たるわたくしを閉じ込めたつもりになられては困ります」
「おお! 神の奇跡的なやつで牢屋を開けたのか?」
「いいえ?」
 ラーティはヘアピンのようなものを取り出す。
 そしてカチャカチャと牢の鍵をいじくり回し、格子戸を開いた。
「この程度の錠前なら針金一本あれば充分です」
「ピッキングかよ!?」
 こいつ本当に聖女か? 盗賊の間違いじゃねぇの?
「聖女というのもなかなかどうして不自由なものですので、こういう知識が必要だったのですよ」
「……ひょっとして元の世界でも閉じ込められてたのか?」
「そうですね。さすがに地下牢ではありませんでしたが」
 ラーティは苦笑した。
「勇者召喚の儀式ができるのは神に選ばれし聖女だけです。わたくしは教団に拾われたその日に神託が下り、聖女の道を歩む事となりました。以来、世界の命運を握る聖女に万一の事があってはならぬと、大聖堂の外へ出る事は許されませんでした。まさに箱入り娘ですね」
「それでどこか浮き世離れした感性の持ち主になったと」
「失礼ですね。わたくしほどまともな人間はおりませんよ?」
 まともな人間はピッキングしたりしないんだぞ~?
「でもそうか。それで教皇だかをジジイ呼ばわりしてたんだな」
「言ってません♪」
 柔和に微笑むラーティ。頑としてごまかす気らしい。
 それはさておき、セリムだ。
「このまま放っておいた場合、セリムは牢獄で長い間閉じ込められるかもしれない。それは困る」
「そうですね。邪帝王に味方してセリム様を倒すにしろ、セリム様に味方して邪帝王を倒すにしろ、今は助け出さないといけません」
「そうだな。でも場所はわかるのか?」
「はい。ここへ来る途中に調べましたので」
「なら大丈夫か。あ、でも荷物は? 聖剣がないと俺は何もできないぞ?」
「わたくしにお任せください」
 ラーティは聖杖をカツンと打ち付けた。
「我らが守護神アルデム様。今一度異界の扉を開き、我らの欲するものをお与えください――サモンゲート!」
 虚空より光が集まり、俺の前に荷物袋が現れた。
 あとなぜかグラミーゾンビとアレクサンダーも一緒に出てきた。
「この世界にあるものも喚び出せるのか」
「生物ではなく、わたくし達の所持品であれば可能です」
「なるほど。グラミーやアレクサンダーは所持品扱いか」
「そういう事ですね。ちなみにこの世界にあるものを喚び出すだけなら神聖力の消費も少なくて済みます」
 そりゃ便利だな。使い道は色々ありそうだ。
「セリムさんの剣とかもあるけど、これも自分の所持品に含まれるって事?」
「今のところ仲間ですので」
 今のところ、ね……。まぁ深く考えるのはよそう。
「それにしてもセリム様の荷物ですが、ロクな物がありませんね」
 ラーティは大真面目な顔で荷物袋を漁っていた。
「おいおい、やめてやれよ。勝手に漁っちゃ失礼だろ」
「仲間の持ち物を確認しているだけですよ?」
「いやいや、仲間だとしてもダメだろ。プライバシーの概念もないの?」
「でも彼が本当に剣聖かどうかの確認は必要かと思いまして」
 それは……そうかもしれない。なんか門番はセリムの事を知らないみたいだったしな。
「イサム様、これ何だと思いますか?」
 ラーティが白い三角形の布を取り出す。
 それを見て俺は我が目を疑った。
「……パンツだな。それもたぶん女性物の」
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