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第三章
28:情報収集
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ファーライト光国の街中は予想に反して平穏だった。
活気のある喧噪に包まれ、人々が露店や商店の並ぶ通りを往来している。
「ここまで来ればひとまず安心だろう」
路地裏で一息つき、セリムが足を止める。俺も置いてあった空の木箱に腰かけた。
「虫だらけの廃墟も覚悟してたけど、ひとまずそうはなっていないみたいだな」
「そうですね。大多数の人は寄生されていないようです」
「何か嫌な言い方だな。それだと少数は寄生されてるみたいじゃないか」
「そうですよ?」
平然と返すラーティ。
「……マジで?」
「マジですねぇ」
まぁ、牢屋の兵士達が寄生されてたくらいだもんな。そりゃいるわ……。
「おそらく内部に入り込んで崩壊させる作戦なのだろう」
「嫌らしい作戦だな……」
「光国は堅牢な城壁と精強な聖騎士団で有名だ。さしもの蟲王バゼルドとて、正面からは崩せないと踏んだに違いない」
セリムの言葉に、俺は眉をひそめた。
寄生産卵も感染も、とてつもなく強力なスキルだ。これを使えば一夜で国を滅ぼすくらい簡単にできるだろう。しかし現実はそうなっていない。なぜか?
「たぶん……セリム狙いだな」
「そうでしょうね」
ラーティとひそひそ話をする。
要するに剣聖セリムが強すぎるから、あえて彼女の出身地であるファーライト光国をある程度形を保ったままにしてあるんだろう。そうすれば時間をかけて排除できるかもしれないからだ。実際、牢屋に閉じ込める事はできたしな。
さて、その上でこれからどうするかだけど……。
「こうしてはいられない。今すぐ法王猊下のおられる大神殿へ行こう!」
「ちょっと待て」
奮起するセリムを引き留める俺。
「どうしたのだ?」
「まずは情報収集からだ。法王が寄生されてたりするかもしれないし」
「法王猊下は聖騎士達により守護されている。そうやすやすと倒されはしないはずだ」
「だとしても情報があるに越した事はないだろ」
「ふむ……一理ある」
得心した様子で、セリムは焼きリンゴみたいな果物を販売する屋台まで歩いて行った。
話しかけたのは人の好さそうな店主のオヤジだ。
「一ついただこう」
「へい、まいど!」
いそいそと焼き果物を包む店主だが、セリムが銀貨を置くと目を丸くした。
「お客さん、こいつぁ多すぎるよ。釣りがねぇや」
「釣りは取っておいてくれ。時に店主、近頃大神殿で変わった事はなかったか?」
「大神殿……? いや、特に変わった事は聞かねぇな」
「ならば法王猊下は御壮健か?」
「猊下ならピンピンしてらっしゃるぜ。ひと月ほど前に病に伏せられてたって話だが、今じゃもうすっかり元気だよ」
「そうか、ありがとう――だそうだ、イサム殿」
「だそうだ、じゃねぇ。話の通りならひと月前に何かあった可能性あるだろ」
「そうなのか、店主?」
「いや、別段何もなかったぜ。最近虫がお嫌いになられたってぇ噂を耳にしたくらいだなぁ」
「だそうだ、イサム殿」
「それ絶対何かあるだろ!」
むしろピンポイントだわ! 敵は虫の王様なんだぞ!
「でもイサム様、法王が虫嫌いだという事は、少なくともまだ寄生されていない可能性が高いのでは?」
「それはまぁ……」
「でしたら会って報告するくらい問題はないと思いますが」
「ラーティ殿の言う通りだ。では行こう!」
意気揚々と拳を振り上げるセリム。
こうなったら行くしかないようだ。
「店主、情報感謝する!」
「あいよ! あんたらにルーメニス様のご加護を!」
活気のある喧噪に包まれ、人々が露店や商店の並ぶ通りを往来している。
「ここまで来ればひとまず安心だろう」
路地裏で一息つき、セリムが足を止める。俺も置いてあった空の木箱に腰かけた。
「虫だらけの廃墟も覚悟してたけど、ひとまずそうはなっていないみたいだな」
「そうですね。大多数の人は寄生されていないようです」
「何か嫌な言い方だな。それだと少数は寄生されてるみたいじゃないか」
「そうですよ?」
平然と返すラーティ。
「……マジで?」
「マジですねぇ」
まぁ、牢屋の兵士達が寄生されてたくらいだもんな。そりゃいるわ……。
「おそらく内部に入り込んで崩壊させる作戦なのだろう」
「嫌らしい作戦だな……」
「光国は堅牢な城壁と精強な聖騎士団で有名だ。さしもの蟲王バゼルドとて、正面からは崩せないと踏んだに違いない」
セリムの言葉に、俺は眉をひそめた。
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「たぶん……セリム狙いだな」
「そうでしょうね」
ラーティとひそひそ話をする。
要するに剣聖セリムが強すぎるから、あえて彼女の出身地であるファーライト光国をある程度形を保ったままにしてあるんだろう。そうすれば時間をかけて排除できるかもしれないからだ。実際、牢屋に閉じ込める事はできたしな。
さて、その上でこれからどうするかだけど……。
「こうしてはいられない。今すぐ法王猊下のおられる大神殿へ行こう!」
「ちょっと待て」
奮起するセリムを引き留める俺。
「どうしたのだ?」
「まずは情報収集からだ。法王が寄生されてたりするかもしれないし」
「法王猊下は聖騎士達により守護されている。そうやすやすと倒されはしないはずだ」
「だとしても情報があるに越した事はないだろ」
「ふむ……一理ある」
得心した様子で、セリムは焼きリンゴみたいな果物を販売する屋台まで歩いて行った。
話しかけたのは人の好さそうな店主のオヤジだ。
「一ついただこう」
「へい、まいど!」
いそいそと焼き果物を包む店主だが、セリムが銀貨を置くと目を丸くした。
「お客さん、こいつぁ多すぎるよ。釣りがねぇや」
「釣りは取っておいてくれ。時に店主、近頃大神殿で変わった事はなかったか?」
「大神殿……? いや、特に変わった事は聞かねぇな」
「ならば法王猊下は御壮健か?」
「猊下ならピンピンしてらっしゃるぜ。ひと月ほど前に病に伏せられてたって話だが、今じゃもうすっかり元気だよ」
「そうか、ありがとう――だそうだ、イサム殿」
「だそうだ、じゃねぇ。話の通りならひと月前に何かあった可能性あるだろ」
「そうなのか、店主?」
「いや、別段何もなかったぜ。最近虫がお嫌いになられたってぇ噂を耳にしたくらいだなぁ」
「だそうだ、イサム殿」
「それ絶対何かあるだろ!」
むしろピンポイントだわ! 敵は虫の王様なんだぞ!
「でもイサム様、法王が虫嫌いだという事は、少なくともまだ寄生されていない可能性が高いのでは?」
「それはまぁ……」
「でしたら会って報告するくらい問題はないと思いますが」
「ラーティ殿の言う通りだ。では行こう!」
意気揚々と拳を振り上げるセリム。
こうなったら行くしかないようだ。
「店主、情報感謝する!」
「あいよ! あんたらにルーメニス様のご加護を!」
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