～黒い箱庭～ パパパは頑張ります

立ち上がる光

あれから１時間程　


フードを被り、あぐらをかきながら床にコツコツと人形の持っていたカミソリを当てボロボロに壊れた人形たちを眺めていると


半透明になりボンヤリとした煙ような虹色の様な光が立ち上がっている

　
奇妙な現象だと思い直ぐに脳内で　仕事の経験で学んだ４RKY（４ラウンドの危険予知　１危険の原因の抽出　２その危険によりどんなリスクがあるのか　３リスクの低減案　４行動目標を決定　）を思考する


ちょうど行動目標を２つほど考えて　回避できない可能性を考えた時に


人形が消えて　立ち上がった光が纏まり　強く輝き　奔流となり　勢いよく　自分に向かって来る


とっさにフードを被り　腕でガードしサイドステップでよけようとしたが


追尾してくる光が自分を貫通し　体に纏わりついた後　１０秒もしない内に体に吸い込まれていった


「なんやこれ」


事前に予測していた行動目標が役に立たなかったので、回避できなかった場合の思考に切り替える

前提条件として　この異常な状態の場所において現実世界のルールは適応されない可能性が高い　ただ息を吸い　鼓動し　立ち上がり行動し　思考し　触れられる物質が存在し　地球のルールと似ている部分もある
よって頼れるのは人生で経験した想像力である

１つ目の可能性として
呪いなどの可能性が高い　その場合どんな状態異常にかかるのか体力が無くなるのか　思考が鈍くなるのか　行動が遅くなるのか　不幸になるのか　特定時間経過後に死ぬのか　その他数多くあり予測がつかない

２つ目の可能性として
ゲームなどでいう経験値所得
自分のやっていたゲームにおいては、敵を倒しソウルエナジーと呼ばれるものを吸収した状態に近い

３つ目の可能性として
ただ特に体に害はない　理解不能な現象


およそこの３つを予測して自分の今の体調の変化をしばらく感じてみる


・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・


苦しくもしんどくもない　ただ微妙にさっきよりは何か満たされた感じ


よって可能性としては２つ目か３つ目が高く　１つ目の可能性は現段階では確率的に低いであろう


ただこの段階で更に新たな疑問や可能性及び危険減の発見に繋がる


もし可能性の１～２だった場合　


粉々に倒したはずの人形が光になって消えるまでの時間に生きていた可能性がある


まぁこの世界において何が生きているか死んでいるかの定義は自分の感覚ではあるが　人形が最後の最後で活動を再開して　破片が集合し再生したり　破片が爆発したり　何かしらの意志を持った予測外の攻撃をされて自分が負傷した可能性がある


もしくは可能性の２だった場合
倒して１時間ほどで何かしらの相手の力を吸収する事になる


その場合この場所において、ゲームのようにレベルアップできるのかもしれない
ゲームのシステムによってレベルを数値で表さない形式のタイプも予想できる


もしかして　この状況は独身の頃　共感して好んで読んでいた　おっさんが異世界転生物するタイプなのかもしれない


その場合まずやるべき事を考え、声に意志と力を籠め叫ぶ


「　ステータス表示！！！！！！！！！　」