31 / 122
第31話 犯人は、こいつ……ニャ
しおりを挟む
「私、姿かたち、見たよ──ニャ」
「うそ、じゃあ教えてくれる」
「確かギルドには全員の顔がわかるシステムがあるはずよ」
そしてリヒレは1人の魔法使いの姿に驚愕し、指をさす。
「こ、この人です」
ピンク色でふわふわな髪をしている少女。
「ニャロロじゃないか」
何と相手は先日俺が戦った相手だ。
「確か実力は中堅以下、猫耳が特徴で、そこまで強い魔法少女ではないわね。とても何人もの魔法少女を襲える実力があるとは思えないわ」
「隠しているんじゃないのか? 裏仕事で稼いでいるんだったら、普段は本当の力を使わないで地味なポジションにおいて、人のいないところで本当の力を使うとか、そういうことだってやりかねないな」
とりあえずニャロロを捕まえるのが優先だ。しかしどうやって捕まえるか、いろいろ聞き込みとか考えてみよう。
「それは、そうとちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかなリヒレ……」
俺の質問にリヒレは気まずい表情で目を合わせる。
「その語尾なんだけどさ、マイブームなの?」
「私も、それは気になっていたわ。こういう深刻な時は、そういうのはやめたほうがいいと思うの」
俺だけでなくレテフも突っ込みを入れる。変わった語尾をつける けどこういう真剣な場では人によっては失礼に値するかもしれない。
リヒレ自体は分別をわきまえた真面目な女の子。オブラートに優しく指摘すれば理解してくれるだろう。
「わ、私だってわかっているわニャ。変な語尾だってニャ。でも自分でもどうすることもできないニャ」
涙目になりながら必死に叫ぶリヒレ。その必死さ、演技ではないことがよくわかる。
どういうことなんだ。
「リヒレちゃん、どういうこと? 私に聞かせて」
サナの問いにリヒレは両手をあわあわとしながらうつむいて答え始める。
「理由はわからない……ニャ。もうしゃべるのが、つらい……ニャ」
簡潔に説明すると、語尾に「ニャ」をつけたいという強迫観念に支配されてしまい、「ニャ」をつけない限り気持ち悪いような心が詰まるような感覚になってしまうらしい。
そしてニャと語尾に言葉を付けた途端、心が不思議と安堵し、満たされるような感覚になってしまうのだ。
頭では理解しても、心の中がそういう風に動いてしまう。そんな感じだった。
「自分でも止められないのよニャ。早く何とかしてほしいのニャ」
顔が真っ赤になる。よほど恥ずかしいのだろう。あまり話し開けないほうがいいだろう。
「けど、どうしましょう? 直接聞いたところで、すんなり認めてくれるとは、思えないだろうし」
「とりあえず彼女についてほかの魔法少女から聞いてみよう・まずは聞き込み調査だ」
その言葉にサナとレテフは首を縦に振る。
いろいろやることはあるけど、まずは彼女がどこにいるかを知らなければどうすることもできない。とりあえずギルドに行ってみよう。
俺たちは10分ほど歩いてギルドへ。魔法少女たちの集団に話を聞いてみると?
「うちの友達も通り魔に襲われたんよ。そいで、口調も彼女みたいになってしもうて、」
「みんなあの地区で襲われているみたいなんよ。それも相手が見えないんだと。気づいたら意識を失ってしまったってきいたぞ」
なるほど、姿を消せるから俺が入り口にいても気づかなかったのか。あれ? じゃあなんでリヒレにはあいつの姿が見えたんだ? 何か制約でもあったのか? いや、あったらそもそも襲わないはずだ。
う~ん、ちょっとわからないや。とりあえず魔法少女を襲う。姿を消せるのが特徴ということか。
まあ、敵の情報がわかればそこから戦略は立てられる。よし、いい作戦をひらめいたぞ。
「サナ、レテフ。とりあえず作戦が決まったから説明するね」
俺の言葉に2人はしっかりと耳を傾け始める。
しかし敵の狙いは何なんだ? 拉致監禁するわけでもなく、金目のものを盗むわけでもない。猫語にするだけ。
「じゃあ俺がその場所に一人でいる。それも魔法少女の姿をして。それと、姿が見えないだけなら秘策はある。ちょっと耳を貸してくれるかな?」
そして俺は秘策を3人に伝える。
ひそひそ……。
「へぇっ、アグナムちゃん天才だよ。いい作戦だと思うよ」
「私も同感だわ。さすが私のアグナム。素晴らしいわ」
リヒレも微笑を浮かべてコクリとうなずく。話したくないが賛成ということだろう。
まあ、簡単に言えば釣りと一緒だ。俺魔法少女になりが餌役になるということだ。
(ただその中で、一番問題なのがリヒレなんだよな)
リヒレは唯一犯人の名前を知っている。彼女を変装させて、ニャロロに気づかれないようにして俺の背後をつけてもらう。それで、罠を仕掛けた場所で立ち止まっている俺に、そいつが現れたら俺に知らせてもらう。
それが作戦の肝なんだが。
「協力してくれる。リヒレ?」
俺が問いかけるとリヒレは、体を怯えさせ、目をきょろきょろとさせる。明らかにおびえた様子。
そりゃそうだよな、いきなり襲われたんだから。仕方ない、ほかの手を考えてみ──。
「協力する、……ニャ」
「リヒレ、無理しなくていいよ」
「違うのニャ。私も、力になりたいのニャ」
「私、魔法が使えなくて、いつも守ってもらってばかりだったの……ニャ。けど、守ってばかりなのは、イヤなの──ニャ。私も、アグナムさんやみんなみたいに力になりたいニャ」
レテフの体は震え、びくびくしている。しかしその眼には強い意志と勇気が入っているのがわかる。
カラ元気でも演技でもない強い決意。それなら、断るのは逆に失礼だ。
「わかった、でも襲われそうになったらすぐに俺を頼って、それだけは約束して」
コクリ──。
リヒレは何も言わずに首を縦に振る。
涙目ながらも、その瞳には強い意志が混じっているのを強く感じた。
「うそ、じゃあ教えてくれる」
「確かギルドには全員の顔がわかるシステムがあるはずよ」
そしてリヒレは1人の魔法使いの姿に驚愕し、指をさす。
「こ、この人です」
ピンク色でふわふわな髪をしている少女。
「ニャロロじゃないか」
何と相手は先日俺が戦った相手だ。
「確か実力は中堅以下、猫耳が特徴で、そこまで強い魔法少女ではないわね。とても何人もの魔法少女を襲える実力があるとは思えないわ」
「隠しているんじゃないのか? 裏仕事で稼いでいるんだったら、普段は本当の力を使わないで地味なポジションにおいて、人のいないところで本当の力を使うとか、そういうことだってやりかねないな」
とりあえずニャロロを捕まえるのが優先だ。しかしどうやって捕まえるか、いろいろ聞き込みとか考えてみよう。
「それは、そうとちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかなリヒレ……」
俺の質問にリヒレは気まずい表情で目を合わせる。
「その語尾なんだけどさ、マイブームなの?」
「私も、それは気になっていたわ。こういう深刻な時は、そういうのはやめたほうがいいと思うの」
俺だけでなくレテフも突っ込みを入れる。変わった語尾をつける けどこういう真剣な場では人によっては失礼に値するかもしれない。
リヒレ自体は分別をわきまえた真面目な女の子。オブラートに優しく指摘すれば理解してくれるだろう。
「わ、私だってわかっているわニャ。変な語尾だってニャ。でも自分でもどうすることもできないニャ」
涙目になりながら必死に叫ぶリヒレ。その必死さ、演技ではないことがよくわかる。
どういうことなんだ。
「リヒレちゃん、どういうこと? 私に聞かせて」
サナの問いにリヒレは両手をあわあわとしながらうつむいて答え始める。
「理由はわからない……ニャ。もうしゃべるのが、つらい……ニャ」
簡潔に説明すると、語尾に「ニャ」をつけたいという強迫観念に支配されてしまい、「ニャ」をつけない限り気持ち悪いような心が詰まるような感覚になってしまうらしい。
そしてニャと語尾に言葉を付けた途端、心が不思議と安堵し、満たされるような感覚になってしまうのだ。
頭では理解しても、心の中がそういう風に動いてしまう。そんな感じだった。
「自分でも止められないのよニャ。早く何とかしてほしいのニャ」
顔が真っ赤になる。よほど恥ずかしいのだろう。あまり話し開けないほうがいいだろう。
「けど、どうしましょう? 直接聞いたところで、すんなり認めてくれるとは、思えないだろうし」
「とりあえず彼女についてほかの魔法少女から聞いてみよう・まずは聞き込み調査だ」
その言葉にサナとレテフは首を縦に振る。
いろいろやることはあるけど、まずは彼女がどこにいるかを知らなければどうすることもできない。とりあえずギルドに行ってみよう。
俺たちは10分ほど歩いてギルドへ。魔法少女たちの集団に話を聞いてみると?
「うちの友達も通り魔に襲われたんよ。そいで、口調も彼女みたいになってしもうて、」
「みんなあの地区で襲われているみたいなんよ。それも相手が見えないんだと。気づいたら意識を失ってしまったってきいたぞ」
なるほど、姿を消せるから俺が入り口にいても気づかなかったのか。あれ? じゃあなんでリヒレにはあいつの姿が見えたんだ? 何か制約でもあったのか? いや、あったらそもそも襲わないはずだ。
う~ん、ちょっとわからないや。とりあえず魔法少女を襲う。姿を消せるのが特徴ということか。
まあ、敵の情報がわかればそこから戦略は立てられる。よし、いい作戦をひらめいたぞ。
「サナ、レテフ。とりあえず作戦が決まったから説明するね」
俺の言葉に2人はしっかりと耳を傾け始める。
しかし敵の狙いは何なんだ? 拉致監禁するわけでもなく、金目のものを盗むわけでもない。猫語にするだけ。
「じゃあ俺がその場所に一人でいる。それも魔法少女の姿をして。それと、姿が見えないだけなら秘策はある。ちょっと耳を貸してくれるかな?」
そして俺は秘策を3人に伝える。
ひそひそ……。
「へぇっ、アグナムちゃん天才だよ。いい作戦だと思うよ」
「私も同感だわ。さすが私のアグナム。素晴らしいわ」
リヒレも微笑を浮かべてコクリとうなずく。話したくないが賛成ということだろう。
まあ、簡単に言えば釣りと一緒だ。俺魔法少女になりが餌役になるということだ。
(ただその中で、一番問題なのがリヒレなんだよな)
リヒレは唯一犯人の名前を知っている。彼女を変装させて、ニャロロに気づかれないようにして俺の背後をつけてもらう。それで、罠を仕掛けた場所で立ち止まっている俺に、そいつが現れたら俺に知らせてもらう。
それが作戦の肝なんだが。
「協力してくれる。リヒレ?」
俺が問いかけるとリヒレは、体を怯えさせ、目をきょろきょろとさせる。明らかにおびえた様子。
そりゃそうだよな、いきなり襲われたんだから。仕方ない、ほかの手を考えてみ──。
「協力する、……ニャ」
「リヒレ、無理しなくていいよ」
「違うのニャ。私も、力になりたいのニャ」
「私、魔法が使えなくて、いつも守ってもらってばかりだったの……ニャ。けど、守ってばかりなのは、イヤなの──ニャ。私も、アグナムさんやみんなみたいに力になりたいニャ」
レテフの体は震え、びくびくしている。しかしその眼には強い意志と勇気が入っているのがわかる。
カラ元気でも演技でもない強い決意。それなら、断るのは逆に失礼だ。
「わかった、でも襲われそうになったらすぐに俺を頼って、それだけは約束して」
コクリ──。
リヒレは何も言わずに首を縦に振る。
涙目ながらも、その瞳には強い意志が混じっているのを強く感じた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる